クラシカルなデザインが織りなす重厚な雰囲気に酔いしれる。カレッジリングの現在の市場価値は?

アメカジ好きには知られるアメリカを象徴するアイテム「カレッジリング」。近年、アメカジ界隈のみならず、若い世代の間でも注目を集めているという。アメリカでは旧い歴史を持つだけにヴィンテージ好きなら要チェックのアイテムだ。

「オールドアート アンティーク&ヴィンテージ」代表・近田章さん

欧米のアンティーク、ヴィンテージのアクセサリー、アイウェアやフリーメイソングッズなど個性的な品揃えで愛好家に知られるショップのオーナー。自身でリングをデザインして制作する彫金師でもあることから、カレッジリングへの造詣も深い。

誕生から190年近くの歴史を持つ定番アイテム。

日本では「カレッジリング」の呼称で知られるが、実はコレ、和製英語で、正式には階級や属、区分などを意味する「Classification Ring」、通称「Class Ring(クラスリング)」といわれる。年代によるデザインの変遷はあるが、全体的に重厚な雰囲気が特徴的。学校卒業を記念するカレッジリングのほかに、軍関連のミリタリーリング、クラブやチームのクラブリング、団体スポーツ優勝時のチャンピオンリングなどさらに細かいジャンルに分けられる

アメリカでは旧くから高校や大学の卒業記念に「カレッジリング」を作る文化が根付いている。

その歴史は非常に旧く、ルーツは諸説あるが、中世ヨーロッパ貴族が自身の紋章を入れた「シグネットリング」が発祥で、それをモチーフに1835年、アメリカ陸軍ウエストポイント士官学校の卒業生が同期の証として作った指輪から広がった、との説が有力だ。

士官学校卒業や所属部隊を記念して作られる「ミリタリーリング」というのもひとつのジャンルとして確立しているので、それはまた違う機会に掘り下げるが、そこから派生して学生の間で「カレッジリング」が定番化した。

日本とは異なり、入学よりも卒業の方が遥かに難しいアメリカでは、カレッジリングを作ることは名誉であり、格式ある男の証としての役割も果たしている。

日本では1960年代に流行したアイビーファッションとともに「カレッジリング」という名称で若者たちの間で知れ渡った。

重厚でクラシカルなデザインという点では共通しているが、歴史あるアイテムだけに時代ごとにその特徴に違いがある。その見分け方は他のアイテムに比べて意外とシンプルなので、ぜひこれを機会に基礎知識を身につけておこう。

カレッジリングを楽しむ前に基本的な見方を知っておこう。

リングの顔となる中央部分。

カレッジリングというと中央に配された石を思い浮かべる人も多いと思うが、これは主に’60年代に入ってから。’50年代以前はシグネットリングの影響が色濃く残るのか、学校のロゴなどが刻印されていることが多い。また石の形も「オーバル型」や「スクエア型」、表面の加工によって「スムース」「ファセット」「サンバースト」、さらには石の周りの「ベゼル」部分の装飾や仕様など様々なタイプが見られる。

サイド部分で年代がわかる。

リングの両サイドには製造年(卒業年)が入れられているので、ここを見るとほぼ年代が特定できる(ベゼル部に入っているものや年代のないものもある)。左面に「19」、右面に「50」や「60」などと入っていることが多いがこれは「1950」「1960」の意。ほかにも、「学校名」「校舎」「チームロゴ」「学位を表す頭文字」などが入っている。

マニア度の高い人は裏面もチェック。

裏面には元々のオーナーだった人のイニシャルやフルネームが入っているほか、メーカーの刻印も入っていることが多い。ちなみに、ジャスティン、バルフォアの2社が有名で、ほかにハーフジョーンズ、キーストーン、アルゲントゥス、ジョン・ロバーツといったメーカーのものも見られる。メーカーによっての違いはあまりないのでよほどのコレクターでない限りは気にする必要はないだろう。

年代によってデザインも変化を遂げている。

ロゴや石、卒業年といった基本の要素は変わらないが、時代ごとにデザインに変遷が見られるので、デザインで選ぶのもオススメだ。

主な特徴として、1940年代以前はスリムで小ぶりなサイズ感でシンプルなデザイン。1950年代は少しサイズが大きくなりセンターにエナメルなどが施されるようになる。1960 ~ ’70年代にはセンターに石(’60年代はオニキスやエナメル、’70年代からは人工石)が入るように。1980年代以降は石が大きくなりカットの種類も増え、ベゼルやサイドも太くなり、細密なデザインが入るなど、大ぶりでゴージャスなモノが主流に。

製造年代で選ぶのか、デザインで選ぶのか?

