ロサンジェルスを拠点に、小さな体と重たいカメラで写真を撮り続けるフォトグラファーMaiko。実際にMaiko自身の足で訪れた、話題のスポットや立ち寄ってみたくなるようなショップをMaikoの目線から切り取って紹介する。
『CLUTCH Magazine Vol.61』の、アート特集でも掲載されている、アメリカのモダン・アートシーンを代表する画家Shag。彼の描く、50年代のアメリカを思わせるポップで独特な世界観には、一度見たら目に焼きつくような印象深さがある。
Shagは、大学で最初はビジネスを専攻するも、あまり興味を持てずに専攻をアートに変更。彼がアートを学び始めたのはそこからだった。その時はまさか自分が画家になろうとは思ってもいなかったという。大学卒業後、レコード会社にてグラフィックデザイナー、イラストレーターとして働き始める。その傍ら、趣味としてTikiにペイントをしていた。
Tikiとは伝統的な神話のシンボル像で、ハワイの人々にとっては身近な神として敬うべき存在。ShagはTikiが好きで、21歳からコレクトし始め、現在その数はおそらく100を超える。幼少期、ハワイに住んでいた彼にとってTikiは当時の故郷を思い出すとても特別なものなのだ。
そんなあるとき、友人から「Tiki artの作品をアートギャラリーに飾った方がいい!」と熱烈にすすめられる。Shagは正直そこまで乗り気でなかったが、友人に強く背中を押され、展示の準備は整えられていった。初めの展示は1995年、ギャラリーではなくサンタモニカにあるカフェであった。
そのすぐ翌年、Los FelizにあるLa Luz Dejesusというギャラリーで、Tiki artshowが行われることとなり、そこに6つの作品を展示した。するとたちまち全ての作品がSold out。それから少しずつ趣味であったTikiペイントは本格的になり、1999年、Shagはグラフィックデザイナー、イラストレーターから画家となった。
彼の作品の特徴は、目が醒めるような明るいカラー。特別明るい色の絵の具を使っているわけではないが、色の組み合わせが作用しあって明るく見えるように工夫されている。
自宅で作品を描くShag。
自宅に飾られている作品“Earth”。
こちらも自宅に置いてある作品“Tiki bowling alley”。ボーリングのレーンのように長い作品にしたという、遊び心満載の作品だ。
インテリアにも、遊び心満載でインパクト大な作品が。
そんなShagが5月7日、新しいアートのお披露目パーティーをするというのでお邪魔してきた。彼は、ロサンゼルス・ウェストハリウッド、メルローズアベニュー沿に小さめのギャラリーをひとつ、そしてパームスプリングスに大きなギャラリーを持っている。今回のパーティーはウェストハリウッドのギャラリーで行われた。
行ってみると、ギャラリーの外にまで人が溢れ出るほどの大盛況ぶり。
絵を見るのが大変なほど、人でごった返していた。
新作”Palm Springs Polynesia”シリーズ。
その他、Shagらしいトロピカルでハッピーな作品がずらり。ギャラリー内もハワイアンミュージックが流れ、皆お酒を片手に作品鑑賞を楽しんでいた。
DJもハワイアンシャツを着ていて、まるでギャラリー全体がハワイになったかのよう。
来ていた人たちのもう一つのお目当はグッズ。絵画のほか、Shagのポップな世界観がグラスやソックス、クッションにも。ちょっとした日常使いの中でも気分が明るくなりそう。パーティーが始まって即完売していたものもあるほどの大人気ぶり。
ひっきりなしにサインを求められるShag。大忙しの中、声をかけると笑顔で応じてくれた。
見ていると誰もがハッピーな気分になるShagの作品。ポップで目がさめるような色使いに明るい気分になるとともに、個性的なのにどこか懐かしさも感じる。これだけの人気も納得だ。
●Maiko Naito 内藤真依子(フォトグラファー)
静岡県出身。都内の大学を卒業後、マスコミ関係の仕事に携わる。退社後、心機一転しフォトグラファーとしてハワイへ移住。仕事を通じて技術と語学力を身につけ、2015年に以前から憧れていたロサンジェルスへ。クリエイター集団Seven Bros. Picture所属(http://seven-bros.com)
(出典:『CLUTCH web』、写真:Maiko Naito 内藤真依子、文:CLUTCH Magazine編集部)
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