’50sファッションの鍵はロカビリー音楽が握る!!
’50年代の米国を象徴するファッション、つまり、ロカビリーをこよなく愛し、今ではその要素が自身のDNAにまで刻み込まれてしまった、エロヴィス佐藤さん。
曰く、「この時代は、不良映画が数多く生まれ、そこに感化された若者の間でロカビリーが一気に開花した時代。映画と音楽、ファッションが最もリンクした年なんです。あと、レザーやウール、レーヨン、そしてコットンといった素材が主流でした」。レザーとウールが比較的安価で、当時としては画期的だったナイロン素材が高額と、現在とは全く逆の価値観だ。
また、ダークトーンの配色が一般的だったそれまでとは異なり、戦後の景気の回復、抑圧の反動から、鮮やかな配色が目立つようになってきたのもこの時代ならでは。「でもやはり一番人気は黒。他の色と比べると2倍近くの値段です」
高価格連発! 貴重な’50年代ファッションの市場価値とは?
身につけるものが鮮やかになり、柄や色でファッションを楽しむ時代。故に地味なアイテムよりも、“アーガイル” や“エルヴィス・ドット”、“ピンク” に“ライトグリーン” といった、象徴的なデザインが今でも人気だ。
エルヴィス・ドット柄はファン垂涎のアイテム。CAMPUS コーデュロイシャツ
胸元のオーバルドット柄がポイント。エルヴィス・プレスリーが同柄を着用したことから“エルヴィス・ドット” とも呼ばれている。今でも血眼になって探すファンが多く、カラーによっては50万円以上の値がつくことも。
素肌にサラッと羽織れば上級者。SPORTIMER ハリウッドジャケット
’50年代のハリウッドスターやロカビリーミュージシャンたちが愛用したジャケット。このモデルは15万円ほどだが、イートン・ホールと呼ばれるブランドのものは特に人気が高く、30万円以上するものも存在する。
ルードボーイたちのド定番アイテム。AIRMAN,DELMAR アニマル柄シャツ
’50年代と言えば、数々の不良映画が公開された年。ティーンを中心にバットテイストなアニマル柄が大注目を集めることとなる。その代表例とも言える豹柄とゼブラ柄。どちらも当時5ドル程度だが、今だと15万円前後。
僅か数年で生産中止となった問題作。NO BRAND シューロックシューズ
紐靴が嫌いな人のために開発された、ワンタッチで着脱できる革靴。’50年代に一瞬だけ登場したが、故障が多くすぐに廃止になった代物。市場にあまり出回らなかったことから稀少性が高く現在は7〜8万円ほど。
細ベルトが抜群に合う’50sボトムのクラシック。CAMPUS CASUALS ロカビリーパンツ
サイドの装飾がポイントのロカビリーパンツ。玄人の間ではCAMPUS CASUALS社製のもが“作りが良い” と人気。中でも黒ベースにピンクの差し色が入った配色は特に受けが良い。当時は5ドル程度だったが近年では30万円以上。
’50sの人気ブランドものは今でも市場価値高し。PENNEY’S ファラオジャケット
’50年代のファラオJKTといえば、PENNEY’S。このブランドのロゴがあるのとないのとでは価値に雲泥の差があるそう。写真の様に黒ベースだと、当時15ドル程度だったものが、20〜30万円以上になる。
エルヴィス公認の有名なテキスタイル。NO BRAND プリントスカート
当時の女性が自分のサイズに合わせて手作りしたと思われる、エルヴィス・プレスリーのイラストが入ったプリーツスカート。柄によっては1万円前後のものもあるが、こういった玄人好みの柄が入ったものならば20万〜30万円に跳ね上がる。
景気の向上と共に急増したフラミンゴ。NO BRAND ピンクフラミンゴの置物。
当時は急激にお金持ちが増え、富裕層がマイアミなどのリゾート地へ足繁く通った年代。そんな理由から、アメリカの家庭は、マイアミのお土産店などで売られていたピンクフラミンゴの置物で溢れた。2〜3ドル程度だったが、今では1万5000円ほど。
ロカビリーファンが愛したジャケットコーデの要。CARMEL ナッソージャケット
エルヴィス・プレスリーやエディ・コクランなどが愛用したことで注目を集めたリゾートJKT。当時は10ドル程度だが、いまだと安くても15万円程度。ちなみに写真のグレー×ピンクの配色は非常に希少で25〜30万円の値がつく。
ギャバジャンの価値は3 種類の柄にアリ。NO BRAND ギャバジャン
’50年代を象徴するアウターといえばギャバジャン。アーガイル、デビルドッグ、サンダーバードの柄物は今でも人気が高く、例えばアーガイル柄だと、状態にもよるが、当時10ドル程度だったものが、10万円から15万円前後の価値に。
手の込んだ緻密な刺繍ワークがポイント。H bar C ウエスタンジャケット
今も続くウエスタンJKTの老舗、H BAR Cのもの。最大の特徴は胸元や背中にあしらわれた刺繍。昨今のコンピューターミシンを使った刺繍ワークとは一味も二味も違う味わいが魅力。現在は10万円近くの値がつく。
豊かなアメリカの姿がテキスタイルに宿る。NO BRAND ピアノスカート
アメリカ社会が裕福になり始めた’50年代。女性が身につけるウエアには、それを裏付けるようにピアノやプードルなどの絵柄が増え始めたのだとか。画像は当時の女性が生地から手作りしたものだが、現在は5〜6万円ほど。
裏地にクスッと笑える秘密アリ。MANLEY,etc. タイ
一見、ビジネスシーンでも使えそうなデザインだが、裏地にピンナップガールのプリントが隠された変わり種。佐藤さん曰く、「仕事中にこっそり覗いて息抜きをしていたんじゃないでしょうか(笑)」とのこと。当時は5ドル程度だったが今だと2〜3万円前後。
ロカビリー好きでなくとも、現代にない絵柄やカラーはなんともユニークで面白い。ファッション性もだが、その歴史的価値も計り知れない’50sファッション。気になる人はエロヴィス佐藤さんのお店を訪れてみてはいかがでしょうか?
【DATA】
Jumpin’ Jacks
東京都渋谷区神宮前1-7-10 coxy176 2F
TEL03-3470-1499
http://jumpin.jacks.jp
(出典/「Lightning 2020年3月号 Vol.311」)
Text/H.Kato 加藤寿紀 Photo/Y.Sato 佐藤侑治
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