この夏気になるファッションアイテム! ボーリングシャツ入門。

ボウリングシャツと聞けばなんとなく想像はできるけど、そのルーツや特徴となると意外と知らないことも多いのでは。まずはヴィンテージショップ「54BROKE」成田さんに今さら聞けないボウリングシャツの基礎とその魅力を伺った。

「54BROKE 」オーナー・成田亘さん

恵比寿にあるヴィンテージショップ「54BROKE」オーナー。ボウリングシャツ以外にもジーンズ、ミリタリー、ハワイアンなど幅広いジャンルに精通するヴィンテージフリーク。

独特の形状と装飾が特徴。’50sスタイルのマストアイテム!

ボウリングシャツブランドの中でも最も知名度が高いのが1940年代後半に生まれたキングルイだろう。こちらは恐らく1960年代に実際に使われていたセールスマンサンプル。当時のカタログや生地 サンプルなどが入った激レア品
セールスマンサンプルのバッグに同梱されていたレディスのデッドストック。黒いラベルがつくことから’50年代と思われる。襟のプレイヤーの刺繍も当時のキングルイを象徴するディテール

ボウリングシャツとは名前の通りボウリングをする人が来ていたユニフォームのこと。その起源は正確にはわからないが、ボウリングシャツの2大ブランドといわれる「ヒルトン」が1931年、「キングルイ」が1948年に誕生していることから1940年代にはスポーツウエアの一種として存在していたようだ。

「一般的になったのが1950年代だと思います。当時アメリカではボウリングの一大ブームが起こりました。それと同じ頃に、エルヴィス・プレスリーが愛用するなどロックンロールブームと相まって、アメリカではファッションアイコンとして広がったようです」

そんなボウリングシャツの特徴というとデザイン的には、「素材はレーヨンが中心」、裾をパンツにインしないため「ボックスカット」、動きやすいように背中に「アクションプリーツが入る」、「開襟仕様」などがある。

’60年代初頭のキングルイのカタログ。左はキングルイの広告一覧。スポーツ紙に加えて「LIFE」もあることから人気の高さが窺える
こちらも同じく’60年代初頭のカタログ。タックインするタイプのモデルもあったようだ。当時は10ドルでお釣りが来る時代

また、チームのユニフォームとして作られることが多かったので、背面に「チェーンステッチの刺繍」や「フロッキープリント」によるチーム名やロゴマーク、胸に「名前の刺繍」が入ることが多いのも特徴として挙げられる。

「形はアロハシャツに似ていますが、日本だとアロハよりも着やすいし’50sスタイルはじめいろんなスタイルに合うと思います。古着でも探せば安いモノもあるし、今では国内のブランドの復刻品もあるので、夏のコーディネイトの1枚に加えみるのもオススメです」

ボウリングシャツとブラウスのパンフレット。各アイテムの詳細な説明と、当時の値段も記載されており資料性は高い

「54BROKE」おすすめ、ヴィンテージボーリングシャツを紹介!

自由を象徴するリバティベル。|1970s Pla-Shirt by Dunbrook

コットン製の赤いボディに襟周りが白の切り替え。フロントボタンが見えな仕様に。背面はフィラデルフィアを代表するリバティベルと電波のようなイラストから無線クラブのメンバーで作ったものと思われる。3万8280円

ハワイメイドのボウリングシャツ。|1960s Hale-Niu

ハワイで作られたレアなボウリングシャツ。レーヨン生地のキャメルカラーのワントーン。背中には文字とホノルル市の市章の刺繍。フロントは銭ボタンと呼ばれる昔の通貨のような銅製のボタンが付く。8万5800円

シックな色もイケてます。|1960s Bel-Mar Sportswear

ロサンジェルスのBel-Mar Sportswearが手がけたレーヨン製。フロントは両胸にポケットでクルミボタンを備える。背中は詳細不明だが「76」の刺繍からオイルブランドのフィリップス関連のモノか? 5万4780円

駐留兵士のスーベニア品。|1950s Compass

コットン製。白をベースに襟や前立て、背面裾のプリーツ、胸ポケにグリーンを使用。胸のワッペンと背中の戦闘機、TAINANという刺繍から朝鮮戦争時代に台湾に駐留した兵士のスーベニアだと思われる。3万2780円

【DATA】
54BROKE
東京都目黒区三田1-2-20 2nd ハウス長者丸101
TEL03-6277-4269
営業/11:00 〜18:00
休み/月木金曜日
www.instagram.com/54_broke

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning2022年7月号 Vol.339」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

Pick Up おすすめ記事

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...