
野戦用ブーツ(別名タイプⅢ)はフライングシューズとしても活躍した。

1963年に公開された映画「大脱走」にて、往年のハリウッドスターであるスティーブ・マックイーンが演じるバージル・ヒルツ大尉が履いていたコンバットブーツとして、アメカジ界隈では知れ渡った存在であるMー43ブーツ。スエード面をアッパーに使用したカジュアルでラフな印象は、ミリタリーブーツながらファッション感度も高い。亀屋さんに改めてその魅力を語ってもらった。
「1943年にアメリカ陸軍に採用されたサービスシューズになります。映画『大脱走』で米軍バイロットであるバージル・ヒルツ大尉が履くことから分かるように、米陸軍航空隊(USAAF)で使用されたフライングシューズでもあります。革の表面が裏使いされているので足の出し入れがスムーズなのが特徴です。スエード面には防水効果を高める浸透性のワックスが染み込ませてあり、米軍実物でも縫製後に手塗りで塗り込まれていたので、独特な色ムラがあるので味わい深いんです」
亀屋さん本人も長年愛用しており、Mー43ブーツに対する思いもひとしお。
「高度な技術であるグッドイヤーウェルト製法で作られているので、履き込むほど糸閉まりして足に馴染んでいくのが特徴です。3回ソール交換をした以外は基本的にメンテフリーで20年ほど愛用しています。ラフに履いていて様になるスエードの表情がこのモデルの魅力ですね」
足首をしっかり包む7ホールのハイト。実物同様にコットンの平紐を特別に調合したワックスでコーティングしているため、結ぶと固く締まって解け難くなり野戦用に適していた。
厚手の牛革を裏使いしたスエード面には防水効果を高める浸透性ワックスが処理される。前期型は羽根の先端にリベットが打たれており、1944年以降の後期型はリベットを省略。
革の表面が裏使いされているので滑りが良く、足の出し入れがしやすいのが特徴だ。またブーツの内側にはスペックナンバーとコントラクトナンバー、サイズが刻印されている。
インソールに実物同様の刻印が入る。実物から型を起こしたラストを使用し、グッドイヤーウェルト製法で製作。縦と横にアッパーを吊り込んで底付けされており、足馴染みが良い。
実物を金型から再現したアウトソール。靴底全体を覆うフルソールとなっており、防水性と強度面が高い。また両足で72本のネイルが職人によって手打ちされている。
マルチに使えるフットギア・コーディネイトSample!
太めのシルエットとバランスの良いコーディネイトが楽しめるM-43ブーツ。ワイドストレートのインディゴデニムトラウザーズとのスタイリングもバランスよく楽しめる。スエードのサンドカラーは、深みのある藍色をカジュアルな装いにまとめてくれるので、アメカジコーデの参考例としてトライしたい。

元々が野戦用ブーツだけあって、オリーブカラーのミリタリーパンツとも好相性となっている。太いシルエットが特徴のミリタリーパンツでも、そのボリュームに負けないM-43ブーツの存在感は、コーディネイトしやすいはず。ミリタリーパンツの裾を絞ってシルエットを変化させて履くのもOKだ。
【問い合わせ】
バズリクソンズ(東洋エンタープライズ)
TEL03-3632-2321
http://www.buzzricksons.jp
(出典/「Lightning 2025年1月号 Vol.369」)
Text/A.Shirasawa 白澤亜動 Photo/M.Watanabe 渡辺昌彦
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