「WAREHOUSE」Press・藤木将己さん
デニムはもちろん、ミリタリーやアウトドアなど、ヴィンテージウエア全般に造詣の深いWAREHOUSEの広報。学生時代に初めて購入した超ヴィンテージは、ボロボロのセカンドだった。
ジーンズの歴史を大きく変えた大戦モデル。
エイジングした際の圧倒的な存在感と通常モデルには存在しない得意なディテールを持つことからヴィンテージファンの間でも、依然、人気の絶えない大戦モデル。
残存する個体数の個性的な仕様から、未だ解明されず新たな発見と考察があるために、WAREHOUSEでは製造年代の細分化に余念がない。彼らが手掛ける「デッドストックブルー」と名付けられたシリーズでは希少な大戦モデル、そしてその前後に生産されただろうモデルを検証し、忠実に再現。
「WW2がジーンズにもたらしたもの。当時、大戦による物資統制により、これまで通常装備だったパーツや部材などのディテールが、簡略化を余儀なくされました。それらのディテールは戦後、復帰したものもあれば、そのまま廃止で良しとされたものも。皮肉にもWW2によってブラッシュアップされ、後年の5ポケットジーンズの礎を築いたのは事実なんですよね」
たった数年の間に目紛しく変化するデニム。まだまだ考察の余地はありそうだ。
「デッドストックブルー」シリーズで大戦モデルの特徴を捉える。
ディテールにもさまざまな特徴のある大戦モデル。WEARHOUSEのデッドストックブルーシリーズでその特徴を見ていこう。
1936 MODEL Lot 2001XX(2000XX)
ジャケットは、片ポケット仕様で、ポケット脇に赤のピスネームが付かない時代のファーストモデル。バックルバックの尾錠サイズが小ぶりであること、プリーツ留めのボックスステッチの幅も小さく、運針も細かいクラシックな仕様。¥39,600_
1936 MODEL Lot 1004XX(1000XX)
同年代のパンツには、すでにピスネームが付けられ、バックポケットのむき出しリベットは隠しリベットへと変更された。¥35,200_
WWⅡ (1942MODEL) Lot S2000XX
ポケットのフラップやボタン数の省略は大戦モデルの大きな特徴だが、部材や生地など、根本的な仕様変更が施されている。¥39,600_
WWⅡ (1942MODEL) Lot S1003XX(1000XX)
パンツのバックポケットのステッチはペンキステッチ。この時代特有の荒々しい色落ちを見せる厚手のデニムやユニークな縫製仕様が大戦モデルの魅力で、このモデルにより、ジーンズがワークウエアから脱却するきっかけとなった。¥31,900_
1947MODEL (COMING SOON) Lot 2001XX(2000XX)
ジャケットは、袖が1枚袖になり、下前にコバステッチが入れられたりと作り手のアレンジが想像できる。のちの「ベーシック」の礎を築いたモデル。¥39,600_
1947MODEL (COMING SOON) Lot 1001XX(1000XX)
歴代のモデルの中でも、とりわけベーシックモデルとして評価の高い1947モデル。戦後の生産体制の確立と物資の充実、さらにデニムがファッションへと昇華したエポックメイキングなモデルで知られる。¥31,900_
WWⅡの直前と直後に作られたジーンズにも差異があり。
大戦前後の数年でも股リベットやコインポケット、隠しリベットなどに違いがある。細かく見てみるとおもしろい。
1941MODEL Lot 1003XX(1000XX)
一見、1936モデルと同様のディテールを持っているように見えて大戦仕様の1941モデル。股リベットやコインポケットのリベット、バックストラップも。隠しリベットは銅製ではなく鉄製銅メッキ。またフロント前立て裏は、2本糸によるオーバーロックによって縫製されている。¥35,200_
1946MODEL Lot 1000XX
戦後間もない1946年モデルでは、大きな変化が見られる。フロントの股リベットとバックストラップは継続的に廃止。フロント前立て裏は3本糸によるオーバーロック仕様となっている。ただしデニム生地は、大戦時に使われていた特有の色落ちを見せるデニム生地を使用する。¥31,900_
【DATA】
WAREHOUSE TOKYO
Tel.03-5457-7899
https://ware-house.jp
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「CLUTCH2022年6月号 Vol.85」)
Photo by Masahiko Watanabe 渡辺昌彦 Text by Tamaki Itakura 板倉環
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