初期のCCCジャケットを忠実に復刻。「ウエアハウス」のウールジャケット。

ヴィンテージピースを徹底的に検証しリプロダクションを生み出す手間はデザイナーの感性に頼るモノづくりの何倍も知識と労力が必要となる。この歴史への挑戦から素晴らしいプロダクツが誕生している。今回紹介するウェアハウスのジャケットも、まさにそんなプロダクツのひとつ。チェックパターンからデザインのディテールに至るまで、こだわりのポイントを見ていこう。

市民自然保護隊のキャンプで着用していたジャケットを再現。

1933年、時のアメリカ合衆国大統領、フランクリン・ルーズベルトによって発足された「CIVILIAN CONSERVATION CORPS=CCC(市民自然保護隊)」は、Tree Armyとも呼ばれるニューディール政府機関である。

18歳から25歳までの職のない若者の問題を解決するべく考案されたプログラムで、CCCキャンプは全国各地に設置された。彼らの仕事は、主に大規模な公共事業での作業だったが、その根底には「第二次世界大戦のための理想的な兵士を育てることだった」という意見も多い。

そんなCCCキャンプで若者が着用していたのが、今回紹介するバッファローチェックのウールジャケットである。A-1スタイルとマッキノーコートを合わせたようなデザインが特徴で、このジャケットは1935年前後に支給されたというデータが残っている。つまり、ODグリーンのものより前に支給されており、プロトタイプ、または着用者が恐怖心や違和感を抱かないように民間用のパターンを採用していたと推測される。

1976年に上映された映画『Bound for Glory』は、アメリカのフォークシンガーの草分け的な存在のウッディ・ガスリーを描いたもの。不況の真っ只中の’30年代、歌手を目指すガスリーが、このバッファローチェックのCCCジャケットを羽織ってテキサスから無一文でカリフォルニアを目指す姿は、まさに当時の若者そのものなのだろう。

Lot 2217 C.C.C LUMBER JACK JKT BUFFALO CHECK

フライトジャケットやコサックジャケットのパターンをもとにしたようなデザインで、まるでロガーコートをシングルブレストにしたような佇まいが特徴だ。ボタン掛けのブルゾンで、裾にボタン留めのフラップ付きのパッチポケットが1つずつ施されたシンプルなジャケットである。こちらはショールカラータイプ。107,800円

チェックパターンも何種類か存在するが、こちらはヴィンテージをそのまま再現した。

大きめのナットボタンは手付けのもの。この特徴的な裾リブもヴィンテージを忠実に再現した。

シャツのように剣ボロもあるカフス周りのデザインは、まさに1930年代を象徴する意匠のひとつ。

ポケットフラップ裏やカフス裏には、黒いコットン生地が施されている。細部まで丁寧な作りだ。

ボディは先染めのウール100%素材。身返しなどには黒いパイピング処理も施した丁寧な作りが特徴。

ODグリーンのものはリブ襟だが、こちらはショールカラー。襟を立てると防寒性が高まる。

【DATA】
WAREHOUSE TOKYO
Tel.03-5457-7899
http://www.ware-house.co.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「CLUTCH2024年2月号 Vol.94」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...