お笑い芸人・デッカチャンがハマった、ちっちゃいけど深い8cmCD沼

J-POP全盛期である80年代末〜90年代、オレたちの青春のBGMを鳴らした、短冊型ジャケットの8cmシングルCD。そんな短冊CDを今もコレクションし続け、実に3000枚を所有するデッカチャンに“オレの逸品”を聞いてみた。

DJとしての顔も持つ

デッカチャン|昭和51年、広島県生まれ。1997年、お笑い芸人としてデビュー。98年に上京し、吉本興業に所属。2000年代、『エンタの神様』(日本テレビ系)でブレイク、テレビや劇場で活躍。2020年に吉本興業を退社し、現在はフリーでピン芸人やDJとして活動中

ぽっちゃり体型に真っ赤な髪、マーチングバンド風の衣装でスネアドラムを叩き「気付いちゃった、気付いちゃった、ワ〜イ ワイ♪」と、そして“あるあるネタ”を披露する「気付いちゃったマーチ」や「デッカチャンだよ!」のキメゼリフで知られる お笑い芸人、デッカチャン。芸人としての彼の姿は知っていても、DJとして活動する姿を知る人は少ないかもしれない。

短冊CDを集め始めたキッカケはSHAZNA

青春時代にハマった1980〜90年代J-POPを得意分野とし、クラブやライブハウスで“DJデッカチャン”として活躍。趣味と実益を兼ねた“短冊CDコレクター”の一面ももつ。

「昔から音楽が好きで、今では考えられないですけど、中高時代はご飯を抜いてでもCDを買う生活をしていました。当時はB’zやWANDS、Mr.ChildrenといったJ–POPが好きだったので。時代的にも当たり前に短冊CDを買っていたんですが、上京して、中古CD屋さんに行ったら、短冊CDが安価でたくさんあって。『これ持ってない! これは買えなかった!』と宝の山をあさってたら、SHAZNAの『Melty Love』が4枚くらいあって(笑)。『これ、たくさんあったらおもしろいな』と思い買い占めたのが、意識的に買うようになったキッカケでした」

学生時代は欲しいCDを厳選して買っていたが、安価で買える中古CDの存在を知り、コレクター魂に火がついたデッカチャン。ちなみに学生時代、初めて買った短冊CDは、「クィーンズの『踊るポンポコリン』か、B’zの『太陽のKomachi Angel』の どっちか」だそう。

「学生時代、音楽の話をする友達はあまりいなかったんですが、当時はカラオケがブームだったので、遊ぶならカラオケといっ た感じ。短冊CDにはカラオケ音源が入っていて、表紙の裏に歌詞が載っているので、歌詞を見ながら家で歌の練習をしていました。だからDJが好きなのかな? とも思うんですけど、好きな曲をカセットに編集して“マイベスト”を作り、A面、B面を無駄なく綺麗に収めるのが好きだったので、A面の最後に時間調整で『リゲインのテーマ』(※)を入れたりして、オリジナルテープを作っていました」

学生時代に買い逃したCDを買ったり、短冊ならではのアートワークに惹かれてジャケ買いしたりするうち、コレクションはどんどん増えていった。

「今はなかなかないけど、レンタルCD屋さんのレンタル落ちや、中古CD屋さんのワゴンセールになっている短冊CDをあさって、いろんなジャケットを見るのが大好きでした。あと、短冊CDって、販売していた年代が限られていて。88〜03年しか製造されていないんです。この期間だけのカルチャーってのも、掘り甲斐あるんですよね」

学生時代はJ–POPが好きで、ロックはあまり聴いていなかったというデッカチャン。短冊CDを集めるようになり、好きなジャンルの幅も広がった。

「学生時代、ロックはこわいイメージがあったので、あまり聴いてなかったんですけど、短冊CDを集めるようになって、ロックも聴くようになりました。ユニコーンさえもやんちゃなイメージがあって聴けなかったんですけど。『デーゲーム』で坂上二郎さんがジャケットになっていて、『やんちゃじゃないんだ!』と思って、そこから好きになりました。Xは聴いてなかったけど、hideは昔から好きで聴いていて。髪が赤いのはhideとSHAZNAの影響がどこかあるんじゃないか? と思っています」

現在、デッカチャンが所有する短冊CDコレクションは約3千枚。しかし今は、8cmCDを手軽に聴いたり、再生できる環境がないのが、悩みのタネなのだそう。

「一度も聴いていないCDも結構あるんですけど、その理由は、僕が所持していた、パカッと上に開けるタイプのCDJが壊れて、今再生する機器がないんです。僕が初めてDJをやった頃は、パカッと開けるタイプのCDJがよく使われていたので、短冊CDをたくさん持って行って、DJプレイしていたんですけど。今はスロット式が主流なんで、アダプタを付けてもうまく鳴らないことが多いんです」

現在のCDJやCDデッキは、8cmCDの再生を想定していないので、8cmCDサイズに合わせるアダプタに取り付けて再生するしかないのだが、アダプタに取り付けての再生はトラブルも多いそう。

「特にDJやっている時なんて、急いで次の曲を用意したいのに、入れたら音が鳴らないこともしばしば。今はトラブル防止のために、DJの時はCD-Rに焼いています。本当は短冊CDを山ほど並べたり、プレイ中の曲のジャケットを前に置いたりして、短冊DJならではのプレイがしたいんですけどね」

この記事を書いた人
昭和50年男 編集部
この記事を書いた人

昭和50年男 編集部

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50(1975)年生まれの男性に向けて、「ただ懐かしむだけでなく、ノスタルジックな共感や情熱を、明日を生きる活力に変える」をテーマに、同世代ならではのアレコレを振り返ります。多彩なインタビューも掲載。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

Pick Up おすすめ記事

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...