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モヒカン小川、『馬の鞍』と呼ばれる、タフなキーボードHHKBを体験する

  • 2023.02.27

Lightning編集部モヒカン小川と、意外やテック系の編集部ThunderVoltのコラボ企画。ある日ThunderVolt編集部の村上タクタが、『小川さんが好きそうなキーボードがある』と話を持ってきた。そのキーボードは『馬の鞍』と呼ばれているらしい。

キーボードなのに『馬の鞍』って、いったい、どういうこと?

『面白いキーボード』って、何だよ(笑)

ある日のこと、ThunderVolt編集長の村上タクタ氏より、興味深い提案をいただいた。
「小川さん、面白いキーボードがあるんだけど、使ってみない?」

私は、アメリカンカルチャーをベースにしたライフスタイルマガジン『月刊Lightning』の編集をしていることもあり、毎日なにがしかの原稿を書いている。そのため、PCは毎日触っているのだが、キーボードにはまったく無頓着な私。キーボードを変えようなんて、考えたこともない。タクタ氏はテック系メディアの編集長で、逆に、いつも新しいデバイスを持ち歩いてる。

それにしても、面白いキーボードって何だよ(笑)。興味をそそられた私は、ありがたくその提案を受けることにした。

『馬の鞍』のように、生涯使い込めるキーボードだって!

後日、私の元にその“面白い”キーボードが届いた。【Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨】この長い名前のキーボードが、私の新しい相棒。カラバリは、墨・白・雪の3色があって、昭和の“マイコン”感のある白も捨て難かったが、普段から黒いライダースジャケットを着ている私は、墨をチョイスした。

箱から出して、眺めてみる。しっかりとした作りで、モノとしてすごくかっこいい。ブラックボディもクールな印象。でもまだ私にはこのキーボードの“面白さ”がわからない。その面白さを探るべく、まずはHHKBのサイトを眺めてみることに。

PFU Happy Hacking Keyboard(HHKB)
https://happyhackingkb.com/jp/

「アメリカ西部のカウボーイたちは……」から始まるサイトを見て、びっくりした。キーボードのサイトに、カウボーイの話が出てくるとは。

パソコンは消耗品であり、キーボードは自分の体に馴染んだインターフェース。パソコンを替えても、馬の鞍のように使い慣れたキーボードを使い続けようぜ、ということらしい。

これにはグッときた。

私は、Lightningで主にレザーに関する原稿を書くことが多いのだが、レザーアイテム、特にブーツなどは、まさにこのキーボードと同じ発想で作られている。

ブーツは、当然のことながら履き続けることでソール(靴底)が減ってくる。アッパー(ブーツ本体の部分)の革は、使い込むほどに着用者の足の形へと変形し、どんどんと味も出て履きやすく変化していく。靴底が擦り減ったら新しいソールに交換することで、一生履き続けられ、どんどん自分の身体に馴染んでいくのだ。

そのため、一流と呼ばれるブーツは、一生履き続けられる堅牢さと、ソール交換しやすい構造を持っている。スニーカーでは、こうはいかない。スニーカーは、構造上ソール交換が出来ないので、足に馴染み、いい感じになった頃にはソールも擦り切れ、ごみ箱行きになってしまう。

HHKBのコンセプト、たしかに“面白い”。

この最上級のHHKB Professional HYBRID Type-Sで、値段は3万6850円(税込)と安くはないが、一生モノの仕事の道具にお金をかけるのはむしろ当然。

ちなみに私の選んだモデルにには、墨色に黒でうっすらと文字が刻印されているが、さらに、エキスパート向けには、キートップに刻印のない『無刻印』というモデルがあって、タクタ氏によると、それを使ってる方がエキスパートっぽくてカッコいいらしい。ちょっとオカシイ(笑)

いろんなデバイスでもHHKBを使い続けられる

このHYBRID Type-Sは、Bluetooth接続とUSB接続が可能で、Bluetooth接続ではデバイスをあらかじめ4台まで登録でき、簡単に切り替えが可能らしい。ということは
●会社のデスクトップ
●自宅のノートパソコン
●普段持ち歩いてるiPad
に、簡単に使えるということではないか。

手に馴染んだマイ・キーボードを、どんな時でも使う。これって実は理にかなってるかも。

考えてみれば、ラフを書く時や取材メモを取る時でも、私は同じペンしか使わない。ノートも絶対に同じブランド。編集者とは、普段いろいろとアンテナを張り巡らせている割には、仕事の道具に関しては案外保守的なのかもしれない。

試しに、iPadと一緒に普段使いのバッグに入れてみる。

思ったほどかさ張らないし、これなら許容の範囲内。

極上の打鍵感って、こういうことか!

愛用するiPadに接続してみると……これがすごく使いやすいのだ。

深めのストロークで、打鍵感はすごく良好。「俺、原稿書いてるぜ!」と気分も上がる感じ。「静電容量無接点方式」というらしいが、キータッチが柔らかくて心地よい。

嬉しくなって、いろいろ原稿を書いてみた。もちろん、今この原稿もHYBRID Type-Sで書いている。

深夜のファミレスでビールを飲みながら書いているのだが、とにかく静かなのが嬉しい。特にこのHYBRID Type-Sは静粛性に優れているらしいが、移動中や飲み屋で原稿を書くことも多い私にとって、この静粛性はありがたい。

さらに自分仕様にカスタマイズまでできるとは!

HHKBは、そもそも「プログラマーが理想とするキー配列のキーボード」として作られているため、通常のキーの配列とちょっと異なっている。

プログラマーではない私は、最初かなり戸惑ったのも事実だ。

「Control」キーの位置が、今まで私が使ってきたキーボードと異なるため、「コピペ」やテキストを保存する際、指が素直に動かないのだ。これには参った。

早速、ThunderVolt編集長の村上タクタ氏に泣きついたところ、どうやら背面のディップスイッチを使えばキーのキーコードを変更でき、また「キーマップ変更ツール」をダウンロードすれば、すべてのキーに好きな機能を割り当てることが可能となるらしい。

こうしたカスタマイズ機能も、ありがたいかぎり。

世界に一つだけの、自分だけのモノを作り上げることができる「カスタム」は、Lightningでもお馴染みの言葉。Lightning誌面でもよくカスタムバイクやカスタムカー、カスタム革ジャンを紹介するが、「カスタムキーボード」なんて素晴らしいではないか。

長く使うために、自分仕様に仕上げられるキーボード。

使いやすく愛着も湧いて、PCを替えても使い続けたくなる“相棒”。

パソコンにもキーボードにも素人の俺だが、このHYBRID Type-Sとは、長い付き合いになりそうだ。

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