スコッチとは相反する製法で飲みやすさを追求。
イギリス連合王国の一部である北アイルランドとアイルランド共和国で造られるウイスキーを、総称してアイリッシュウイスキーと呼び、ウイスキーの歴史上、最も旧いのがアイリッシュウイスキーといわれている。
アイルランドにはスコットランドよりも多く蒸溜所があったが、第一次世界大戦や第二次世界大戦など相次ぐ戦争や、アメリカの禁酒法の影響を受け、多くの蒸溜所が閉鎖を余儀なくするという歴史もある。
アイリッシュウイスキーの大きな特徴は、伝統の回蒸溜にある。かつてアイリッシュウイスキーには、スコットランドとは異なる課税方法が取られていたため、大麦麦芽以外の安い穀物を使うようになった。しかしライ麦などの穀物を使うと、そのフレーバーが強くなってしまうため、それを回避すべく蒸溜精度を上げ、アルコール度数を上げる回蒸溜という製法が用いられた。
さらに未発芽のノンピートの大麦を使用したことでアイリッシュウイスキー=飲みやすいという評価に繋がったのだ。
アイリッシュウイスキーとは?
1.クーリー蒸溜所
1987年創業とアイリッシュウイスキーの蒸溜所としては最も新しい。独立資本の小規模蒸溜のため自社製品だけでなく、ボトラーズなども手がけている。
2.新ミドルトン蒸溜所
もともとは1825年創業。世界最大のポットスチルを有していたことで知られる。ピュア・ポット・スチルウイスキーをつくる巨大なポットスチルが4基ある。
3.ブッシュミルズ蒸溜所
1608年に国王から蒸溜免許を与えられたが、実際に建てられたのは17 84年のこと。アイリッシュではめずらしいモルトウイスキー蒸溜所。
ピュアポットスチルウイスキーって何?
本来の伝統的な蒸溜方法を用いたアイリッシュウイスキーを、ピュアポットスチルウイスキーという。大麦以外の穀物を使い、それを大麦麦芽で糖化するというやり方で、ポットスチルで3回蒸溜する。ブレンデッドスコッチウイスキーに対抗して、100%ポットスチルで製造している「ピュア」なウイスキーであることを強調して、そう呼んでいるようだ。
ダブリンの蒸溜所はスゴかった!
19世紀後半、アイリッシュウイスキーはスコッチウイスキーと同等の規模を誇り、特にイングランドや英植民地では、スモーキーな個性を放つスコッチよりも飲みやすさの面などで評価が高く人気を博していた。中でもダブリンは、ジェムソンで有名なボウ・ストリート蒸溜所をはじめ、マローボーン・レーン蒸溜所、ジョンズ・レーン蒸溜所、トーマス・ストリート蒸溜所はビッグ4と呼ばれるほど全盛を誇った。
Illustration/H.Yoshimoto 吉本穂花
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