お話を伺ったのは……「M&M’s motorcycle」代表・御林正樹さん
1960〜’70年代のアメリカが好きで、その時代のエッセンスをまぶしたカスタムバイクを製作。いろいろなレースに長年参加している。
【DATA】
M&M’s motorcycle
神奈川県座間市相模が丘6-38-22
TEL046-207-7059
営業/11:00〜21:00
休み/木曜
http://www.mmmc.jp
モトクロッサー登場以前、オフロード用バイクなき時代に誕生した「スクランブラー」。
オフロードを走るバイクと言えばモトクロッサーだが、オフロード専用として誕生したのは’60年代後半のこと。それ以前にオフロード用バイクは存在していなかった。
そのため当時の人たちは、オンロードの市販車にブロックタイヤを履かせ、ハンドルやマフラーなどをカスタムしてオフロードを走っていた。そういったレースはスクランブルレースとも言われ、そこで使われていたバイクをスクランブラーと呼ぶようになった。
やがてスクランブルレースはモトクロスへ進化し、さらに競技性を高めたレースになっていく。
車両もフロントフォークを伸ばして21インチのホイールを装着し、軽量でパワフルなモトクロッサーというオフロードを専門に走るバイクへと進化していったのだ。
「スクランブラーはエンジン、排気量問わずノーマルのフォークに19インチのフロントホイール。アップハンドル、アップマフラー、2本サス、肉厚なシート。形が洗練されてないのも魅力で、走行性能も低いから、ほのぼの遊べるんです」
ヴィンテージモトクロスイベントの運営に携わり、スクランブラースタイルのカスタムバイクを製作する「M&M’s
motorcycle」の御林さんはこう定義する。
ヴィンテージとダートバイクのテイストを取り入れたスクランブラーは、その後カスタムジャンルのひとつとして確立。また最近では国内外のメーカーが、ファクトリーカスタム的なモデルとして発売するようにもなっている。
スクランブラーの特徴を写真で解説!
こちらの「2003 KAWASAKI ESTRELLA250」を例に、スクランブラーの特徴を解説していこう。
1.ホイールは19インチまで
スクランブラーのフロントホイールは18か19インチ。走行性能に優れる21インチホイールをつけたらモトクロッサーにカテゴライズされる。
2.雰囲気の出るフォークブーツ
昔はフロントフォークのスプリングが外側についていたりしたので、泥などの異物がフォーク内に侵入しないようカバーをつけていた。
3.幅の広いアップハンドル
横幅のあるアップハンドルは走行時にしっかり保持すると同時に、ハンドルを左右に少し切るだけでステアリングを大きく切ることができる。
4.肉厚のあるシート
厚みと適度な長さのシートはタンデムもできるがそのためではなく、オフロードを走るときに体重移動を自在に行えるようになっている。
5.悪路を走るためのブロックタイヤ
ホイールはノーマルでもさすがにオンロード用タイヤではオフロードを走れない。トレッドがブロック状になったオフロード用タイヤ(ノビータイヤとも言う)を使用。
6.ハイマウントのマフラー
スクランブラーのマフラーは高い位置についているのが特徴。オフロード走る際にエキパイやマフラーが路面などに接触しないようになっている。
7.2本サスとスイングアーム
リアサスペンションは2本でスイングアームフレームなのがスクランブラー。リアサスがモノショックになのはモトクロッサーだ。
意外と混同しやすいオフロード系スタイル。
ヴィンテージモトクロス
スクランブラーとよく似ているが、その進化版とも言えるのがモトクロッサー。フロントホイールが21インチだったり、リアサスペンションの角度が寝ていたりと走行性能が格段に向上している。
ダートトラック
土の平坦なオーバルコースを左回りにドリフトするダートトラックレースのスタイル。幅広のハンドルに厚みのないシングルシートなどが特徴。ハーレーのXRやホンダのFTRなどの競技車両が有名。
◆
現在、世界中で流行しているスクランブラーをはじめとする、クラシカルなオフロードバイク。アーバンオフロー
ダースタイル人気はしばらく続きそう。スクランブラーの魅力にどっぷり浸ってみてはいかがだろうか?
(出典:「Lightning Vol.283」)
Text/K.Ueda 植田一礼 Photo/S.Ise 伊勢悟
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