今回は、サカサモト(同僚)の影響でAirPods Proを購入し、ウォーキングがかなり快適になったが、エンジニアブーツで歩くので、ソールの減りが早くて困っている、革ジャン評論家・モヒカン小川がお届け!
拝啓バンソン様、あなたは今でもお変わりなく。
その再会は、何の前触れもなくやって来た。夜、酒を飲みながら、愛用する万歩計アプリ「四国八十八か所お遍路ウォーキング」の歩数を確認している時に、ふと「ウォーキング用に小さなバッグが欲しい」と思い立ち、でも当然レザー製が欲しいので、スマホでいろいろ探していたら、懐かしいボーンパッチの付いたバンソンのウエストポーチを見つけてしまったのだ。
「バンソン」
この名前を口にすると、なぜだかいまでも甘酸っぱい気持ちになる。渋カジ全盛の頃、俺がどれほどまでに胸を焦がし、バンソンを求めたか。怖いお兄さんたちが纏う、パッチカスタムの施されたバンソンのレーシングジャケットを、彼らの拳の届かない範囲から、静かにねっとりと羨望の眼差しで眺めていたあの頃。
しかし、当時の俺はあまりに若く、あまりに金がなく、しかし無情にもバンソンは高嶺の花で手が届かず、どれほど失意に沈んだか。
あれから数十年の歳月がたち、元号も変わった。俺はと言えば、いまだに革の呪縛から逃れられず、だが年相応の金額のレザージャケットを買えるくらいには金を持ち、いつしか頭の中から「バンソン」の文字が消えていた――。そして2021年。50歳を手前にして、突然再会した。
久々に見るバンソンは、当時欲しくてたまらなかった革ジャンではなくウエストポーチだったが、今も変わらず、艶やかな革の表情を湛えていた。それも、バンソンの象徴ともいえる「ボーン」付き。俺は即決したのだった。
* * *
拝啓
バンソン様。
あの頃は、どうしてもあなたを手にすることが出来ませんでした。あなたはお変わりないようですね。私は変わりました。
髪型がロン毛からモヒカンになり、白髪も増えました。ブーツカットでストリートを闊歩することはなくなりましたが、健康のためにストリートをウォーキングしています。
せっかくまた出会えたのですから、一生一緒にいたいものですね。あなたがエイジングすればするほど、私はたくさん歩いてより長くあなたと一緒に居られる気がします。
敬具
「VANSON×BACKDROP」の9SBB NEW FANNY PACK with CROSS BONE
バックドロップ別注のバンソンのウエストバック。重厚な牛革を使用し、ダブルリング式のストラップを採用。バンソンらしいクロスボーンパッチが配され、往年の渋カジ気分を盛り上げる。2万4200円
【問い合わせ】
バックドロップオンラインストア
https://thebackdrop.com/
(出典/「Lightning 2021年5月号 Vol.325」)
Photo/A.Kuwayama 桑山章
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