タトゥーアーティストFirst Kickyが乗る、1967 TRIUMPH TR6

趣味は人の生き方を変えるほどの力を持っている。学生時代から大型バイクに憧れ、社会人になってすぐに出会ったトライアンフに人生を変えられた男のハナシ。

トライアンフとの出会いが人生を変えた。

First Kickyさん|昨年脱サラからタトゥーアーティストへの転身を遂げたFirst Kicky。トライアンフへハマるきっかけを作ってくれたバイクショップの工場二階をアトリエ兼住居(風呂なし)として夢に向かって爆進中

学生時代は国産の中型バイクに乗り、大学卒業後大手リサイクルショップに就職。当時の彼女との将来も視野に入れた一般的には順調な人生のはずだった……。

その頃ホットロッドカスタムショーに行って、ヴィンテージバイクの世界を知り、感覚的に気になるのはトライアンフだった。その後すぐ’67年式TR6を中古車販売店で手に入れるが故障続き。偶然近所にトライアンフ専門店リバタリアがあったことが救いだが、状態の悪い旧車を直すのはお金も時間もかかる。買い換えも頭をよぎったが、乗り掛かった船。7年かけて根気強く修理とカスタムを重ねて現在の姿に辿り着いた。それからは自走でイベントに行ったり草レースに出場したり、当初は想像できなかった景色をこのマシンと共に経験しているようだ。

埼玉県のトライアンフ専科LIBERTALIAが製作したストリートスクランブラー。スティーブ・マックイーンのトライアンフを始めとした’60年代にアメリカのデザートスレッドを走ったマシンを意識して、当時のレーシングパーツを取り入れた軽快なスタイルに仕上げられている。

その間にトライアンフを通じて様々な人と出会い、好きなことを生業とする粋な男たちを見て、自分もそう生きたいと心に誓った。そして昨年会社員を辞めて、タトゥーアーティストとしての一歩を踏み出した。それがトライアンフ乗りの駆け出しタトゥーアーティスト、ファーストキッキー。大人がそこまで素直な自分になれる趣味に出会えたことは誰もが経験できることじゃない。ヴィンテージトライアンフが人との出会いを作り、人生を変えた。愚直と言えるほどに真っ直ぐに自分の感覚を信じて走り続けるファーストキッキーの今後の活躍に期待したい。

23歳で手に入れたTR6だが、そこから数年間苦労を重ねて修理/カスタムを続け現在の姿に辿り着いた。スクランブラースタイルで今年も千里浜サンドフラッツへの挑戦を誓う
2021年の千里浜サンドフラッツに出場。それまでの興味はストリートのみだったが、一気にレースに目覚め、今は何よりも速いトライアンフを目指している
アトリエは元々パーツ倉庫だったため、今もパーツが並んだ無骨な空間。彼はこの場所をNYのアーティストのアトリエ風と言う……

1967 TRIUMPH TR6のディテールを拝見!

通称バド・パイプと呼ばれるヴィンテージをモチーフにワンオフ製作したアップマフラー。オリジナルよりやや太く、エンドを内側に入れた独特のラインが特徴。

ストックに準じてO/Hした’67年式TR6エンジンに、’60sレーシングパーツARDマグニートを装着。

マックイーンスタイルのフラットフェンダーも見所だ。

(出典/「Lightning2022年8月号 Vol.340」)

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