「戦争批判」を意味する過激な柄にノックアウト。アフガニスタン製のWAR RUG

この前、金曜ロードショーで『風立ちぬ』を見た。スタジオジブリ製作の映画である。この映画を製作するに至るエピソードに興味深い理由があった。それは「戦闘機や戦艦を好む一方で戦争反対を主張する」という宮崎監督の矛盾だという。その矛盾の答えを出すべく映画が製作されたそうだ。

私もミリタリー好きと公言しているけど、「戦争」には反対だ。でもミリタリーウエアや装備とかを純粋にカッコいいと思う心はどうしようもなく、宮崎監督のような矛盾を持っている。とはいえ好きなモノは好きなのだからしょうがない、と割り切っているが。

そんな私のミリタリー好きの魂に響いたアイテムを紹介したい。

アフガニスタン製のWAR RUG

トルクメン族によって手織りされる絨毯など、織物産業で有名なアフガニスタン。その伝統の 織物技術を落とし込み織られたウォーラグ。国内での流通量は少なく気に入る柄に巡り会いに くい。でもネットで「War Rug」と検索すればeBayなど海外サイトで購入できるはず

それは「ウォーラグ」と呼ばれるアフガニスタン製の手織りラグ。モチーフは突撃銃や戦車などの兵器、戦争の事象など。このラグが誕生したきっかけは、ソ連軍によるアフガニスタン侵攻がきっかけだという。でもこれは戦争賛美の織物ではなく、むしろ戦争を批判するために、織られたもの。

ウォーラグの中でもインパクトのある「9 ・ 11 」モチーフ。旅客機が突っ込んだツイ ンタワーが描かれ、アメリカ国旗や空母、 戦闘機などが織られている

手織りならではの耐久性の高いラグに過激なメッセージを織り込むことで、それを製作した人々の、平和を望む願いを永きに残す、という意味が込められている。と、生半可な気持ちでは使えないウォーラグだが、これを手にすることで、政情不安のアフガニスタンに暮らす人々の、少しでも経済的な支援に繋がればいいなと思っている。

こちらはソ連が生んだアサルトライフル のAk-47が織られたウォーラグ。その周りにはヘリコプターや装輪装甲車などの兵器がデザインされている

ちなみに海外ではウォーラグのコレクターも存在し、旧い年代に織られたラグは、ミリタリーアートとしての価値を持っているという。

ウール100%で織られたウォーラグ。 手織りによるしっかりとした厚みのある質感で、細かな織模様など非常に手が込んでいる。ちなみに織り手によって色や柄など、織りの細部が異なってくる

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(出典/「Lightning 2019年月6号