ミリタリー巧者に学ぶ、カモ柄パンツをファッションに取り入れた大人の着こなし5選。

ストライプやチェックに比べて主張が強く、コーディネイトに取り入れるのが難しく感じられるカモ柄。そこで、ミリタリースタイルに一家言ある5名に「カモ柄パンツを軸にコーディネイトを組んでください!」とリクエスト。あえて主張あるアイテムを合わせたり、シンプルなアイテムでバランスを取ったり……。参考にしたいテクニックが盛りだくさんだ!

01…武骨なヴィンテージスタイルに 上品さと遊び心をプラス。

ボンクラ/ディレクター 森島久さん|サラリーマンを経て、2011年に自身のブランド〈ボンクラ〉を始動。10代の頃にヴィンテージやデニムに夢中になり、その確かな審美眼と豊富な知識を活かして古着キュレーターとしても活躍する。パンツ/40年代のUSマリンコープ、スウェット/ヴィンテージ、シャツ、タイ/ともにボンクラ、スニーカー/ヴァンズ、時計/ロレックス(すべて本人私物)

“トラッド”を取り入れることでバランスを取る。

1940年代のダックハンターカモのパンツ、ヴィンテージスウェット、さらにカモ柄のスニーカーを合わせた一見派手なコーディネイトながらどこか上品さを漂わせ、全体としてのまとまりも感じられる。
その要因は森島さんがカモ柄パンツを穿くうえでの考え方にあった。「カモ柄は主張が強く、他のアイテムはシンプルにしたくなるもの。それでも自分はあえて足します。今日だとスウェットはボロボロだし、足元も柄モノ。そこでインナーでタイを結び、“トラッド”なポイントを作ることで意外と上品にまとまるんです」

カモ柄×カモ柄で遊び心を。

ダックハンターのパンツにウッドランドのスニーカーを合わせた上級者スタイル。「一見派手ですが、柄×柄は遊び心を表現できます」

軍パンにはミリタリーウォッチを選択。

パンツのテイストに合わせてミリタリーウォッチを選択。「同じテイストのアイテムを複数取り入れることで、全体にまとまりが生まれます」

02…パンツを軸に細部までミリタリー尽くし!

バズリクソンズ/企画スタッフ 佐々木洋佑さん|バズリクソンズでミリタリークロージング全般の企画から生産まで手掛け、ブランドの次世代を担っていく若きホープ。趣味はミリタリー全般とサバイバルゲーム! ジャケット、パンツ、ブーツ/ともにバズリクソンズ、時計/ブライトリング(すべて本人私物)

いちばん目立つカモ柄は、ゴールドタイガーカモだ!

ベトナム戦争時に在日米軍調達本部が日本で調達したストライプパターンを用いたゴールドタイガーカモパンツに、同じくベトナム戦争で米軍が着用していたファティーグジャケットを羽織り、年代を合わせたのが最大のポイント。
さすがはバズリクソンズの若手ホープ。アイテムの背景や年代を考慮しながら組み合わせるというミリタリー上級者テクニック。インナーや足元に明るいカラーを取り入れることで抜け感がプラスされ、爽やかな秋の装いを演出。
「カモ柄の中でも、’40〜’70年代の米軍のカモ柄が好きです」

足元だって、ミリタリーで攻めたい!

通称「TYPE III」と呼ばれるM-43サービスシューズをチョイス。足元にベージュカラーを持ってくることで全体のバランスをとっている。

パンツを引き立たせるためのさりげない小物使いが絶妙。

小物はブライトリングのナビタイマーのみ。あえて小物使いをシンプルにすることで、時計やパンツの存在感がより一層映えてくる。

03…天邪鬼な男が選ぶのは王道じゃないカモフラージュ。

GMT/プレス ミウラシュランさん|1984年生まれ、千葉県出身。シューズのインポーターであるGMTのプレスを務める。人脈の広さは計り知れず、ライトニングの兄弟誌『2nd』の長寿連載「無礼講酒場」でその力を遺憾無く発揮している。趣味は落語鑑賞だが、最近は落語に加えて講談に夢中。パンツ/70年代のミッチェルカモパンツ、スウェット/60年代のスウェット、シューズ/ドン キショース(すべて本人私物)

