N-1の後継として登場したデッキジャケット「A-2」。

  • 2023.01.22

デッキジャケットといえば、先に紹介した襟ボア付きのN-1の印象が強いが、後継モデルとして、1960年代に登場したA-2デッキジャケットも根強い人気を持つ。ファッションとして取り入れやすいシルエットやデザインも大きな魅力だ。

ファッションとの両立が図れる均衡の取れた銘作。

アメリカ海軍の艦艇乗組員用に1960年代、それまでのN-1シリーズに取って代わって登場したのがA-2デッキジャケット。大きく変更されたのは、アウトシェルに使用される素材で、いわゆるジャングルクロスと呼ばれるコットングログランから、コットンのバックサテンへと変更された。

A-2デッキジャケットの中でも前期と後期で、おおよその区分が設けられており、前期はコットン100%だが、後期になると、より強度を高めたコットンポリエステル混紡の生地へと変更される。またデザイン上ではポケットの形状が変更されるなど細かな仕様の違いも年代交渉をする上で興味深い。

実質的なN-1の後継モデルであるため、基本的なディテールや仕様は、受け継がれるも、もちろんアップデートが繰り返されている。そこには生産性やコストなどの見直しも図られ、ライニングに装備していたアルパカウールはナイロンボアへとコストダウンされ、軽量化、動きやすさが加味されることで、より現代の衣服に近く、タウンユースとして着用しやすい仕様になっている。

フロントは比翼仕立てのボタンに加え、ファスナーの2重仕立て。フロントからの冷気の侵入を免れることができる。また裾には幅を調節できるようにアジャスターベルトを装備し、裾下からも冷気を防ぐディテールとなっている。海軍服としてのポテンシャルを持ちながらも、ファッションとしても両立できるA-2デッキジャケットは現代服のデザインソースとしては相性が良いモデルと言えるだろう。

TENJIN WORKS FJ:01 C’MAN CREW JACKET

1960年代にU.S.NAVYに採用されたA-2デッキジャケットをベースに、きめ細やかでソフトな仔牛の革で知られるキップレザーをシェルに使用。さらにレザーに耐久性を高めるため、オイルド加工を施し、オリジナルのオイルドキップレザーを開発。ライニングにはボアも搭載され、レザーの遮風性に加え、保温性にも優れたジャケットに仕上がっている。良質な革ならではの美しいエイジングと軽量で馴染みの良いレザーはクセになるはず。¥187,000_(TENJIN WORKS Tel.03-3870-8658 http://www.tenjinworks.com

Dehen A-2E DECK JACKET

アウトシェルには特有の光沢が上品さを増すコットンのバックサテンを採用。ラインングには贅沢にもメリノ種のムートンをふんだんに使用しており、なおかつ毛を短く刈り上げることで見た目以上に軽量に仕上がっている。もちろん保温力も抜群。フロントはフラップ付きの胸ポケットがひとつとサイドポケットが2つの計3つ。武骨なデザインながらもデイリーに着回しやすいデザインが好評だ。フロントはボタンとファスナーの2重開閉となっている。¥146,080_(Dehen Japan Tel.03-5752-3188 http://www.dehenjapan.com

※情報は取材当時のものです。

(出典/「CLUTCH2023年2月号 Vol.89」)

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