日常で使える、オリジナルボディの初代ローレル。
旧いアメリカンピックアップや空冷フォルクスワーゲンではお馴染みの『パティーナ』。語源はラテン語で「経年変化の味や風格」を意味する。
パティーナ・カーの多くはアメリカは西海岸といったカラッとした気候のもとで、自然に退色したりカサカサ&サビサビになったクルマがほとんど。湿気や雨の多い日本では、どうしても錆の進行具合が深く、鉄の内部まで錆が進んでしまい、穴が空くどころが、ひどいものになると朽ち果てて土に還ってしまうことも。
ここで紹介する旧車の名門、埼玉県の水上自動車工業がストックする初代ローレルは、そんな日本の環境下において、鉄の表面だけが綺麗に錆びた状態を維持し、現在までサバイブしてきた一台だ。
このクルマの面白いところはパティーナでも走りはホットという点。とはいえこれ見よがしなチューニングは行わず、あくまでストックの状態を活かすやり方。絶好調なシングルキャブのレスポンスと車高調の入ったセッティング済みの足周りのおかげで、法定速度でも、思わず笑ってしまうほどドライブが楽しいのだ。
現在、この個体は水上自動車工業で発売中だが、プロジェクトカーとしても進行中。内容はまだ未定だが、さらに楽しいクルマに進化することは間違いないだろう。
1968 NISSAN LAUREL(C30)のディテールを拝見!
旧車ファン垂涎の当時物のマッハステアリグを装着。この個体にはその他にも貴重な当時物パーツがさりげなく奢られている。メーター類はストック状態となり、もちろん完動。
ヘッドレストは年代的に不要なので、これで車検もOK。ポジションも絶妙で、シートの座り心地も抜群。このシートが本個体のドライブの楽しさに一役買っている。
なんと吊り下げ式クーラーを装備! キンキンに冷えるので夏場も快適だが、猛暑日はクルマが可愛そうなので控えたいところ。
エンジンは直列4気筒SOHC1815㏄のG18型。キャブレターもノーマルのまま。こちらもあえて見た目は仕上げてはいないが、各部にしっかりと手を入れてあり、非常にヘルシーなサウンドを聞かせてくれる。走行中の不安感が無いのは、さすが旧車専門店である。
人為的に錆びさせたのではなく、長い時間をかけてゆっくりとエイジングが進んだボディ。
ここまで錆びた場合、普通なら腐って穴が開いてしまうが、このボディは表面の部分だけが錆びており、全体はシャキッとした状態を維持している。保管状態が良かったのか、まさに奇跡のコンディションである。
足周りはハコスカの車高調を入れ、ゴッティホイールを履くが、これも雰囲気に合う。
【DATA】
水上自動車工業
埼玉県北足立郡伊奈町小針新宿717-1
048-729-1330
営業/9:00~20:00
休み/祝日・GW・お盆・年末年始
http://www.mizukami-auto.com/index.htm
(出典/「Lightning2023年2月号 Vol.346」)
Text/M.Sasaki 佐々木雅啓 Photo/M.Watanabe 渡辺昌彦
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