まるで芸術のようで玩具みたいな“アート・トイ”の専門店。

ブレランファンはもちろんSFファンに知られる「留之助ブラスター」の開発をはじめ、日本ではあまり認知度のないアーティストが手がけるオモチャ “アート・トイ” の専門店である「留之助商店」。幅広い見識と豊富な人脈を持つ店主の中子真治氏は、日本の現代アメリカン・ポップ・アートを語るには外せない重要人物のお一人だ。そこで中子氏に留之助商店の商品を紹介してもらいつつ、アート・トイの魅力を聞いた。

「留之助商店」代表・中子真治さん|1980年より6年間LAに在住し、著作も多数で映画ジャーナリストとしても知られる。後に家業の関係から違う仕事に携わるが引退後、2006年より「留之助商店」を創業

コレクターであり自ら様々なトイも手がける。

映画『ブレードランナー2049』(2017)の撮影用プロップとして使用された通称・「留ブラ(留之助ブラスター)」の開発でSFファンやガン愛好家には知られる「留之助商店」。

岐阜県下呂市にある「留之助商店」(アポイント制)。壁際のショーケースの中はアーティストの一点モノやショップオリジナルの品などコレクタブルなアイテムがズラリと並ぶ

といえば、まずは知名度の高い「留ブラ」がフィーチャーされがちだが、実は開発者で店主の中子真治さんはアート、しかも現代のアメリカン・ポップ・アートにも非常に造詣が深く、主にアメリカ在住のアーティストが手がける“アート・トイ”のコレクターとしても界隈では知られたお方。

中子さんの書斎。さりげなく置かれた作品もセンス抜群。書棚の一角には自身の映画関連の著作をまとめたコーナーも。「SFX」という言葉は中子さんが作ったんだそう!

「アートといっても上品なファイン・アートではなくて、ポップ・アート、いわゆる “ロウブロウ・アート” が好きなんですよ」

オリジナルから映画のパロディなど摩訶不思議な世界観のキャラクターにド派手な色使いで、フィギュアともオモチャとも違う “アート作品” としてのオブジェは、どれも強烈なインパクトを放つ。

コレクター歴も長くアーティストやメーカーなど界隈での面識も広いので、世界限定1個といった作品からお店オリジナルのアイテムまで、岐阜県下呂市のショールームにはレアな作品がズラリ。

ただし、現在はウェブサイトでの販売がメインで、ショールームは予約制。スタンダードなアメリカとは一線を画す進化系アートの世界を知るなら、まずはウェブサイトをチェックしてみて欲しい。

2010年に完成した「留ブラ」だがその後もアップデートやカスタムが施されており、現在までに全10種のバリエーションが存在する。こちらがその歴代モデル
ブレードランナーのオフィシャルで発売されたミニカー(上)を題材にして製作した陶器の箸置き。完成度やロゴのパロディなど遊び心も満点
映画『ピラニア』(1978)のプロデューサー監修の元、本物の小道具を元に再現した「ピラニア・プロップ・レプリカ・モデル」(6万9300円)
「最近のお気に入り」という、イラストレーターでトイ・クリエイターのトレーシー・チューベラの「フューチャー・ボーイ」。バック・トゥ・ザ・フューチャーのライセンス品。2万2000円
アート・トイの作家はイラストレーターやアーティストということが多いそうで、ショールームの一角にはアーティストの原画も。ポップアート界では知られた作家ばかり。この中から未来の巨匠が生まれるかも?

進化し続ける 「アメリカン・アート・トイ」 の世界へようこそ!

海外コレクターも大絶賛した留之助ブラスター!

SF映画『ブレードランナー』(1982)で主人公演じるハリソンフォード使用の銃を精巧に再現した「留之助ブラスター」。その完成度が本家スタッフに認められ2017年の続編『ブレードランナー2049』の劇中に採用された逸話を持つ。バリエーションも多くこちらは「OG」。現在は販売終了。

ポップ・アートの巨匠をアートに。オシャレな胸像だ!

