アンティークに囲まれたヘアサロン「スピークイージー サルーン ビューティースミス」|東京・代々木八幡

ノスタルジックな雰囲気の商店街にある、1920年代のアメリカ禁酒法時代の隠れ酒場をコンセプトにしているヘアサロン「Speakeasy Saloon Beautysmith」。オーナーの長尾 圭氏はヘアスタイリストのみならずタイルアーティストとしても活動するだけに、ビンテージのインダストリアルファニチャーを使いながらも、各所のアートワークやシャンデリア、ドライフラワーなどでモダンな雰囲気に仕上げられている。

1920年代のアメリカ禁酒法時代の隠れ酒場がコンセプト

ガラス張りになった外観をうまく活かしたサインペイントは、NUTS ART WORKSが手掛けたもの。イメージだけを伝えて、お任せで依頼したそうだ

代々木上原駅から代々木八幡駅へ繋がる、どこか懐かしい雰囲気が漂う商店街に突如現われるクラシックなサインペイント。ここが長尾氏の手掛けるスピークイージー サルーン ビューティースミスだ。その店名とビジュアルから連想できるように、1920年代のアメリカ禁酒法時代の隠れ酒場をコンセプトにしている。

看板や各所のアートワークを手掛けたのは長尾氏と高校生の時から友人であるNUTS ART WORKSの比内氏。中に入ると従来の美容室のイメージとは180度異なる重厚な雰囲気。ヴィンテージのインダストリアルファニチャーを使いながらも、各所のアートワークやシャンデリア、ドライフラワーなどでモダンな雰囲気に仕上げている。

これもすべて長尾氏のセンスと当時の文化やスタイルへの造詣の深さがあるからこそ。長尾氏は、兄が経営するバーバーを手伝っていた経験もあり、フェードスタイルを中心にしたメンズヘアのスペシャリストでもある。

「Speakeasy Saloon Beautysmith」代表・長尾 圭さん|1973年生まれ。青森県出身。美容専門学校を卒業後、都内の有名美容室などでキャリアを積み、2013年に独立。タイルアーティストとしても活動
この日は親交の深いBLUE BOAR VINTAGEのオーナーである谷口氏が来店。レディスはもちろん、メンズカットも得意としているためアパレル業界の男性客も多いという

Speakeasy Saloon Beautysmith」の内部を紹介!

レアなヴィンテージのインダストリアルファニチャーが随所に置かれた店内。一般的な美容室とは一線を画する個性的な空間が広がる。インテリアの参考にもなる空間である。

旧きよき時代の雰囲気を表現しながらも、モダンな印象を与えている要因のひとつが、随所にあるタイルワーク。長尾氏はSpeakeasy Tile Cra ftsmanの名義でタイルアーティストとしても活躍している。これらのアートワークはすべて長尾氏によるもの。同店だけでなく、洋服店や飲食店などの施工も多く手掛けており、直接オーダーすることも可能だ

店内には、ヴィンテージのインダストリアルファニチャーの中でも人気の高いジャパンカラーの仕様やO.C.WHITEのランプなど、長尾氏の目利きぶりが発揮されている。またヴィンテージのような看板は、NUTS ART WORKSが同店のために描き上げた作品。什器はワンオフとヴィンテージをセンスよくブレンドさせており、なんとも個性的な空間に。それでいてワイルドすぎないバランスが秀逸だ。

仲間内にヴィンテージファニチャーのスペシャリストが多いこともあり、レアでグッドデザインのプロダクツが揃う。この3つのランプはすべてヴィンテージのO.C.WHITEである。

取材日は不在だったが、看板犬であるフレンチブルドッグのナティーがいることもあって、ブルドッグモチーフのアンティークが随所に置かれている。コツコツと収集したそう。

長尾 圭さんのイチ押しスタイル。

バーバーを手伝っていた経験もあり、フェードスタイルは得意とするところ。美容師でこのクオリティに仕上げられる人はほんの一部だろう。またリーゼントなど、背景にカルチャーのあるヘアスタイルも得意であり、クラシックながらもモダンに仕上げる。

アーティストでもある長尾さんのライフスタイルの一部を拝見!

