グルメ好き日本人が1000年超食べた「ひんやりスイーツ」の知られざる秘密

民俗や地域伝統文化のあれこれに没頭しがちなエディターが、あなたの日々の暮らしに、とても小さなときめきをお届けしましょう。

言葉だけは知っている作法や行事、未来をひらく温故知新、興味はあるけどよくわからない民俗のことなどについてわかりやすく紹介します。

一度食べると忘れられない、天然氷のかき氷

天然氷のかき氷、もう食べましたか?

天然氷とは、水を短時間で冷却して作る人工氷と比較すると、凍てつく冬の大自然の中で長い時をかけて冷却されるので、実は温度がやや高めの氷といわれているもの。同時に水分子の結合も強固になっていくので硬めの氷に。だから細かく削ることができて、かき氷の食感はふわふわになり、口溶けの良さ(速さ)も育まれていく。冷たすぎないから頭にキーンと来ないのが何より新鮮な一品だ。

まるで淡雪をのせたスプーンの一杯目から、食べ始めると止まらなくなるあの感じ……。まだ食べたことがない方は、ぜひ味わっていただきたい。

氷室というシンプルな小屋で長期保存される秘密

古くから凍てつく寒さの中で作られた天然氷は、現代のような機械冷凍室ではなく、氷室(ひむろ)と呼ばれる蔵で保存されてきた。現代に残る氷室を訪れると、その知恵の一端を直に見ることができた。大量の天然氷が、材木を切るときに生じる「おが屑」に覆われて保管されている。おが屑はその名にクズ(屑)を含んでいながら、実は断熱力もあり、溶けた水分も吸収できるなど、保冷の素晴らしい機能をもっている。木は根を張っていても、伐採されても役に立つのだから本当にすごい。

氷室の存在は日本書紀にも記されていて、奈良県天理市のものが最古だろうといわれている。故事としては、4世紀頃に天理市の天然氷が仁徳天皇に献上されたとも。

ちなみに、現代ではたいへん希少な氷室が建つ一部地域では、イベント「氷室開き」も開催されているので、普段見ることのできない氷室に興味のある方はぜひ。

天然氷のかき氷を、2024年大河でも話題の清少納言が食べていた

昔々、日本で天然氷のかき氷を食べたであろう人に、平安時代の作家・清少納言がいた。彼女は966年頃に生まれ、1025年頃に没したといわれるので、今からおよそ1000年前の体験だ。

彼女の代表作『枕草子』にこんな記述が残っている。

「あてなるもの。……削り氷(けずりひ)にあまづら入れて、新しき金椀に入れたる。」

<現代訳: 上品なもの。……削った氷に甘いつゆ(甘葛)をかけて、新しい金属椀に入れたもの。>

清少納言といえば、2024年の大河ドラマにも登場する偉人。大河のワンシーンに、古き良き天然氷のかき氷も登場するかもしれない。

風流な伝統文化は、日本伝統の空間で味わいたい

天然氷のかき氷、日本が誇る清少納言等のいしにえの文学、ひいては百人一首など、風流な伝統文化を満喫するなら、その空間は日本が誇る木造建築・古民家がベストに違いない。リノベーションされ、店舗になったり宿になったりしたモダンな古民家が増えている今日この頃。

『じゃぱとら』最新号では、古民家再築や古材リユースを行い、国土交通大臣賞、環境大臣賞、林野庁長官賞を受賞された物件を「再築大賞」として発表中。こちらもぜひご覧ください。

じゃぱとら9月号
この記事を書いた人
中川原 勝也
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中川原 勝也

民俗と地域文化の案内人

エディター。地域伝統文化のこと、民俗のあれこれ、古民家・民藝・暮らしのこと、などを当サイトでは担当。これまで日本カルチャーを主なフィールドにしながら、国内の法人・自治体・商品のブランディングにまつわるメディア等を手掛けてきた。温故知新好きが募って、ただいま、月刊古民家誌『じゃぱとら』編集長。
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