アート・トイの大手メーカー、キッドロボット社から発売されたアンディ・ウォーホル・バストのオレンジカモフラージュ。ポップ・アートの巨匠だけに何してもオシャレ。こちらは若干在庫あり。3万8500円

同じベースに異なるアーティストが表現。

アート・トイの大手、キッドロボットのダニーはウサギをモチーフとしたベースに様々なアーティストが表現するという人気シリーズ。飾られているのはどれも1点モノや世界限定10個、生産終了といったコレクタブルなものばかり。

アメリカ在住の日本人アーティストとのコラボ。

アメリカ在住の漫画家・イラストレーターの水野純子さんがオリジナルで書き下ろしたキャラをソフビにした人気シリーズ「タコウモリ」の新色パープルと、SF のアートギャラリー「WOOTBEAR」限定カラー。ASK

各モデル発売即完売の人気アイテム。さらに現在も新作計画進行中!

やや大ぶりの留ブラに対して、より手の収まりがいいようにと開発された「留之助ブラスター・チビ」。スケールダウンしたからといってチャチくなることはなく、その完成度の高さは本家同様。新作ながら既に8月発売分も完売。ただ、現在次なる新作も開発中! 最新情報は中子さんのブログをチェック!

イギリスのアーティストとコラボしたロボキャラ。

SF映画『禁断の惑星』(1956)に登場するロビー・ザ・ロボットの叔父という設定でイギリスのアーティスト、ドクター・Aと制作した「トーマス・ノスケ」。LEDが点灯し3色に光る。非売品

【問い合わせ】
留之助商店
TEL0576-25-2010
https://tomenosuke.thebase.in

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年8月号 Vol.352」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

今季ワードローブに加えたいアイテムを厳選紹介! 「EIGHT-G」で秋支度。

  • 2026.10.04

秋の装いが楽しくなる季節。ミリタリーやワークといったアメリカ由来の実用服をベースに、素材やディテールへこだわりを詰め込んだエイトジーの新作から今季のワードローブに加えたいアイテムをピックアップ。 (右)ジャケット110,000円(TMJ2615)、シャツ23,100円(8LS-81)、ジーンズ24,...

歴史に残る空軍服を、いま再び。機能美が息づく「中田商店」のモーガンメンフィスベル

  • 2026.10.02

メンフィス・ベル号の機長、ロバート・K・モーガン氏との交流から始まったモーガンメンフィスベルは第二次世界大戦期の空を支えたフライトウエアを現代に蘇らせる中田商店のオリジナルブランド。極限の環境で求められた機能と、色褪せない完成されたデザインが魅力の航空服を紹介する。 R.A.F. Irvin She...

いつもの装いに、頼れる履き心地。この秋は、コートスニーカーとチロリアンシューズがあればいい

  • 2026.09.18

トラッドな装いになら、足元はやっぱり品よくいきたい。でも、履き心地だってこだわりたい。そんな欲張りな気分に応えてくれるのが「ロックポート」。クラシックな佇まいと快適さを両立した2足を紹介する。 品よく履けて、しっかり快適 「お洒落は我慢」とは言うけれど、格好よさも履き心地も譲れない。そんなわがままに...

日本の技で蘇る、旧きよきアメリカンベーシック。100年前の起毛機を使った「DISCUS」のスウェット

  • 2026.09.18

「ディスカス アスレチック」の「MADE IN JAPAN」プロジェクト。和歌山で受け継がれる約100年前の起毛機とそれを支える職人の技。そのこだわりから生み出されるスウェットの魅力を追った。 スウェットの裏側に宿る百年起毛 1973年、アメリカで誕生した「ディスカスアスレチック」。その歴史を日本の...

Pick Up おすすめ記事

労働者やアウトドアマンに愛された実用服。「ウエアハウス」のフランネルシャツ

  • 2026.10.02

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 糸そのものから再現し旧式の織り機を用いて製作 フラン...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

無垢の金属、輝く伝統。純金や純プラチナを使った「市松」の究極の逸品

  • 2026.09.25

純金や純プラチナなど、純度100%の軟らかい金属をアクセサリーにするためには非常に高い技術が必要だ。それを可能にするのが「市松」。約30年にわたって培った“叩く”技術が可能にする唯一無二のリングの輝きに迫る。 熟練の技なくしては完成しない究極の逸品 原材料高騰の影響もあって、希少性が高まっている純金...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...