バズリクソンズのA-2
中学生の時に、オデコ靴なる革靴がオトナの社会では流行していた。15歳のティーンエイジャーからしたら、ファッション雑誌は、自分では買えないような値段のオトナアイテムがたくさん載っているカタログだった。切り抜かれた写真がたくさん並ぶページを何度も何度も読み込むうちに、オトナ社会の流行やカッコ良さを理解した。当時の雑誌には楽しい思い出しかなく、いまだに記憶に残っているページがあるほど。インターネットが普及して、雑誌からカタログページは激減していったが、本誌には、カタログこそファッション誌の魅力だという私の信念が強く反映されている。
熱くなり過ぎた、話をオデコ靴に戻そう。雑誌に掲載されているようなブランド靴はなかなか買えなかった少年は、渋谷の地下街にあった小さな靴屋さんで、安価なオデコ靴を買った。それが精一杯の背伸び。光沢のあるチョコレートブラウンで丸味の強い、店頭で一番「おいしそうな」靴だった。光沢のあるシールブラウンのA-2を見ると、あのオデコ靴を思い出す。欲しいんだけど、太り過ぎて、身体に合うA-2とは出逢えなかった。ところが、ジャンキースペシャルがバズリクソンズにサイズ46と48を別注したと聞き、すぐに試着へ。当たり! いろんな意味でおいしい1着だ。

バズリクソンズの定番、ラフウエアのA-2。「おいしさ」の秘密は、ハンドアニリン仕上げのホースハイド。深みのあるシールブラウンだ。カタログ掲載は最大サイズ44だが、外国人客の多い新宿のジャンキースペシャルが別注したビッグサイズ46&48。レイヤードも楽しめる。26万4000円(ジャンキースペシャル TEL03-3232-0850 https://jukyspecial.com)

ラフウエアの特徴である台襟。襟の形を最初に整えて着用開始。「襟スナップ留める派」だったが、雑誌の影響(?)で、この1着は留めないことに。

ラベルまで第二次大戦当時に使用された織りネームを書体にまでこだわって完全再現している。松島にとっては「46」というサイズ表記が眩しい。

使用するホースハイドはイタリア原産。ベジタブルタンニン鞣しのハンドアニリンフィニッシュで、着用すればするほどアジが出てくる上質な1着を堪能する。
(出典/「Lightning 2025年11月号 Vol.379」)
photo/S.Amatsu シーマン天津
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