VWタイプ2に対抗して登場したワンボックスの乗用モデル「ファルコンエコノライン」の魅力とは?

’61年にフォードの小型車であるファルコンレンジからデビューしたエコノライン。特にパッセンジャーモデルは、ファルコンエコノラインと呼ばれボディサイドにモールが備わる豪華な仕様となった。初代モデルはVWタイプ2を意識して登場したため、全長4.2m程度と同時期に登場したシボレーコルベアバンやダッジA100とともにフルサイズには程遠いコンパクトなボディが特徴だ。エコノラインはアメリカ通信大手のAT&Tでサービスカーとして大量採用され、一気に有名になった。

そんなファルコンエコノラインで夢をかなえるために奔走する、江澤さんにその魅力を伺った。日本ののどかな風景にもなじむ、エコノラインの新たな魅力を再発見!

キャンプ場オープンを目指して、大自然の中でエコノラインと過ごすアウトドアな週末。

これまでジムニーに乗っていたという千葉県在住の江澤さん。趣味が高じて新鮮な野菜を栽培し、知り合いのアパレルショップに卸すまでになった。そこで野菜の運搬や、生まれ育ったいすみ市で行なっているキャンプ場のオープン準備のための物資を運搬するために、アメリカ車のバンに乗りたいと探し始めた。

当然だが、パワステは備わらず、エアコンやパワーウインドーもない。そんな過酷な環境での直列6気筒エンジンと3速コラムマニュアルの操作もお手のもの。軽快なドライブが続く

「最初は高年式も考えたのですが、凝り性なので結局旧いのが欲しくなるのは目に見えてたんです。そこで入門用を買うのはやめて、いきなり自分の本当に欲しい一台を探すことにしたんです」

サードシート後部には常に簡単なキャンプ道具を常備。キャンプ場予定地で作業をする際にもすぐにコーヒーブレイクを楽しめるようになっている

当初はラムバンを探していたそうだが、調べている過程でこの旧いエコノラインの存在を知る。そして訪れた横浜の「ディーズクルー」に赤いファルコンエコノラインが売りに出されていたのを見つけ、見に行って即決したという。

「旧いクルマなので最初は不安でしたが、乗ってみるとめちゃくちゃ楽しいんですよ。最初は外観から好きになったこのクルマですが、乗ってみてより好きになりました」

アウトドア好きが高じて自身でアウトドアグッズを自作することもある江澤さん。写真のテーブルは、柄部分にスケートボードの板を使った逸品

納車されてから半年ちょっと。今では自宅からいすみの往復はもちろん、野菜の収穫や知り合いのショップへのデリバリーとエコノラインは大活躍している。大きな木材などを運搬するために、ルーフキャリアを装着したいと江澤さんも溺愛中だ。

自宅近くの家庭菜園にて。すでに規模は家庭菜園の域を超え、この日も新玉ねぎやスナップエンドウなど四季折々の大地の恵みを収穫した。エコノラインが驚くほどこの風景にマッチしている
畑ではスナップエンドウのほか、玉ねぎ、 長ネギ、ナスなどさまざまな野菜が育つ。 この日はこれからの季節美味しい新玉ね ぎを収穫
自宅からいすみへの道中はアップダウンも多いが、江澤さんのエコノラインは坂道をものもとせず軽快に走り抜ける
日本ののどかな田園風景にも不思議と’60年代のアメリカ車はマッチする。信号の少ない田舎道はまさに気持ちいいドライブコースとなっている
早朝収穫された野菜は、当初千葉市内にあるアパレルショッ プの知り合いにお裾分けしていたが、最近では軒先を借りて委託販売するように なった
有機野菜が1袋100円と市価の半値以下ということもあって、 アパレルショップの軒先という場違いな場所ながら地元では人気だという。取材日も地元の女性が早速購入していた

1962 FORD FALCON ECONOLINEのディーテールを拝見!

シンプルなダッシュにメーターや スイッチが並ぶ。シルバーのス テアリングにはタコメーターを追 加。
エンジンは170ci(約2.8リ ッター)の直列6気筒で、3速マ ニュアルとの組み合わせとなる。 この車両はアルミラジエターに 交換されていた
ホイールはメーカー 不明のフィンタイプ で、215/70-15 のホ ワイトリボンタイヤを 装着。このキュート なスタイルにマッチし ている。車内にはフルフラットになる車種不明のシートが備わっ
ていた。現在はこのままこのシートを活用している

(出典/「Lightning6月号増刊 VAN STYLE」)

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