月後半の店舗営業を休むことを決めた「Brass shoe co.」の今とこれからを松浦氏に聞いた。

シューリペア&カスタムショップとして2007年にスタートしたBrass shoe co.。その後、2012年にオリジナルのブーツブランドであるCLINCHを開始した。さらに自社のユニフォームをコンセプトとしたBSC Uniformも展開する。そして今年には、月の後半の店舗をクローズするという体制を発表した。オリジナルブランドの意義や、体制の変化について、松浦稔氏に聞いた。

「Brass shoe co.」Owner・松浦 稔さん

1977 年生まれ。東京都出身。2007年に世田谷でBrass shoeco.を設立。2012年よりオリジナルブランドCLINCHを展開している。Instagram@brasstokyo

さらなる品質向上のための苦渋の決断と、新たな展開。

Brass shoe co.は今や東京を代表するシューリペア&ショップであり、オリジナルブランドのCLINCHは、海外でも高い人気を誇り、手に入れるのが難しいほどの盛況ぶりだ。

ただコロナ禍となり、革や資材の確保が難しく、こだわりが強すぎるゆえに生産数が減るなど、代表の松浦氏にとって、葛藤の1年だったという。そんな中でも最高の1足を作るため、もっと品質を向上させるために、営業体制を変えた。

ヨーロッパのホースバットを仕入れ、国内で茶芯仕様に仕上げたオリジナルレザーのレースアップブーツ。ハンドソーンウェルテッド製法で作り、オリジナルのコードソールを採用。¥181,500_

「月後半の店舗営業をお休みし、全スタッフがシューズのリペアやオリジナルの生産に集中できるように体制を変えました。ありがたいことにリペア業務やCLINCHが多方面からご好評頂いており、多くのオーダーが入っている状況です。

その結果、ここ数年は多くのお客様やディーラーにお待ち頂いており、それを解消したいと思っていました。うちとしてむしろ品質を上げたいくらいなので、生産効率を上げることは難しく、作業時間を多く確保する目的で、店舗営業を月の半分にしたんです」

またオリジナルブランドであるBSC Uniformへ力を一層入れていくことを決めたというから興味深い。

敬愛するOLD JOEと共作したモールスキン素材のセットアップ。フランスのヴィンテージをベースに、無駄なディテールを削り、ミニマルに仕上げた。ジャケット¥46,200_、トラウザー¥37,800_

「自身やスタッフが着て、気分が上がるもの、快適であることが大前提なのですが、僕が好きなクリエーターと一緒に仕事ができる貴重な機会でもあります。その時に受けた刺激が、様々な面で勉強になることが多いです。

またCLINCHやシューリペア&カスタムは、我々の手を動かさないと収益を生み出すことができませんが、BSC Uniormは違った形で得ることができます。まだまだ小規模ではありますが、その結果、自分たちの手仕事が収益性に捕らわれず、もう一歩踏み込んだモノ作りに繋がることがわかったんです」

【DATA】
Brass shoe co.
東京都世田谷区代田5-8-12
営業/12:00~20:00
休み/水・木・日曜(月の後半は全日休業)
www.brass-tokyo.co.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「CLUTCH2023年4月号 Vol.90」)

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