「カレッジリングは年代の特定が難しいアイテムに比べると、表記が明確なので年代にこだわる人はそこも楽しめると思います」

と話すのは、ヴィンテージからアンティークとなる年代のカレッジリングを数多く取り扱う「オールドアート」の近田章さん。

カレッジリングは通常サイド部分に「卒業年」が入るため、一部を除きサイド部を見れば一目瞭然。そのほかに、サイド部には「学位を表す頭文字」「専攻を表すマーク」「チームロゴ」などの情報が刻印されている。

また、中央のデザインも石があるかないか、石の形や色など様々なタイプが存在している。

「デザインも時代によって流行りがあるようで、’50年代以前だと旧くなるほど小ぶりで石を使わないモノが多く、’60年代以降になると石入りのデザインがメインになってきます。そして、’80~’90年代頃になると全体的に大ぶりで凝ったモノが多く見られます」

楽しみ方としては、自分の生まれ年など「年代」で選ぶ、年代ではなく「気に入ったデザイン」で選ぶというのが主なところ。当然アメカジとは相性抜群。コレクターならずとも手軽にコーデにアクセントを加えられるアイテムとして押さえておくべし。

市場価格を知る!

1931年製

貴重な1931年のデッドストック級の美品。10金製。’30年代にしては珍しく中央に緑石が留まり、クロスとハートのエンブレムの装飾も入る。5万8000円

1932年製

貴重な1931年のデッドストック級の美品。10金製。’30年代にしては珍しく中央に緑石が留まり、クロスとハートのエンブレムの装飾も入る。5万8000円

1961年製

1961年の10金モデル。詳細は不明だが中央には白石が留まり、エンブレムの装飾が入る。ベゼルやサイドにも刻印が入れられている。4万9000円

1931年製

1931年ハーフジョーンズの10金リング。ブラックのエナメルが装飾に用いられていて、ゴールドと黒の組み合わせがクラシカルな印象。4万8000円

1957年製

1957 年 HICKORY HIGH SCHOOLの10金モデル。’50年代としては珍しく大ぶりな合成ルビーをあしらい、重厚感ある彫刻も目を引く。6万5000円

1975年製

1975年製の10金モデル。ヘリテージデザインでダイヤ型のツメで石を留めている。サイドにもダイヤ型の装飾が配されるなどユニークなデザイン。7万8000円

1952年製

1952年製10金ヘリテージデザイン。中央には彫刻を施したエンブレム、両サイドには緑石を配置。詳細不明だが側面にあるデビル(?)の彫刻もインパクト大。7万8000円

1971年製

1971年製の10金モデル。オーバルタイプのオニキスの表面にロゴを刻印。サイドも年号と英文字だけと非常にシンプルで普段使いしやすい一品。5万8000円

1936年製

1936年バルフォア社のSELINSGROVE HIGH SCHOOLの10金リング。石の装飾なしのシンプルデザイン、繊細な彫刻もそのまま残るデッドストック級のコンディション。5万5000円

昔からアメカジファンやアクセサリー好きには知られていたが、近年は、古着やアンティーク好きの若い世代で注目を集めつつあり、新たなファッションアイテムとして人気に火がつきそうな予感も。

【DATA】
オールドアート アンティーク&ヴィンテージ
愛知県名古屋市緑区大高町伊賀殿3-4
TEL050-3395-3581
営業/12:00~19:00
休み/月火曜
http://www.old-art.net

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年6月号 Vol.350」)

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