「ウエアハウス」デッドストックブルーシリーズから大戦前後に作られたデニムを考察!

「徹底的なディテールの追求」によって世界的に高い評価と支持を集めるWAREHOUSE。彼らが手掛ける「デッドストックブルー」シリーズから大戦前後に作られたモデルを考察する。

「WAREHOUSE」Press・藤木将己さん

デニムはもちろん、ミリタリーやアウトドアなど、ヴィンテージウエア全般に造詣の深いWAREHOUSEの広報。学生時代に初めて購入した超ヴィンテージは、ボロボロのセカンドだった。

ジーンズの歴史を大きく変えた大戦モデル。

エイジングした際の圧倒的な存在感と通常モデルには存在しない得意なディテールを持つことからヴィンテージファンの間でも、依然、人気の絶えない大戦モデル。

残存する個体数の個性的な仕様から、未だ解明されず新たな発見と考察があるために、WAREHOUSEでは製造年代の細分化に余念がない。彼らが手掛ける「デッドストックブルー」と名付けられたシリーズでは希少な大戦モデル、そしてその前後に生産されただろうモデルを検証し、忠実に再現。

大戦モデルではポケットの袋布もスレーキではなく、ネルやシャンブレー、ヘリンボーンやデニムなど多様な生地が使われた
バックルバックは戦後に廃止され、戦中のペンキステッチも糸のステッチへ。隠しリベットは鉄製が使われる

「WW2がジーンズにもたらしたもの。当時、大戦による物資統制により、これまで通常装備だったパーツや部材などのディテールが、簡略化を余儀なくされました。それらのディテールは戦後、復帰したものもあれば、そのまま廃止で良しとされたものも。皮肉にもWW2によってブラッシュアップされ、後年の5ポケットジーンズの礎を築いたのは事実なんですよね」

たった数年の間に目紛しく変化するデニム。まだまだ考察の余地はありそうだ。

1930年代後半から1940年代のウエスタンギアカタログ『STOCKMAN-FARMER』。カタログ内でも戦前戦後のジーンズの仕様変更を確認。大戦中の表紙はカラーが使われていない
ジャケットやジーンズのバックストラップに使用される尾錠。左端が1920年代から使われていたタイプで、後年モデルになるにつれ、サイズもデザインも変化していくのが理解できる
大戦中のアメリカ本土の国民の生活の様子が書かれた『銃後のアメリカ』。当時のリアルな生活から大戦モデルがどのようなものだったかを知ることができる

「デッドストックブルー」シリーズで大戦モデルの特徴を捉える。

ディテールにもさまざまな特徴のある大戦モデル。WEARHOUSEのデッドストックブルーシリーズでその特徴を見ていこう。

1936 MODEL Lot 2001XX(2000XX)

ジャケットは、片ポケット仕様で、ポケット脇に赤のピスネームが付かない時代のファーストモデル。バックルバックの尾錠サイズが小ぶりであること、プリーツ留めのボックスステッチの幅も小さく、運針も細かいクラシックな仕様。¥39,600_

1936 MODEL Lot 1004XX(1000XX)

同年代のパンツには、すでにピスネームが付けられ、バックポケットのむき出しリベットは隠しリベットへと変更された。¥35,200_

WWⅡ (1942MODEL) Lot S2000XX

ポケットのフラップやボタン数の省略は大戦モデルの大きな特徴だが、部材や生地など、根本的な仕様変更が施されている。¥39,600_

WWⅡ (1942MODEL) Lot S1003XX(1000XX)

パンツのバックポケットのステッチはペンキステッチ。この時代特有の荒々しい色落ちを見せる厚手のデニムやユニークな縫製仕様が大戦モデルの魅力で、このモデルにより、ジーンズがワークウエアから脱却するきっかけとなった。¥31,900_

1947MODEL (COMING SOON) Lot 2001XX(2000XX)

ジャケットは、袖が1枚袖になり、下前にコバステッチが入れられたりと作り手のアレンジが想像できる。のちの「ベーシック」の礎を築いたモデル。¥39,600_

1947MODEL (COMING SOON) Lot 1001XX(1000XX)

歴代のモデルの中でも、とりわけベーシックモデルとして評価の高い1947モデル。戦後の生産体制の確立と物資の充実、さらにデニムがファッションへと昇華したエポックメイキングなモデルで知られる。¥31,900_

WWⅡの直前と直後に作られたジーンズにも差異があり。

大戦前後の数年でも股リベットやコインポケット、隠しリベットなどに違いがある。細かく見てみるとおもしろい。

1941MODEL Lot 1003XX(1000XX)

一見、1936モデルと同様のディテールを持っているように見えて大戦仕様の1941モデル。股リベットやコインポケットのリベット、バックストラップも。隠しリベットは銅製ではなく鉄製銅メッキ。またフロント前立て裏は、2本糸によるオーバーロックによって縫製されている。¥35,200_

1946MODEL Lot 1000XX

戦後間もない1946年モデルでは、大きな変化が見られる。フロントの股リベットとバックストラップは継続的に廃止。フロント前立て裏は3本糸によるオーバーロック仕様となっている。ただしデニム生地は、大戦時に使われていた特有の色落ちを見せるデニム生地を使用する。¥31,900_

【DATA】
WAREHOUSE TOKYO
Tel.03-5457-7899
https://ware-house.jp

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「CLUTCH2022年6月号 Vol.85」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

記念すべき第1弾の革をモヒカン小川がプロデュース! AJLP活動報告。

  • 2026.09.01

ALL JAPAN LEATHER PRODUCT。略して「AJLP」なるビッグプロジェクトの活動報告。国産の原皮=地生(じなま)にこだわり、鞣しから縫製まですべてを日本で行う“オールジャパン”に価値を見出し、そのクオリティや魅力を伝えるべく動き出した革のプロたちのリアルドキュメンタリーである。同プ...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

上海発・気鋭のアメカジブランド「REAL SIMONS」を知っているか?

  • 2026.08.30

近年アメカジが流行し、大きな発展を遂げている中国。同国で1984年に創業したレザーウエア工場の生産背景を元に2017年に始動したのが「リアル シモンズ」だ。ヴィンテージピースを現代的に再構築した高品質なプロダクトを手がける気鋭のブランドである。 元々は皆さんと同じ『Lightning』の読者だったん...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

「VINTAGE PEANUTS」が約10年ぶりに復刻! 「ウエアハウス」の新作Tシャツ一挙見せ!

  • 2026.09.08

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 装いのアクセントにユニークなTシャツを! ウエアハウ...

Pick Up おすすめ記事

記念すべき第1弾の革をモヒカン小川がプロデュース! AJLP活動報告。

  • 2026.09.01

ALL JAPAN LEATHER PRODUCT。略して「AJLP」なるビッグプロジェクトの活動報告。国産の原皮=地生(じなま)にこだわり、鞣しから縫製まですべてを日本で行う“オールジャパン”に価値を見出し、そのクオリティや魅力を伝えるべく動き出した革のプロたちのリアルドキュメンタリーである。同プ...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

上海発・気鋭のアメカジブランド「REAL SIMONS」を知っているか?

  • 2026.08.30

近年アメカジが流行し、大きな発展を遂げている中国。同国で1984年に創業したレザーウエア工場の生産背景を元に2017年に始動したのが「リアル シモンズ」だ。ヴィンテージピースを現代的に再構築した高品質なプロダクトを手がける気鋭のブランドである。 元々は皆さんと同じ『Lightning』の読者だったん...