HONDA DAX125インプレッション・排気量が大きいクラスに近いフィーリング

2022年の東京モーターサイクルショーで公開されたホンダ・DAX125(以下、ダックス)。コロナ禍の影響もあり夏の販売が延期され、ようやく秋に発売となった。新生ダックスは兄弟車とどこが違い、どういうところが魅力なのか、乗って感じたことを素直に書き綴っていく。

DAX125のスタイリング

作り手のこだわりがダックス“らしさ”を実現

この新しいダックスがちゃんとダックスだと思わせるのは、スチールプレスフレームを 使ったからだ。笑いながらも「二度とやりたくありません」と開発に携わった人がいうほど苦労したが、開発初期からアイデンティティとして大切にし、コストや生産のことをクリアしながら情熱を込めて実現したことに拍手を送りたい。これじゃなきゃ絵に描いた餅 みたいな気持ちがどこかに残ったかもしれない。機能とスタイルを両立させた構成だけで なく、新しい人にはそのマテリアル感が新鮮であり、古い人にはノスタルジック。これがダックス125のスタイルであり、ハートだ。

実現が難しくて開発途中でパイプフレームに樹脂外装を付けた仕様の検討も指示されたが、開発陣が情熱を持ってスチールプレスフレームを実現した。左右のパネルと底面のパネルを溶接で組み合わせた3ピース構造。上から見える溶接した部分の仕上げにもこだわった。これはスケッチからクレイモデルを作らず、すべてをコンピューター上で検討したという。

DAX125のインプレッション

よみがえったダックスはいろいろと完成度が高い

またがるとちょうどいいサイズ感。大きすぎず小さすぎず。モンキー125が登場したときと同様に、東京モーターサイクルショーで公開されると、昔のダックスに触れたことがあった世代からの「大きい」という声を耳にした。けど、これは50ccや70ccじゃなく125ccだ。そのエンジン排気量から出せるスピードを考えると、このくらいの大きさがないとちょっと怖い。新生ダックスはタンデムすることも考慮したので、これはシートサイズとスタイルのバランスをとった結果でもあると説明があった。モンキー125からも感じたが、これが交通事情と使い方に合った現在のミニマムサイズだと思う。それはダックス 125に乗っても実感した。筆者自身が昔のダックスを知っている世代だが、この大きさを否定する理由が見あたらない。

フロントの足まわりはブラケットからフォーク、ホイールまでグロムから流用されてい る。古きよきダックステイストをしっかり感じることができるデザインと、モダンすぎるフロントフェンダーが似合っていない気はするが、機能的にはまったく問題ないから否定するつもりはない、そこは社外品に期待しよう。何しろこの試乗会か開催された9月前半の時点で、注文数は3000台を超えているというから好調な滑り出しなのは間違いない。 車両が売れると社外パーツも増えるから。

いよいよ走り出し!

最初に気が付いたのはスタビリティのよさ。直進安定性がいい。速度を上げても路面のギャップやうねりが気にならない。ハンドルを保持することに集中しなくていい。12インチと小径ホイールといえるサイズながら外乱に強い。これは安全であるだけでなく、走るのがすごくラクになる。走行距離を伸ばしたい気持ちにさえなった。フロントまわりなどのセッティングはグロムのままだというが、ホイールベースをモンキー125より55mm長い1200mmにしたことに加えて、しっかりとした剛性の車体があり、その下で 前後のサスペンションがよく働いている。より排気量が大きいクラスのバイクのようなフィーリングがある。

それはコーナリングでも感じられて、ステップ荷重による反応がよく、減速後にリーンさせていくと自然にハンドルが切れて安定して旋回。ペースを上げ、タイヤが少し心もとなさを見せても、その状況が伝わり、唐突な破綻にはならない。タイトコーナーで、可倒式ではないステップにのせたブーツの先が路面に接触するようにリーンさせても大きな問題はない。こうなれば走るのがとても楽しい。適度なスポーティさで自由自在。ハンドルウエイトの最適化でクイックすぎない落ち着いたハンドリングにしたと聞いた。前上がりのシート形状は座る場所を迷わないガイドがあって、そこに座るとシート先部分をニーグリップできる。

