2ページ目 - アイアン・メイデン、最新ロンドン公演レポート。心に深く刻まれた結成50年目の奇蹟

本編ラストはバンドのアンセム「Iron Maiden」

スクリーンから飛び出す巨大なエディ

そしてスクリーンがおなじみの旗を持ったTROOPERエディに代わり、ドラムのカウントからバンドの代表曲「The Trooper」(明日なき戦い)へ。ギター、ベースの4人が一列に並んで盛り上げるなか、旗を持った赤いジャケットのTROOPER姿のブルースが、そしてステージ前方には剣を持った巨大なエディTROOPERが行き交う。

スティーブがモニターに足をかけて客席を指差し曲が終了すると、時計は夜9時半頃。やっとあたりは暗くなってきた。そこにステージの照明が光り、狭い檻の中にはブルース、スクリーンにはギロチン。炎が上がり、印象的なギターのハモリや激しいリズム・チェンジ満載の大作「Hallowed Be Thy Name」(審判の日)が演奏される。そして本編ラストはバンドのアンセム「Iron Maiden」(鋼鉄の処女)。スポットがあたりギター・ソロを披露するデイヴとエイドリアン、ぐるぐると回転しながらギター弾くヤニックがラスト・ナンバーを盛り上げていく。

スクリーンから飛び出す巨大なエディ、スタジアムにこだまする大合唱、炎や煙がふんだんに上がり、大興奮の中曲が終了、メンバーが客席に手を掲げて次々に去っていく。最後にサイモンが残り、客席に手を振り本編が終了する。

シルクハットにコートの出立ちで登場したブルース

一段と暗くなった会場に稲妻のような照明が光り、スクリーンには戦闘機の映像が映し出される。チャーチルのスピーチが響く中メンバーが現れ、「Aces High」(撃墜王の孤独)が始まる。スティーブはウェストハム・ユナイテッドのユニフォーム・デザインのTシャツ、ブルースはパイロットの扮装にスタンド・マイク。この1曲の間ですっかりと暗くなった場内に続いた9枚目のアルバムのタイトル曲「Fear Of The Dark」では、イントロを歌う大合唱が場内に響き渡る。

暗闇にシルクハットにコートの出立ちで登場したブルースが持つランプの灯りが遠くからでもよく見える。切々とした歌い出しから一気にテンポアップするエモーショナルなナンバーを、神秘的な映像が盛り上げる。約7分間その世界にのめり込んだ後にはスクリーンがアルバム「Somewhere In Time」の映像に代わり、大ラスの「Wasted Years」へ。未来的なスクリーンの画像が夜空に映え、スティーブ作のキャッチーなナンバーをカラフルに彩っていく。

英語圏の人間でなくても歌えるわかりやすい歌詞と、ポップで哀愁を帯びたメロディのこの曲は当然ながら大合唱になる。曲が終わった後、2012年の「ロンドン・オリンピック」の開会式と関連づけて「ジェームズ・ボンドみたいにまたここに戻ってくる」とブルースがMC。他のメンバーも客席に大きく手を振り、ステージを後にした。そしてアンコールでも最後までステージに残っていたのは、サイモンであった。

50周年記念で日本に来ない理由はないはず

約2時間20分の公演を終えたメンバー

心配だった脚の疲れを忘れすっかりライブにのめり込み、あっという間に終わった約2時間20分。ステージの音をかき消すほどの大声で歌い続けるオーディエンス、地面に散らばった飲み物のプラスティック・カップ、そろいのTシャツを着込み肩を組んで叫ぶティーンエイジャーの少年と40代くらいの父親。それらの多くは日本ではなかなか見ることのない光景だ。

日本ならばマナーが悪いとされるような行動でも、なぜかここでは気にならない。それはオーディエンスがアイアン・メイデンという存在を自国の誇りにし、ライブという空間を自分らしく自由に目一杯楽しんでいることが伝わってくるからだ。アイアン・メイデンは英国のバンドだ。開演前後を含むライブ全体を通して、それが感じられる空気を全身で浴びることができたことは、英国まで足を運んだ意義があったと思う。後日、ライブ前日に入れなかった「Cart &Horses」で「Trooper Beer」を飲み、マナー・パークにある墓地で、昨年他界したアイアン・メイデンの初代ボーカリスト、ポール・ディアノの墓に手を合わせ、今回の渡英で成し遂げたいことを終えた。

イギリスでのライブは心に深く刻まれた。でも、ルールを守りながらどの曲にも真剣に向き合う観客が多い日本でも、じっくりとこの公演を観たい。曲ごとに変わる豪華な映像美は日本でも再現可能だと思うし、デビュー当時から特別な思いでバンドを支えてきた日本に50周年記念で来られない理由はないはず。私は期待して待っていいと思っている。

「Cart &Horses」で「Trooper Beer」を痛飲
初代ボーカリスト、ポール・ディアノのお墓

山西裕美/株式会社ヒストリアル所属。ティーン誌の編集を経て、現在は女性誌、情報誌、WEBの音楽、映画、美容、旅行、企業取材等の編集・ライティングに携わる。好きな音楽ジャンルは、HR/HM、PUNK、プログレッシブロック、ブリティッシュロック、邦楽全般。

この記事を書いた人
昭和40年男 編集部
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昭和40年男 編集部

1965年生まれの男たちのバイブル

『昭和40年男』は、昭和40年(~41年3月)生まれの男性のための情報誌。誌面では同年齢の活躍を紹介したり、そろそろ気になってくる健康面をサポートする記事の他、かつて夢中になったあれこれを掘り下げる記事を多数掲載!「故きを温ね新しきを知る」──本誌は、昭和40年生まれのための温故知新を提供できる存在になるべく、「ノスタルジックな想い出が呼ぶ共感」を「明日を生きる活力」に変えることを命題に誌面づくりに奮闘中!!
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