穏やかな雰囲気と極上の焼き鳥に舌鼓を打つ。
いわゆる「裏渋谷」の一画にある、焼鳥の老舗だ。渋谷駅から徒歩10分の距離なのに、神泉に漂う情趣はさながら下町。ただし、新陳代謝の進むエリアゆえ、千羽のような昭和の御代から続く店も少なくなった。
ご主人の酒井健次さんは滋賀生まれ。40歳で脱サラし、店を始めた。狭い厨房でいそいそ働く姿はとても80歳を超えたとは思えない。半世紀以上も連れ添う女将の貞子さんとはスキーがきっかけで知り合い、渋谷のダンスホールにもよく繰り出したという。
以前の店は神泉仲通りにあったが、横丁に引っ越したのも、のんびり商いたいがため。しかし、最近ではテレビでも立て続けに紹介され、「若い子たちもよく来てくれるの」と、元祖渋谷女子の女将も嬉しそうだった。
秘伝のつけだれは、大将が研究に研究を重ねたもの。お酒に合うように醤油ベースで甘くないたれにしている
常連さんの会社でつくってもらった千羽オリジナルTシャツ。お客さんに愛されていることがよく分かる
串焼きがうまい!「千羽」の看板メニュー。
看板の千羽焼き(280円)はつくねの香草焼き。入っている3種の香草は何かを当てる趣向が面白い。
千羽タレ焼き若どり(220円)は七味をかけて。本格焼酎で作るレモンサワーとの相性もピッタリ。
牛スジのカレー風味煮込みも名物。焼酎の当てにも向くが、思わずライスが欲しくなる濃厚な旨味にクラクラする。
【DATA】
千羽
東京都渋谷区円山町17-2
TEL03-3780-0285
営業/19時~25時
休み/日曜・第3土曜
※値段など情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/別冊Lightning Vol.209「TOKYOノスタルジック横丁」)
Text/ R.Suzuki 鈴木隆祐 Y.Takeuchi 竹内佑騎 Photo/ A.Kuwayama 桑山章 Y.Amino 網野貴香
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