遮風性と保温性に優れたジャケット「N-1」。
ダッフルコート、ピーコートとともに、ミリタリー色が強いネイビー由来のアウター。この3種の中で、着丈が短い=機動力に長け、なおかつ防寒性能に優れた海軍もののアウターとして、N-1がある。N-1は、U.S. NAVYを代表するアウターのひとつ。航空母艦をはじめとする艦隊の甲板上で任務に就く兵士たちのために1940年代に登場した。
冬には冷たい強風が吹き付け、当然、海上を主戦場とするため、ファスナーが錆び付いて、ジャケットが開閉できなくなることを想定し、ボタンフライとの二重にするなど、過酷な環境でも、しっかりと兵士の命を守るために作られた。
メインマテリアルとなるのは、ジャングルクロスと呼ばれる高密度に織られたコットングログランを仕様し、保温性を高めるためアルパカライニングを装備。カフスには内リブ、首周りは、ボア襟にチンストラップが付けられるのが基本デザインだ。
後継モデルであるA-2デッキジャケットが登場する1960年代まで、実に15年以上も愛され続けたN-1。耐久性が高く、ミニマルなデザインから、現代服のモチーフとしても根強い人気を持つNAVY GARMENTのひとつだ。
N-1の前身となった通称“デッキフック”。
初期のデッキジャケットはフロントがファスナー開閉式だったが、海上で作業する兵士たちにとって塩害は避けられるものではない。ファスナーが錆び付いてしまっては防寒もできないことから、改良されたのがフックタイプの通称デッキフックと呼ばれるモデル。ウールライニングこそ装備されるものちに、より保温力の高いアルパカライニングへと変更される。
BUZZ RICKSON’S WILLIAM GIBSON COLLECTION
デッキクルーたちによって着用されたジャケットの生地は、直射日光や雨風により、当然、褪色するが、その絶妙な色を黒で表現している。¥68,200_(BUZZ RICKSON’S Tel.03-3632-2321)
BUZZ RICKSON’S
ジャングルクロスのボディカラーやリブの色に合わせ、フックの色もカーキが装備されているため、統一感のあるデザインに仕上がっている。¥53,900_(BUZZ RICKSON’S Tel.03-3632-2321)
CLUTCHが注目するN-1デッキジャケット5選。
1.BUZZ RICKSON’S
ジャングルクロスと呼ばれる高密度なコットングログランをマテリアルに採用。袖口の内側にアルパカモヘアが縫い付けられた初期モデルを完全復刻している。¥75,900_(BUZZ RICKSON’S Tel.03-3632-2321)
2.Trophy Clothing
遮風性、撥水性に優れたグログランピケをマテリアルにミドルレイヤーにシンサレート、ライニングにベビーアルパカを装備。ポケットのレザートリムがアクセント。¥71,500_(Trophy Clothing Tel.03-6805-1348)
3.Dehen
バックサテンをアウトシェルに使用し、通常アルパカのライニングがつけられるが、メリノ種の良質なムートンを装備したDehenらしい新解釈のN-1ジャケット。アメリカ製。¥207,680_(Dehen Japan Tel.03-5752-3188)
4.JELADO
民間用として作られたデッキジャケットをイメージして製作。生地はコットングログランを採用し、ボアもアウトシェルに合わせてグレーで統一。モダナイズされたファッション性の高い1着。¥52,400_(JELADO Tel.03-3464-0557)
5.STUDIO D’ARTISAN
1940年代のU.S.N.デッキジャケットから着想を得たサウンユース仕様のN-1。ユーモラスなグラフィックが描かれたスコードロンパッチが左胸に付けられたキャッチなー一着。¥31,680_(STUDIO D’ARTISAN INTERNATIONAL Tel.06-6536-6328)
※情報は取材当時のものです。
(出典/「CLUTCH2023年2月号 Vol.89」)
Photo by Masahiro Nagata 永田雅裕 Text by Tamaki Itakura 板倉環 Styling by Yuzo Nakamura 中村祐三 Mod el by YUTO
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