ミリタリーアイテムではなくひとつの柄として扱う。

ちょっと変わったカモ柄は’70年代にアメリカ軍にて採用されていたミッチェルカモ。「カモ柄のパンツを穿くときは、革靴は履かず、スウェットなどシンプルなスタイルにするのがマイルールです。当時使われていただけにミリタリー感は強く、どれだけそこを崩して街着として落とし込むかを意識してますね」

強い柄にはシンプルなスウェットを合わせる。

1961年にアメリカのラジオ番組のキャンペーンで作られたプリントスウェット。「パンツの柄の主張を遮らないようワントーンカラーを選んでいます」

足元はリゾート感のあるエスパドリーユをチョイス。

カモ柄のパンツには革靴を合わせないことがマイルールだという。「天邪鬼な性格なので、リゾート感のあるピースフルなシューズを選んでいます」

04…細部にまで気を配った肩肘張らないアメカジスタイル。

スマートクロージングストア 原宿/マネージャー 姫野賢次さん|長きにわたり、原宿店のマネージャーとして現場に立ち続けるスマートクロージングストアの大黒柱。アメカジからトラッドまで幅広いスタイルに精通し、親しみやすい人柄と確かなスタイリング提案で、彼を目当てに来店する服好きもい多い。パンツ1万8700円、シャツ1万9580円、リング2万9700円/すべてフェローズ、ローファー/ジャランスリウァヤ、バングル/ネイティブアメリカン5万600円(すべてスマートクロージングストア 原宿 TEL03-3406-0012)、Tシャツ/フェローズ(本人私物)

インパクトのあるハンターカモは“引き算”でバランスを取る。

フェローズがレギュラーアイテムとして展開しているハンターカモのパンツは、やや細めのシルエットが特徴。「意外とない、スッキリとしたカモ柄パンツにワークシャツ、足元はローファーで、シンプルでありながら王道すぎないアメカジスタイルを意識しました」。

手元の小物使いで個性を出す。

シンプルなスタイルの中で手元のアクセサリーが存在感を発揮。ネイティブアメリカンジュエリーは、ミリタリーなどのラギッドスタイルと好相性だ。

裾幅に合わせて足元はローファーを選択。

やや細めのパンツには、ボリュームの少ないペニーローファーを選択。「軍パンにブーツの王道スタイルではなく、“ハズし”の要素も加えています」

05…パンツの存在感を活かした大人のミリタリースタイル。

ユナイト ナイン/プレス 大桃祥弘さん|1987年、埼玉県出身。大学卒業後、セレクトショップの販売員を経て現職に。〈レミ レリーフ〉や〈イル ワンエイティー〉のPRを務める。M-43チノやM-51フィールドパンツなどを所有しており、ミリタリーパンツには目がないのだとか。パンツ/ベルギー軍、ジャケット、Tシャツ/ともにレミ レリーフ、ブーツ/オールデン、バンダナ/ヴィンテージ(すべて本人私物)

カモ柄パンツを穿く時のキーワードは“足しすぎず引きすぎず”のバランス。

ズドンと落ちる極太シルエットが目を引くベルギー軍のブラッシュカモが主役。トップスは無地、首元にはアクセントを入れて全体のバランスを重視した。「生地の重量感やシルエットなど、パンツの存在感を活かすことにフォーカスしました。“足しすぎず引きすぎず”がカモ柄パンツを穿く時のマイルールです」

首元のバンダナが絶妙なアクセントに。

首元にバンダナを巻いてアクセントに。「オリーブと赤の組み合わせが個人的に好きで。色を入れることでと全体の印象も結構変わるんです」

タンカーブーツを合わせてとことんラギッドに!

足元にはミリタリーに出自を持つタンカーブーツを選びテイストを統一。「裾幅の広いパンツにはボリュームのある靴を合わせるとバランスが取れます」

(出典/「Lightning 2024年10月号 Vol.366」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

Pick Up おすすめ記事

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...