昔ながらの手法でフェルトワッペンを再現!「NORTH NO NAME」の手仕事に注目。

昔ながらの手法で作るフェルトワッペンに執着するNORTH NO NAME。オーナーであり職人でもある堀川氏が2005年に創業して以来、コーヒー染めによるエイジング加工で経年した風合いに仕上げたヴィンテージ感もファッション通の心を鷲掴みにし、現在では世界的に知られる存在になった。ここでは、そのこだわりの詰まった新作フェルトパッチを紹介する。

とことんハンドメイドにこだわるフェルトパッチ。

手描きしたスケッチに合わせてフェルトを手で切り出し、それを重ねて立体的にデザインを構成していくヴィンテージのフェルトワッペンに魅了され、それを当時と同じ手法で現代に蘇らせるのが、NORTH NO NAMEの堀川氏だ。

1979年札幌生まれ。地元の人気ヴィンテージショップに勤務後、独立して上京。2005年からNORTH NO NAMEをスタートして、ヴィンテージさながらのフェルトワッペンを作り続けている。2017年には浅草にフラッグシップストア『SNOW PLANT』をオープン。自身の好きなヴィンテージ古着や雑貨とともに、同ブランドのオリジナルウエアや小物なども展開している

重ねたフェルトはミシンで1箇所ずつシングルステッチで縫製していくこだわりようで、最後にコーヒー染めで経年による風合いを再現することで、唯一無二のフェルトワッペンは完成する。

ひとつひとつの工程を見せてもらうと、仕上げまでの時間のかかりように驚かされる。そのため、毎シーズン30点近くリリースする新作は、取り扱い店に1アイテムにつき1点しか納品されない。その〝一点モノ〞的な希少性も、ファンを虜にするのである。

手描きのスケッチがフェルトパッチになる制作工程。

下描きした箇所に沿って、ミシンでシングルステッチを入れていく。フェルトの切り文字部分は文字は切ってから縫うのではなく、フェルト地を文字ステッチで縫い付けてから切り出す。

ペンを使った下描きもすべて堀川氏の手作業で行う。最初に見本となる完成形のサンプルを1点作り、それに倣って下描きを入れる。一点ずつ微妙に異なるのがまたアジとなる。

フェルト地を文字ステッチで縫い付けた後、文字の形に合わせて切り出していくのだが、堀川氏は生地用の裁ちバサミを器用に使って仕上げる。

この細かいアルファベット部分を大きな裁ちバサミで切り出す作業は、熟練の技。ヴィンテージと同様の昔ながらの手法だ。

右側がコーヒー染めして仕上げたサンプル。このワッペンは今季の新作で「NNN-004」のB型。¥10,780_

今季の新作のものになった手描きの型紙。ワッペンを作る前に、思い描くデザインをこのようにスケッチするところから作業は始まる。すべて堀川氏の直筆だ。

手描きのスケッチ段階からこのように仕上がるとは、素人目には想像できない。これが熟練の堀川氏だから成せる技なのである。ちなみに上のモデルの背中の髑髏マークは一点ずつ手描きする。

2022 New collection

NNN-001 (A ~E型) 各¥5,280_

NNN-002 (A ~E型) 各¥6,380_

NNN-002 (F ~J型) 各¥6,380_

NNN-002 (K ~O型) 各¥6,380_

NNN-002 (P~S型) 各¥6,380_

NNN-002 (A,B型) 各¥8,580_

NNN-004 (A ~C型) 各¥10,780_※前述のダック柄はこれのB型

NNN-005 (A型/2枚セット) ¥13,200_

過去の作品も一部紹介。

上は人気音楽ユニット、EGO-WRAPPIN’の依頼で制作した帽子。下は以前制作したNORTH NO NAMEのバナー。

自身のショップ『SNOW PLANT』だけでなく、他店の記念ワッペンも限定で手がけてきた。

1940年代のコーデュロイのスポーツJKTをもとにワッペンカスタムしたオリジナルの過去作品。

こちらもヴィンテージをもとにしたギャバジン素材のカスタムJKT。NORTH NO NAMEの過去作品。

ヴィンテージのボタンスタジャンをもとに作ったオリジナルのカスタムJKT。これも過去作品。

コーデュロイ素材のスポーツJKTをもとにカスタムした1着。こちらもオリジナルの過去作品。

【問い合わせ】
SNOW PLANT
Tel.03-5849-4280
https://snowplant.buyshop.jp/

(出典/「CLUTCH Magazine 2022年8月号 Vol.86」)

この記事を書いた人
ランボルギーニ三浦
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ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
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