明確なコンセプトなんてないけど、自分の中でカッコいいものを作りたい。
東京江戸川区北小岩、荒川沿いの住宅街にその店はある。スターロード。日本を代表するZ専門店のひとつ。今のような旧車がブームになる前から主にL型エンジンを搭載したZやスカイランのレストア業務を行い、その確かな技術が話題に。チューニングはもちろん、今では車高調や後付けクーラーといったパーツも評価が高く、多くの旧車専門店がスターロードのパーツを扱っていることからもその性能の高さがうかがえる。
スターロードの代表が井上正嗣さん。最近ではYoutubeにもたびたび登場し、ある意味で旧車界隈のインフルエンサー的な存在にもなっている。
ここで紹介する1977年式のZはスターロードが手がけた1台で、L2.8改3.1Lのエンジンはヘッドから腰下まで、すべてに手を入れたフルチューン。それでいてパワーステアリングやクーラーキットも装着しているのがスターロード流。
モンスターのようなエンジンを積むZでも、ちょっとそこのコンビニまでコーヒーを買いに……といった、言葉は悪いが下駄のような使い方もできるのだ。
そして最大のポイントがスターロードのオリジナルフルエアロ「ファイター2」だ。前身となる「ファイター」はワイドなシルエットだったため実用的ではなかった。そこでファイター2では迫力はあるが実用的でもあるよう幅を狭くデザインしている。このデザインのアイディアやコンセプトはどのようなものかを問うと、井上さんは困ったようにこう答えた。
「こういう物をつくりたいっていう考えはあるけど、コンセプトを考えるってことはしないかな。あくまで自分がカッコいいと思う物を作りたいだけで。すでにある物を作っても面白くないでしょ。みんなが同じじゃつまらないじゃん」
技術よりセンス。今までずっとZを見てきたからこそ生まれてきたデザイン。イベントなどで機会があれば一度見てみるといい。論より証拠。どの角度から見ても破綻なく仕上げられた迫力のデザインに圧倒されるはずだ。
どこから見ても完璧に仕上げられた圧倒のデザイン。
メッキパーツの美しい見た目に負けない、N42ブロックをベースにフルチューンしたL2.8改3.1Lのエンジン。吸気系はソレックス44φ
ステアリングはMOMOのゴッサム。メーターはDefiなど社外のメーターを違和感なくインストールする。電動パワステ付きなのでハンドルの取り回しは非常に楽。
ホイールはスターロードのオリジナルである「GLOW STAR(グロースター)」を履く。車高調もスターロードのZ専用品となる。
【DATA】
SATR ROAD
東京都江戸川区北小岩8-23-1
TEL03-5668-5675
営業/10:00〜20:00
https://starroad.jp/
(出典/「Lightning2023年5月号 Vol.349」)
Text/M.Sasaki 佐々木雅啓 Photo/D.Katsumura 勝村大輔
関連する記事
-
- 2024.11.08
初代フェアレディZをオマージュしたスペシャルなZが登場。ただしアメリカで(涙)
-
- 2024.05.21
全長を310mm延長した、4人乗りのフェアレディZ
-
- 2024.02.12
新型だけでなく国産旧車でも大定番の名車フェアレディZを深掘り。
-
- 2023.07.04
アメリカでのセールスを目標に開発された日産のスポーツカー「Z」の魅力、再発見!