モノ作り大国・ドイツの職人魂が宿る、「SCHUH BERTL」のブーツ。

クルマ、建築、カメラ、インテリア、文房具など、数々の名デザインを世に送り出してきたドイツは、世界でも指折りのモノ作り大国だ。その特徴は、合理的で機能美に溢れること。Made in Germanyという表記には、アメリカともイギリスとも違う魅力を感じることだろう。10代の頃から専門的な技術と知識を身につけられる教育制度や、職人のレベル維持・向上のための職能国家資格であるマイスター制度など、モノ作りにまつわる諸制度が整っていることも、その評価を支えている。
さて、ここで紹介したいのは、先日ドイツ・ベルリンで開催されたトレードショーSELVEDGE RUNで出会ったMade in GermanyのシューズブランドSCHUH BERTLだ。
日本語ではシュー・ベルテルと発音する。主に登山やハンティングなどのクラシックなワークブーツを継承したモデルを展開する。1足1足の堂々とした佇まいからは、モノ作り大国ドイツならではの職人魂を感じる。日本では一部のセレクトショップで取り扱いされているのみで入手は困難だが、知っている人の評価は極めて高い。

登山靴作りが根付く街「ミュンヘン」の靴職人

1
SCHUH BERTLの拠点は、アルプス山脈の麓の都市ミュンヘンだ。旧くから登山靴作りの伝統が根付くこの街で、1988年に靴職人のベルテル氏が立ち上げた。ベルテル氏自身は現在30年近くのキャリアを持つ人物で、延べ18000人の靴作りを手がけてきたという。さらに靴作りや歴史にまつわる書籍を出版するなど、まさに靴作りのスペシャリスト。「ロングライフ&リペア。長持ちする靴、が私のブランドのモットーだよ」と話す。

インパクトある登山靴

2-1
コレクションの中で真っ先に目が行くのは、強烈なインパクトがあるロングハンティングブーツ。東欧圏に代々伝わる上質なフルグレインカウレザーJuchten Leatherを使用している。この革は25~30%もの油分を含むため、タフながらしなりが良い。登山靴の伝統的製法ノルウェイジャン製法を採用している。

デイリーユースモデルも展開

3-1
ベルテル氏の匠の技を維持しながら、デイリーユースに向くモデルも多数展開している。こちらはドイツの山岳地帯用の靴として旧くから伝わるHafelという形だ。肉厚な一枚革が足全体を包む。ぽっこりとしたトゥのフォルムは、元々は山歩きの際のストレスを軽減するために発案されたという。
3-2
ボーリングシューズをヒントにした、スニーカー感覚で穿ける短靴(上)や、シンプルなミドル丈のワークブーツも(下)。
3-3
ワークブーツには前述したJuchten Leatherが使われており、ご覧の通り、オイルたっぷりでしなやかである。

レディスモデルにも力を入れている

4-1
こちらはオーストリアのプリンセスが履いていた靴からインスピレーションを受け、本来はボタン式だがレースアップ式にアレンジしたモデル。フィット感が調節できる。
4-2
SELVEDGE RUNでは、まだ発売前の新作ブーツもお披露目。足首からつま先にかけてのラインを美しく見せるフォルムと華やかなメダリオンが、ワークブーツに女性らしさをプラスしている。そして何といってもヒールのくびれがセクシーだ。
SCHUH BERTLの靴は、見た目は実に重厚だが、履き心地は非常に快適。靴全体が足にフィットするような感覚に、あっと驚くことだろう。それはドイツの気候や地理、そして人々の生活スタイルに適した伝統的な靴作りを実感できる瞬間である。
また、ヨーロッパのクラシカルなアウトドアシューズを継承する素朴なフォルムも愛着がわく。ドイツが誇る靴職人ベルテル氏の技が、日本にも広く伝わることを願う。
【DATA】
●SCHUH BERTL
http://www.schuh-bertl.de
Photo&Text by CLUTCH Magazine 編集部
(出典:「CLUTCH web」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

上野・アメ横の老舗、中田商店のオリジナル革ジャン「モーガン・メンフィスベル」の凄み。

  • 2025.12.04

ミリタリーの老舗、中田商店が手掛けるオリジナルブランド、「MORGAN MEMPHIS BELLE(モーガン・メンフィスベル)」。その新作の情報が届いたぞ。定番のアメリカ軍のフライトジャケットから、ユーロミリタリーまで、レザーラバー垂涎のモデルをラインナップしているのだ。今回は、そんな新作を見ていこ...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

2025年秋冬、「ジェラード」から厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来!!

  • 2025.12.12

2025年秋冬、ジェラードらしいネイティブアメリカン、ミリタリー、クラシックなワークウエアなど、厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来。Lightningがその中からおすすめアイテムを厳選して紹介する。 Salem Coat [Lot No_AG12420] 6年ぶりのリリー...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。