英国が生んだ歴史的銘車“ミニ”の先代。「1957 Austin A35」

旧車、希少車、高級車であることが、必ずしも銘車であるとは限らない。プロダクツとして 完成度の高さゆえに後世に語り継がれていき、世界的に認められたクルマこそが、銘車として認められるべきだ。それが、例え大衆車であったとしてものちのクルマ産業に及ぼした影響が大きければ、また人々に広く愛されてきたのなら銘車と呼ぶ資格はあるはずだ。

英国の実力派オースチンが手がけた大衆車。

英国のクルマメーカーで知られるオースチン。創業は1905年と長い歴史を誇り、第一次世界大戦では装甲車を手掛け、日本陸軍もオースチン製の装甲車を購入していたという。第二次世界大戦ではクルマだけでなく飛行機も生産するほどの実力メーカーだったことはさほど知られていない。

今回紹介するクルマはAustin A35。日本において、認知度極は低いが、英国本国では、デビューの1952年から生産終了の1962年までの約10年間で28万台もの数が生産されたという。コンセプトはファミリーカー。であるため安価で乗りやすりクルマだったはず。しかしそのわりに外国車好きの日本において、あまり見かけないのは、A35の後継で英国車の革命児と言われるミニが爆発的な人気を博したから。その人気の影に潜めて、A35が世に大きく出る機会を失ってしまったのだ。

サイズは日本の軽自動車よりもやや大きい程度。コンパクトながら天井が高いため、意外と窮屈さは感じられない。それにしても、ほどよいサイズでクラシックカー然としたフォルムとフェイス。人気者となる可能性を充分に秘めている。

1957 Austin A35

ぽってりとしたフォルムが可愛らしいA35は、1950年代をメインに大衆車として活躍。排気量は1000㏄で、ミニの先代と言われれば、なんとなく共通するデザインも理解できる。またレース仕様となっているのも、この個体の大きなポイントだ。本国の愛好家たちの間では、小排気量のこのクルマをベースにカスタムし、クラシックカーレースに参戦する粋な遊びをしているのだとか。

スポーツハンドルにバケットシートが積まれたレース仕様車。淡いブルーのボディカラーが、そのまま内装にも剥き出しで使われているのが実にクラシック。

このクルマのキャッチーなディテールとなっているルーフに装着されたライトは、車内から手動でオンオフ可能。

美しいアールを描いたフロントグリル中央には「Austin」エンブレムが堂々と鎮座する。

ボンネットにはイニシャルである「A」の文字から翼が生えたような疾風感のあるエンブレム。

【DATA】
VINTAGE SHONAN
Tel.045-300-3750
http://www.vintage-shonan.co.jp

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「CLUTCH2022年10月号 Vol.87」)

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