バーバーやサロンなどで、自分に似合う髪型を提案してくれるトップスタイリストという枠を飛び越えた存在である長尾氏。ヘアデザイナー、タイルアーティストを両立させる多忙な日々を送りながら充実した姿を見せる生き様は、ライフスタイルの身近なお手本にしたくなる。

タッグを組む盟友とのミーティング。

この日は都内近郊にあるNUTS ART WORKSのアトリエでミーティング。室内はリノベーションされており、比内氏の膨大な資料や作品が至る所にレイアウトされている。

NUTS ART WORKSの作品はサロンの至る所に見ることができる。1920年代のアメリカ禁酒法時代の雰囲気をうまく表現しており、この作風は比内氏ならでは。内装などの仕事でタッグを組むこと多いのだとか。Instagram@nutsartworks

阪本高生堂のフラッグシップモデル、COOL GREASE SUPERIOREは長尾氏が開発に携わる。パッケージデザインはNUTS ART WORKS220g。各2200

異業種のアートワークも手がける。

日本有数のシューリペア&カスタムショップであるBrassの松浦氏とも親交が深い。店舗の隣にあるギャラリースペースであるLAITONには、長尾氏によるタイルワークが施されている。Instagram@laiton_tokyo

LAITONのエントランスにあるタイルワークは長尾氏によるもの。クリーンな印象でありながらも、クラシカルな雰囲気を醸し出しているのが素晴らしい。

恵比寿にあるヴィンテージ家具店のBLUE BOAR VINTAGEの看板も長尾氏が手掛けたもの。タイルだけでなくステンドグラスも得意とする。Instagram@blueboarvintage

毎シーズン購入するファッション。

毎シーズン、必ず購入しているOLD JOE。デザイナーの髙木氏とは旧い付き合いであり、全幅の信頼を寄せる。店でユニフォームのように同ブランドのシャツを愛用中。

店内にはOLD JOEのフルラインナップはもちろんのこと、Ascari Bicyclesの自転車なども取り扱う。髙木氏ならではのインテリアのセレクトも注目だ。

神泉駅からもほど近い場所に位置するOLD JOEフラッグシップストア。旧山手通り沿いにあり、アクセスも抜群。http://www.oldjoe.jp  Instagram@oldjoebrand

ON&OFFを彩るこだわりの逸品。

クラシカルなペンシルハンドの時計はOLD JOE製。小振りなサイジングなので、仕事でも頻繁に着ているシャツと相性抜群。ユニークダイアルと呼ばれる文字盤も

親交の深い石川の名店PHAET ONで購入したというヴィンテージのフレンチフレームは、1950年代のもの。フランスらしいクラウンパントのデザインが気に入り色違いで購入した。

NUTS ART WORKSの薦めでオーダーしたという紺仁染織工房の半纏。デザインは比内氏が担当し、幾何学模様は散髪屋の文字がモチーフ。作業着として着用するという。

20年以上使っているというシザーズと日本製のコーム。量産品のコームは自分のものとひと目でわかるように角を削ってカスタム。仕事道具として大切にしているのがわかる。

NUTS ART WORKSの作品や仕事をまとめたアーカイブブック。長尾氏がカメラマンとして参加しており、作業現場にも立ち会った思い深い1冊である。

ライフワークでもあるカメラは、フィルムのLeica M6を愛用している。友人であるカメラマンの影響もあって、20代前半からフィルムで撮り続けている。

デジタルカメラはCanon5D マーク2を愛用している。こちらは趣味というよりは、仕事用の記録用としても使っており、撮影対象によって使い分けている。

DATA
東京都渋谷区元代々木町8-7 1F
TEL03-6804-8049
営業/10:0021:00(月曜〜土曜)、10:0019:00(日曜)
休み/火曜、第13水曜
http://speakeasysaloon.jp

(出典/「ヘアスタイリストファイル」)

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CLUTCH Magazine 編集部
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