ヴィンテージと見分けがつかない! 最高峰のプリント技法が愛知県にあった!

ヴィンテージ古着のプリントの風合いには、なんともいえない独特の味わいがある。特にエイジングしたプリントなら、その個体の経歴をついつい想像してしまうものだ。そんな昔ながらのプリントにこだわる、スペシャリスト集団が愛知県に存在した。

エイジングしたプリントの風合いを見事に再現。

『VARIEGATOR/ ヴァリゲイター』とは、丸昇が2020年春夏からスタートしたブランド

ここ最近、ファッションの世界だけでなく、クルマや腕時計、ギターなど様々なジャンルで味わい深くエイジングした風合いに注目が集まっている。我々のようなヴィンテージが好きな者の間では当たり前のことだったが、例えばセレブリティのようなアッパーの人たちの間では、それは単なるダメージと認識されることが多かった。

しかし、この数年でそのイメージは覆され、むしろアッパーな人たちの間でエイジングしたものが、付加価値のあるものとして認知されるようになった。その影響もあり、特にデザインの良いエイジングしたプリントものは、その価値が高まる一方だ。

そんなヴィンテージならではのエイジングしたプリントの風合いは、完璧に再現するのが難しい。なぜなら、この現代で昔ながらのプリント手法が求められるからだ。しかも何十年も前の手法を……。だからこそヴィンテージ古着は価値があるのだ。

しかし、その我々の常識は、愛知県にある『有限会社 丸昇』に見事に覆された。あらゆる昔ながらのプリント加工だけでなく、時にはボディの仕上げ加工まで手掛け、ヴィンテージ古着ならではの独特の味わいに仕上げるというから驚きだ。その素晴らしい仕上がりは、正直ヴィンテージとの見分けが難しい。1985年の創業以来ずっと追求してきたその技術力は、最高峰の存在といえるだろう。

多様で統一感のないモノの集合体をコンセプトに、既成概念にとらわれずに「本当によい」と思える価値観を大切にしたモノづくりを目指している

【ポイント①】超染み込み

インクの浸透率を上げて生地表面の樹脂量を調整し、生地に馴染ませてムラ感を表現。

1色目の赤インクを刷り、2色目の青インクを刷る。その後乾燥させて完成。洗い加工でさらに風合いを高めることもできる。

【ポイント②】光沢かすれ薄クラック

ラバープリントの剥がれ落ちた風合いをプリントした後の手剥がし加工で表現する。

光沢のあるクラック用のインクで刷り、ヒーターで乾燥させた後、職人が手作業で剥がし加工し、古着のようにかすれさせる。

【ポイント③】ウォッシュアウト

染み込みプリントが洗濯を繰り返すことで毛羽立ち、褪色した風合いを表現する。

1色目のオレンジインクを刷り、2色目の紫インクを刷る。袖部分に日焼け加工を施し、全体を洗い加工して完成。着込んだ古着のようだ。

【ポイント④】カラーフロッキー

フロッキープリントの上からエアブラシで着色するプリント手法。1着ずつ表情が異なる。

フロッキーの糊を刷り、フロッキーシートを圧着。それを剥がしてから1色ずつエアブラシで着色する。その後ベーキングに通して完成する。

【ポイント⑤】クラックフロッキー

フロッキープリントや圧着フェルトワッペンがエイジングし、糊がひび割れた風合いを表現。

フロッキーの糊を刷り、フロッキーシートをプレス機で圧着。シートを剥がした後、職人がプリントを手割り加工して完成。

【ポイント⑥】ダブルクラック

油性ラバープリントがエイジングしてひび割れた風合いを表現している。

1色目の光沢クラックの白インクを刷って乾燥。その後に青インクを重ねて刷り、ヒーターで乾燥させて完成。洗うと自然とひび割れる。

※ここで紹介しているTシャツは、VARIEGATOR ONLINE STOREにてすべて6,600円で販売中! https://variegator.net/

※情報は取材当時のものです。

【問い合わせ】
丸昇
愛知県海部郡蟹江町富吉3 丁目210 番地
https://www.marusho369.com/contact/

(出典/「Lightning2023年3月号 Vol.347」)

この記事を書いた人
ランボルギーニ三浦
この記事を書いた人

ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

アメリカンヴィンテージやヨーロッパのアンティーク品や建築物からインスパイアされた「ホリゾンブルー」のジュエリー

  • 2025.12.28

宝飾品と呼ぶべき繊細で美しいジュエリーを世に送り出し、国内外で人気を集めるHorizon Blue Jewelry。アメリカンヴィンテージだけでなく、ヨーロッパのアンティーク品や建築物など様々なものからインスパイアされた逸品は、大量生産できないため入手機会の少ない希少な存在だが、ここでは今後発売する...

