この30年で価値が上昇したデニムは? 「ベルベルジン」藤原さんとデニム市場を振り返る

’90年代のヴィンテージブームから花形であったデニム。ヴィンテージデニムに魅せられたクリエイターたちが心血を注ぎ、再構築したジャパンデニムは、今や日本を代表するプロダクトに。日本が作ったと言っても過言ではないデニムの価値観を名店ベルベルジンの藤原さんに語ってもらった。

ヴィンテージデニムは 今がもっとも高い。

「BERBERJIN」藤原 裕さん|1977年生まれ。高知県出身。高校を卒業後に上京し、ベルベルジンに入社。ヴィンテージデニムアドバイザーとして数々のブランドや企業に携わる。今年の3月にはベルベルジンで初となる飲食店、来々軒原宿店を開店

日本を代表するヴィンテージショップであるベルベルジンのディレクターであり、ヴィンテージデニムアドバイザーとして様々な企業やブランドとタッグを組む藤原さん。その豊富な知識や独自の審美眼は各方面から評価されており、藤原さんが着用したヴィンテージが高騰するなど、インフルエンサー的な側面も持つ。そんなヴィンテージデニムのスペシャリストにここ30年の流れを振り返ってもらおう。

「現在は第二次ヴィンテージブームと言われていて、正直’90年代の同ブームを凌駕するくらいデニムが高騰しています。同じ品番でもコンディションが良いものが高いというのは変わりませんが、近年はデッドストックやミントコンディションに対する評価が高く、より高い値段で取引されるようになっています。

’90年代のヴィンテージブームと比べると3倍位になっており、自分たちでも驚くような価格になっていますね。’90年代は日本だけのブームでしたが、今は本場のアメリカを筆頭に世界中で起こっている流れなので、そもそもの仕入れ値も上がっているのが現状です」

’90年代から変わらず、リーバイスの501XXや506XX、507XXがヴィンテージ市場の人気の中心ではあるが、この30年でさらに細分化され、さらに深堀りされていった。

「’90年代のヴィンテージブームは’50年代までが中心で、例えば501だとそれよりも前の大戦モデルや’36年モデルなどは高嶺の花で、さらに昔のモデルはリアリティのない時代でした。2000年代にはそのブームが落ち着くのですが、2008年頃から’30sブームが起こるんです。

人気ブランドがモチーフとしたアーカイブが注目を集める流れとなり、’30年代以前のヴィンテージをオマージュしたデザインが流行します。その結果、変形ポケットのカバーオールなどの戦前のワークウエアが盛り上がったんです。

’90年代のヴィンテージブームではクローズアップされていない部分だったので、新鮮でしたし、おもしろいデザインが多く、今でも初めて見るものがあるくらい。

ここ数年はなんと言ってもオーバーサイズです。背面がセパレートしたサイズ46以上の506XXで通称Tバックと呼ばれるものは、海外でもとんでもない価格になっています。それに引っ張られるようにサイズの大きいGジャンの価格が高騰していますね」

藤原さんが監修を務めたリーバイスの501XXとGジャンに特化したヴィンテージ本。2015年に501XX、2020年にGジャンを発刊し、これがヴィンテージ市場を活性化させたのは間違いない。希少なデニムが並んでいる

30年間の流行に比例して、価値も上昇したデニムとは?

近年のヴィンテージブームで、デニムは高騰化しており、数カ月が相場が変わる世界。30年以上、デニムを追い続けてきたスペシャリストである藤原さんにプライベートコレクションとともに、その動向を解説してもらった。

LEVI’S 501 66MODEL

通称66モデルと呼ばれる70年代の501のデッドストック。近年はデッドストックやミントコンディションのデニムが評価されており、ヴィンテージブーム時に比べると3倍位のプライスになっている。

LEVI’S 506XXE

藤原さんが流行らせたと言っても過言ではない背面がセパレートした通称Tバックと呼ばれる506XX。針ありだと46、針なしだと48以上が生地幅の関係で背面がセパレートする。ものによっては1000万単位だ。

Unknown COVERALL

2000年代後半から盛り上がった’30年代以前のワークウエアの中でも、変形ポケットの付いたカバーオールは花形。当時はマイナーなブランドも数多く存在し、それぞれが知恵を絞り出した特徴的なポケットを考案。そんな歴史を感じる代物だ。

LEVI’S 501XX

1936年にリーバイスのアイコンである赤タブが付く。1937年には、ウエストのサスペンダーボタンが省略されてしまうので、1年ほどしか生産年数がなかった希少なモデル。’90年代よりも高騰。

LEVI’S DENIM WESTERN SHIRT

’90年代より人気の高いリーバイスのショートホーンタグの付いたデニムウエスタンシャツ。これはスマイルボタンと呼ばれるリーバイス刻印入りの珍しいスナップボタンが使われており、かなり希少なモデルだ。

(出典/「Lightning 2024年5月号 Vol.361」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

無垢の金属、輝く伝統。純金や純プラチナを使った「市松」の究極の逸品

  • 2026.09.25

純金や純プラチナなど、純度100%の軟らかい金属をアクセサリーにするためには非常に高い技術が必要だ。それを可能にするのが「市松」。約30年にわたって培った“叩く”技術が可能にする唯一無二のリングの輝きに迫る。 熟練の技なくしては完成しない究極の逸品 原材料高騰の影響もあって、希少性が高まっている純金...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

Pick Up おすすめ記事

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

無垢の金属、輝く伝統。純金や純プラチナを使った「市松」の究極の逸品

  • 2026.09.25

純金や純プラチナなど、純度100%の軟らかい金属をアクセサリーにするためには非常に高い技術が必要だ。それを可能にするのが「市松」。約30年にわたって培った“叩く”技術が可能にする唯一無二のリングの輝きに迫る。 熟練の技なくしては完成しない究極の逸品 原材料高騰の影響もあって、希少性が高まっている純金...