世田谷代田の築50年以上の長屋をリノベーションした、旧きよきフランスとアメリカを感じる空間。

世田谷代田の環状七号線から1本入ったところに突如現れる、2軒の異空間。木と鉄を組み合わせた戦前の様式だが、フランスとアメリカという相反する空間演出がなされているのが特徴だ。

木と鉄を組み合わせながら全く異なる2つの空間に仕上げているのが特徴。

靴職人の松浦さんがブラスを立ち上げたのが、いまから13年前のこと。靴職人としての修行を経て独立し、靴のリペア&カスタムを行うアトリエ用の場所を探した結果、いまの世田谷代田の物件に辿り着いた。

当初は環状七号線沿いの地下部分のみを、現状での賃貸ということで格安で借りることができたという。松浦さんは内装業が専門の父親と二人で、コツコツとアトリエ用に改装した。

そうして当初は水道もトイレも未完成のままスタート。他店からの靴修理依頼をこなしながら、数年後には空いた1階フロアも借りて一般の方からの依頼も受けるようになった。

2012年には、オリジナルのブーツブランドであるクリンチブーツをスタート。2015年9月に同物件の2階フロアも借りて、全面改装に踏み切った。

イメージは戦前のアメリカ。木と鉄を組み合わせたインダストリアルデザインがベースとなっており、無機質な空間の中に植栽で温かみをプラスしているのがとても魅力的だ。

そして昨年、ブラスの物件とともに空いた隣の物件も購入。見た目は2軒が別棟に見えるが、もともとは長屋のため2階フロアはひと続きにしてブラスのアトリエに改装。1階フロアは、ギャラリースペース&スタジオで、これからイベントなど企画していくそう。こちらは戦前のフランスを彷彿とさせるが、全て松浦さんの奥さんのアイデアによるものだという。

世田谷代田に突如現れたこの異空間。地元の方でも一見なんのお店かわからないほど、突出した存在感を放っている。

まずはアメリカンな雰囲気たっぷりの「ブラス」の内部を拝見!

環状七号線側(冒頭の写真の反対側)には、「NUTS ART WORKS」の手によってウォールサインが施されている。経年によって風合い良く色合いが変化してきた。

「ブラス」の代表を務める松浦さんは、自宅もここと同様にロバートハウスの渡辺さんに改装を依頼。渡辺さんは、インダストリアルな空間作りの第一人者であるハイライト菊池さんのもとで施工を担当してきた注目の人物だ。

まずは、「ブラス」の店内を紹介しよう。

店内のテーブルや椅子は、全てヴィンテージを使用。

さまざまなライトやランプもヴィンテージを現在の電圧で使えるように改良したものを使い、電球のみ新品に変えている。

ブラス正面右側のショーウィンドーを覗くと、環状七号線まで抜けて見える仕掛けが。

天井まで続くレンガ壁も迫力がある。ここの看板も「NUTS ART WORS」によるもの。

ヴィンテージのライトと天井からドライフラワーを吊るすスタイルは、インダストリアルな空間作りには欠かせない。

店内のテーブルや椅子だけでなく、入り口のドアなども全てヴィンテージ。棚は室内の寸法に合わせて制作したもので、ヴィンテージに合うように塗装にこだわって仕上げた。

【DATA】
Brass shoe & co.
東京都世田谷区代田5-8-12
http://www.brass-tokyo.co.jp

続いて、フレンチテイストのフリースペース&スタジオ内部を拝見!

2019年11月にオープンしたレトン(Laiton)は、フランス語で真鍮=ブラスを意味する。

こちらはギャラリースペース&スタジオになっており、撮影やポップアップイベントなどで使ってもらいたいとのこと。フランスのヴィンテージ什器などを使ったヨーロピアンテイストで、個性を主張しすぎない空間だ。

木のテーブルはフランスの戦前のもの。奥のキャビネットは1920年代のフランス製で、1880年代後期のナポレオンという様式を当時復刻したものだそう。生成りのリネンのカーテンは、渋谷の人気店HOOKED VINTAGEが手掛けたもの。これからもヴィンテージ什器は追加するそうだ。

ヴィンテージライト×ドライフラワーはこちらも健在。大きな窓はあえて出窓にし、クラシカルな空間演出を引き立てている。

コーヒーを出せるようにと室内にはキッチンカウンターも設置。棚部分や壁の一部のタイルが使われ、ガラスの棚との組み合わせも非常に爽やか。

建物の角をカットして立体的に仕上げているのも特徴。さまざまなポップアップなどを行うことも考慮し、ロゴやショップ名をできる限り目立たないようにしているのも、この物件の特徴だ。

【DATA】
Laiton Galleryspace & Studio
東京都世田谷区代田5-8-12
Instagram: @laiton_tokyo

(出典/「Lightning 2020年3月号 Vol.311」)

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ランボルギーニ三浦
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ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
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