フライングシューズ としても活躍した野戦用ブーツはミリタリーコーデに欠かせない!

  • 2024.12.28

フライトジャケット研究家であり、バズリクソンズの企画統括を務めるミリタリーカルチャーの有識人・亀屋さん。数々のヴィンテージを分析し、当時の様々な資料を読み解き、経験から得た膨大な知識でフライトジャケット初心者から玄人までわかりやすく解説してくれる頼れる先輩だ。今回は野戦用ブーツを取り上げる。

塾長 亀屋康弘

野戦用ブーツ(別名タイプⅢ)はフライングシューズとしても活躍した。

第二次大戦時に激戦のヨーロッパ戦域を始めとして、全ての戦闘地域において米陸軍兵士達のフットギアとして使用されたM-43ブーツ。大空で戦うパイロットやクルー達にもフライングシューズとしても愛用された歴史を持つ。(バズリクソンズ/8万6900円)

1963年に公開された映画「大脱走」にて、往年のハリウッドスターであるスティーブ・マックイーンが演じるバージル・ヒルツ大尉が履いていたコンバットブーツとして、アメカジ界隈では知れ渡った存在であるMー43ブーツ。スエード面をアッパーに使用したカジュアルでラフな印象は、ミリタリーブーツながらファッション感度も高い。亀屋さんに改めてその魅力を語ってもらった。

「1943年にアメリカ陸軍に採用されたサービスシューズになります。映画『大脱走』で米軍バイロットであるバージル・ヒルツ大尉が履くことから分かるように、米陸軍航空隊(USAAF)で使用されたフライングシューズでもあります。革の表面が裏使いされているので足の出し入れがスムーズなのが特徴です。スエード面には防水効果を高める浸透性のワックスが染み込ませてあり、米軍実物でも縫製後に手塗りで塗り込まれていたので、独特な色ムラがあるので味わい深いんです」

亀屋さん本人も長年愛用しており、Mー43ブーツに対する思いもひとしお。

「高度な技術であるグッドイヤーウェルト製法で作られているので、履き込むほど糸閉まりして足に馴染んでいくのが特徴です。3回ソール交換をした以外は基本的にメンテフリーで20年ほど愛用しています。ラフに履いていて様になるスエードの表情がこのモデルの魅力ですね」

足首をしっかり包む7ホールのハイト。実物同様にコットンの平紐を特別に調合したワックスでコーティングしているため、結ぶと固く締まって解け難くなり野戦用に適していた。

厚手の牛革を裏使いしたスエード面には防水効果を高める浸透性ワックスが処理される。前期型は羽根の先端にリベットが打たれており、1944年以降の後期型はリベットを省略。

革の表面が裏使いされているので滑りが良く、足の出し入れがしやすいのが特徴だ。またブーツの内側にはスペックナンバーとコントラクトナンバー、サイズが刻印されている。

インソールに実物同様の刻印が入る。実物から型を起こしたラストを使用し、グッドイヤーウェルト製法で製作。縦と横にアッパーを吊り込んで底付けされており、足馴染みが良い。

実物を金型から再現したアウトソール。靴底全体を覆うフルソールとなっており、防水性と強度面が高い。また両足で72本のネイルが職人によって手打ちされている。

マルチに使えるフットギア・コーディネイトSample!

太めのシルエットとバランスの良いコーディネイトが楽しめるM-43ブーツ。ワイドストレートのインディゴデニムトラウザーズとのスタイリングもバランスよく楽しめる。スエードのサンドカラーは、深みのある藍色をカジュアルな装いにまとめてくれるので、アメカジコーデの参考例としてトライしたい。

バズリクソンズ企画スタッフ 佐々木洋佑さん

元々が野戦用ブーツだけあって、オリーブカラーのミリタリーパンツとも好相性となっている。太いシルエットが特徴のミリタリーパンツでも、そのボリュームに負けないM-43ブーツの存在感は、コーディネイトしやすいはず。ミリタリーパンツの裾を絞ってシルエットを変化させて履くのもOKだ。

【問い合わせ】
バズリクソンズ(東洋エンタープライズ) 
TEL03-3632-2321
http://www.buzzricksons.jp

(出典/「Lightning 2025年1月号 Vol.369」)

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