軽トラからカウンタックまで揃う「水上自動車工業」とは?
他では断られてしまうような難易度の高い整備や修理を行える技術力の高さで知られている水上自動車工業。グローバルジグというフレーム修正機も保有しており、事故でクラッシュした車体を歪みなく再生することが可能だ。整備や修理、そして板金だけでなく、ベース車両を探してもらい、そこから仕上げてもらうこともできる。納車まで時間とコストはかかるが、トラブルのない快適な旧車ライフを送れる買い方のひとつだ。
旧車関係だけでなく、一般的な車両整備や車検といった作業もウエルカム。地元住民の軽トラの整備から、カウンタックのエンジンチューニングまで、クルマのことならなんでも相談できる信頼のおけるショップである。
【注目の一台。その①】1970 DATSUN 240Z(HLS30)
今年2月に開催された旧車の祭典『ノスタルジック2デイズ』に、水上自動車が展示したのがこの240Z。国内で人気のある走りを意識したスタイルではなく、アメリカンな雰囲気を感じさせるご機嫌なカルフォルニアルックで注目を集めた1台だ。
ベースの車体はアメリカから仕入れたもので、サビや腐りのない極上のコンディション。外装は最新の塗料でオールペンして色鮮やかに復活! 水上自動車のポイントのひとつがこの板金の技術力の高さ。自社工場を持っているのも強みだが、職人のスキルも特筆すべき点。旧車の「オールペンあるある」だが、どうしても塗膜が厚くなってしまうのが残念な点。だが水上自動車の場合はクルマのエッジを殺すことなく、例えるなら薄口のグラスのように、繊細な仕上がりになるのが特徴。エッジのぼやけたポッテリとしたボディとシャープでプレスラインのクッキリとした塗装、どちらがいいかは自明の理では?
またエンジンや駆動系など、各機関もオーバーホール済み。エンジンはあえて2・4Lでノーマルキャブのまま。多数の新品パーツを投入することで、エンジンルームだけでなく下周りもピカピカ……というよりも、ほぼ新車といえる状態になっている。
旧いクルマ特有の走行に関する不安や不満は最初から払拭された状態で納車される。もちろんマフラーもワンオフで引き直されており、その排気音からもこのクルマがいかに良好なコンディションであるかがわかる。
価格はASKなので、興味のある人は問い合わせいただきたい。この内容なので決して安くはないが、昨今の不条理なまでの旧車価格ではないのでご安心を。旧車を買っても壊れてばかりで乗れない……なんて不満とは無縁の、新車クオリティで楽しめる240Zである。
【注目の一台。その②】1975 NISSAN SKYLINE GT2(KGC110)
状態が悪いクルマの場合、オールペンをしても早ければ数年でサビが浮いてくることがある。鉄に現在のような防錆処理が行われていない旧車ならなおのこと。これが「旧車はサビとの戦い」といわれる所以である。
このR仕様のケンメリは、水上自動車が10年以上前に製作した1台。フレームの状態から仕上げたもので、オーナーの手に渡ってから車検を切らすことなく、現在まで現役で走り続けてきた。走行ゆえの汚れはあるが、今もボディとエンジン、各部の状態は不具合なく好調を維持している。特にボディの状態は目を見張るもので、とてもオールペン後に十年以上が経過したクルマとは思えないほどの美しさ。板金こそ誤魔化しのきかない技術だということがわかる。
エンジンや足周りも見かけ倒しではなく、徹底的に手をいれたフルチューン。2・8改3・1リッターのエンジンはシャシダイナモで測定して340〜350馬力を発揮する。また単にエンジンをチューンするのではなく、日常使いで楽しめるように各部がセッティングされているのも、オーナーが長く乗り続けている理由のひとつだろう。
【DATA】
水上自動車工業
TEL048-729-1330
埼玉県北足立郡伊奈町小針新宿717-1
営業/9:00~20:00
休み/祝日・GW・お盆・年末年始
E-mail:info@mizukami-auto.com
(出典/「Lightning2022年7月号 Vol.339」)
Text/M.Sasaki 佐々木雅啓 Photo/D.Katsumura 勝村大輔
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