あの人の気になる愛用品を紹介! 業界人のエイジングアイテム。

最近世界的に価値を見出されているエイジング。洋服に限らず、時計やギター、クルマなんかも傷や錆びた風合いが注目されており、「時間の経過」という付加価値によって珍重されているのだ。いいモノはそれなりに高価なわけだが、その真の価値は使い込むことで魅力が増す。そんなエイジングの内容は千差万別。ここではファッション業界人の美しく経年変化している愛用品をチェックさせてもらった。

1.「アトラクションズ」オーナー・西崎智成さん

1982年生まれ。長崎県出身。音楽が大好きな一家で育ち、幼少期からアメリカの’50年代の音楽やサブカルチャーに感化される。上京後、古着店などを経て、23歳の若さで独立した。そんな西崎さんのエイジングアイテムの中から注目の3点をピックアップ。

【アイテム①】ヴェロセット MOV

大のヴィンテージバイク好きである西崎さんが所有する愛車の中で、もっとも旧い1939年製。希少な戦前のヴェロセットは、日常使いするほどのグッドコンディション。随所のパーツがほどよく味のあるエイジングを見せる。

【アイテム②】BILTBUCK タウングローブ

ディアスキンでライニングがカシミアという街用のグローブで、’50年代のタウングローブがベース。10年くらい愛用しており、特にメンテはしていない。ライニングは3回交換。

【アイテム③】MOTOR ショルダーバッグ

本池秀夫さんがディレクションするモーターのバッグは、クロムエクセルとパラフィンダックのコンビ。自身で染料を入れたり、ワックスを足して、経年変化を楽しんでいる。

2.「ラリースミス」セールス・中村一斗さん

1991年生まれ。神奈川県出身。ラリースミスのPRやセールスを手掛ける名物スタッフ。サーファーでもあり、様々なアメリカンカルチャーやプロダクツに精通している。革小物やアクセサリーなど、数多くの愛用品の中から一部を見せてもらった。

【アイテム①】LARRY SMITH トラッカーズウォレット

7年くらい愛用しているトラッカーズウォレットはMサイズ。オリジナルのローレンスレザーは、茶芯仕様なので風合いのあるエイジングを見せる。コンチョを用いたカスタムは、定番として展開しているデザインとなっている。シルバーも硫化して革と馴染んでいるのがわかるだろう。

【アイテム②】ハミングバーズヒル レザージャケット

上司から譲り受けたというレザージャケットは、原宿の名店ハミングバーズヒルショップのオリジナル。肉厚なホースハイドで、前オーナーがハンドダイしてカラーリングを変更している。そのため、着込んだ部分にベースの茶が出てきていい風合いに。フラップに金メダルをカスタムしている。

【アイテム③】LARRY SMITH ネックレス

フェザーを手に入れたことをきっかけに、7年くらい買い足しているカスタムネックレス。メインテンスは時々、拭く程度で経年変化を楽しんでいる。革紐はどうしても痩せてきてしまうため、3年に1回くらいの頻度で交換している。

3.「フェイクα」店長・澤田一誠さん

大阪府出身。日本を代表するヴィンテージショップであるフェイクαの看板スタッフ。その徹底的に研ぎ澄まされたロッカーズスタイルは、流行や時代を超越したかっこよさがある。愛用のエイジングアイテムからもそんなスタイルが垣間見える。

【アイテム①】フェイクα ライダースジャケット

澤田さんのバイブル的な映画『乱暴者』でマーロン・ブランドが演じるジョニーの復活計画として企画されたライダースジャケット。数年間の構想期間を経て、ホースハイドを厳選し、デッドストックのバックルやパーツを装着。4年程度でかなりいいエイジングになった。

【アイテム②】オーダー物のシルバーリング

20年を超える愛車であるトライアンフへ敬意を払ったチェーンブレスとリングは、知人のシルバー職人にオーダーしたもの。風呂や就寝中も24時間つけっぱなしのため、シルバーが酸化せず、ナチュラルなキズがいい味になっている。シルバーは、放置するとすぐ黒くなるので、頻繁に着けるのが一番のメインテナンス。

【アイテム③】オーウェンのヘルメット

10代から愛用しているというヘルメットは、イギリスで110年以上の歴史を持つ名門オーウェンの人気モデルであるボウビルト。帽体部分はエイジングしており、深さは自身でカットして調整している。レザーパーツやマスクはカスタムしている。

4.「ダッパーズ」プロデューサー・野尻武寿さん

1969年生まれ。神奈川県出身。デニムメーカーなどを経て、戦前のアメリカンクロージングにフォーカスしたダッパーズをスタート。2023年秋よりデュラビルトを実名復刻する。そんな野尻さんのエイジングアイテムはやはりデニムが多い。

【アイテム①】Dapper’s×ワンピースオブロックのジーンズ

複数リリースしているワンピースオブロックとのコラボレーションのひとつで、S501XXをモチーフとしたストレートシルエット。ヴィンテージ顔負けの濃淡のあるエイジングはさすがの一言。ロールアップして着用するのが基本的なスタイル。

【アイテム②】Dapper’s キャスケット

オーバーオールと同じウォバッシュストライプを使ったキャスケット。日焼けや洗濯によって全体的にフェードしており、オーバーオールとは異なるエイジングを見せる。インディゴならではの褪色を楽しめるのが醍醐味だ。

【アイテム③】Dapper’s ブーツ

あえてまったくメインテナンスせずに、とにかく履き込んだというオリジナルのエンジニアブーツ。アッパーはブラックのホースバットだが、茶芯仕様となっており、下地が激しく露出しているため、ほとんどブラウンカラーになっている。なんとも色気がある変化だ。

(出典/「Lightning2023年2月号 Vol.346」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...