「ORGUEIL」が提案する、凛冬を彩る大人のガーメンツ。

  • 2025.12.26

凛とした寒さが日に日に増し、コーディネートが重くなりがちな季節。クラシックなデザインと丁寧な作り込みのORGUEILのクロージングが、いつものスタイルを格上げしてくれる。さりげなく上質で存在感のある一着が、冬の日々を彩ってくれるはずだ。 Aniline Steer Oil A-1 Jacket 19...

上質な馬革をシンプルに愉しむ。石炭(COAL)を運ぶために使われていたコールバッグという選択肢

  • 2025.12.27

きめ細かく美しい銀面を持つことで知られる馬革。軽くて強靭、上品な質感、そして使うほどに味わい深い経年変化で、多くのレザーファンたちを魅了し続けてきた。そんな馬革をシンプルに愉しませてくれるのがINCEPTIONのコールバッグだ。 ヴィンテージをベースに、実用性を加味し再構築。 19世紀末から20世紀...

日本屈指のインディアンジュエリーブランドが放つ、美しき馬蹄のシルバージュエリー。

  • 2025.12.24

日本屈指のインディアンジュエリーブランド・ファーストアローズがこの冬新たにリリースした「馬蹄」を象った「ホースシュー」シリーズ。奇しくも2026年は午(うま)年。ファッション面だけでなく、来年こそは飛躍を願う人にとって最高の開運アイテムとなるはずだ。 新作「ホースシュー」シリーズを一挙紹介! 1. ...

デニム界の異端児・ラングラー、製造期間は約1年のみの“幻の名作”がついに復刻

  • 2025.12.27

ロデオ・ベンをデザイナーに迎えてカジュアルウエアに参入したという歴史やカウボーイカルチャーとの結びつきなど、独自の発展を遂げてきたラングラー。膨大なアーカイブの中から、王道から希少な隠れ名作まで全6型が復刻を果たした。 幻の名作が華麗なる復刻を遂げた。 アメリカ三大デニムブランドのなかでも特異な歴史...

Pick Up おすすめ記事

こんなコスパのライダース、見たことある? 「中田商店」のオリジナルブランドのライダースを侮るなかれ!

  • 2025.12.29

東京・上野にある老舗ショップ、中田商店。そのオリジナルブランドが「モーガン・メンフィスベル」だ。中田商店というと、ミリタリーのイメージが強いが、モーガン・メンフィスベルでは、ミリタリーをはじめ、様々なレザーウエアを展開している。もちろん、ライダースのラインナップも豊富。今回は珠玉のライダースを紹介す...

憧れの平屋が実現できる! かつてスクリーン越しに憧れたアメリカンハウスで暮らす

  • 2025.12.31

かつてスクリーン越しに憧れた、夢が詰まったアメリカンハウス。到底叶わないと思っていたその景色が、実は日本でも実現できるそうなんです。新婚ホヤホヤの編集部員、パピー高野とジョージが、アメリカンスタイルを得意とする、埼玉県を中心に海外スタイルのお家を手掛ける注文住宅・輸入住宅の専門店「古川工務店」の住宅...

オリジナル建材で古民家をスタイリッシュにリニューアル! ビフォーアフターを大公開!!

  • 2025.12.28

2025 年の夏の時点では床だけが施工されただけの古民家を再び訪れると、当時とはまったく違う姿になっていた。カントリーベースはこの家にどんな魔法をかけたのか? 何でもない空き家が宝物なる材料と技術 [caption id="attachment_887933" align="alignnone" w...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。