兄弟車といってもいいモンキー125と違うのは、クラッチ操作が必要な5速トランスミッ ションではなく、自動遠心クラッチを使った4速トランスミッションだというところ。ここは購入候補としている人には気になるところ。スーパーカブシリーズと同じ操作。 2016年に5万3,000台だったホンダの原付二種モデルの出荷台数が、2021年には7万 3,000台にまで増えた中で、小型AT限定二輪免許を取得してデビューする人も増加したと いう。自動遠心クラッチはATで乗れるメリット。個人的には踏み込むとクラッチが切れ てカチャリとギヤが入り、足を離すとクラッチがつながる自動遠心クラッチの乗り方は好 きだ。だからダックスでクラッチ操作したいなんて少しも思わなかった。それがなくても 走るおもしろさは変わらない。

ただし、一つだけ、ぜひ5速がほしいと思った。モンキーやグロムの3速~4速でキビキビ 加速して、5速でクルージングする使い勝手のよさを知ってしまうと、どうしてもそれがほしくなる。もちろんダックス125は4速で何の問題もない。4速に入れたままスロット ルを開けてもノロノロと進みだして速度を徐々に上げるフレキシブルなところは、80年代に私が初めてスーパーカブに乗ったときから変わらない。1速の登坂能力も不満はない。

この記事を書いた人
タンデムスタイル編集部
この記事を書いた人

タンデムスタイル編集部

初心者にも優しいバイクの指南書

バイクビギナーがもっとも知りたい、ハウツーや楽しいバイクライフの提案がつまったバイク雑誌。タイトルの"タンデム"は本来"2人乗り"の意味だが、"読者と編集部をつなぐ"、"読者同士の輪が広がる"といった意味が込められているぞ。バイク選び、ライディングギア選び、ツーリング、メンテナンス情報のほか、チャレンジ企画も大好評!
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...

アメリカンクラシックの原点「ディグナ クラシック」の[ジミー]なら、カラバリ・仕様も豊富で自分好みの1本が見つかる!

  • 2026.05.21

50sアメリカンスタイルを踏襲した「ディグナ クラシック」の[ジミー]は、シンプルなデザインやクラシックな世界観から多くの人に愛される名作。その人気ゆえ、仕様やカラーのバリエーションが非常に豊富な[ジミー]の全容をいま一度おさらいする。 955E“Jimmy”とはどんなメガネ? 1950年代にアメリ...

落語家たちが洋装に身を包む会、第4弾! 落語会「師匠お似合いですよ」の舞台裏で注目の落語家たちをSNAP!

  • 2026.05.18

アメカジを提案するファッションブランド「ゴールデンベア」が主催する落語会、その名も「師匠お似合いですよ」。弊誌も師匠方のスタイリングを担当。第4回目となる今回も大盛況でした。楽屋裏で撮影したみなさまの素敵な着こなしをお届けします! 落語家たちが洋装に身を包む会「師匠お似合いですよ」の舞台裏に潜入! ...

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

Pick Up おすすめ記事

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...

夏を彩るカラーゴールド。「市松」定番の18金シリーズはカラバリ豊富で夏に欠かせないアクセサリー

  • 2026.05.18

湘南に工房を構えるオーダーアクセサリーブランド「市松」。1997年に創業し、その2年後から27年も続く定番の18金シリーズは、カラバリも豊富で、いまや欠かせないブランドの顔だ。プロダクツとしての魅力だけでなく、夏の装いにも重宝する。 「市松」の定番、特別な5色の18金 「酷暑日」という言葉が新たに発...

アイヴァン史上初の完全復刻。“ヒストリック コレクション”誕生の裏側に迫る!

  • 2026.05.22

「アイヴァン」2026年春夏の新コレクションとして突如発表された“ヒストリック コレクション”。これまでにもアーカイブを現代に甦らせる試みは幾度か行われてきたものの、どれも細やかなアップデートが施されていた。文字通りの“完全復刻”は今回が初となる。 アイヴァンには立ち返るべき原点がある どこぞのヴィ...

アメリカンクラシックの原点「ディグナ クラシック」の[ジミー]なら、カラバリ・仕様も豊富で自分好みの1本が見つかる!

  • 2026.05.21

50sアメリカンスタイルを踏襲した「ディグナ クラシック」の[ジミー]は、シンプルなデザインやクラシックな世界観から多くの人に愛される名作。その人気ゆえ、仕様やカラーのバリエーションが非常に豊富な[ジミー]の全容をいま一度おさらいする。 955E“Jimmy”とはどんなメガネ? 1950年代にアメリ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。