【鐵馬乗り的銘品図鑑】誰もが気軽にはける名作ワークパンツ「Dickies 874 Work Pants」

世には銘品と呼ばれる優れたプロダクトが、数多く存在している。そんなマスターピースを鉄馬乗りの目線でピックアップしていく。ハーレーライフをより充実させてくれる相棒になってくれることだろう。

タフで安くてかっこいい、米国ワークウエアの代名詞

今回ピックアップするのは、アメリカを象徴するワークウエアのひとつである「ディッキーズ」の名作“874”だ。ワークウエアの世界では、戦前からタフで安価なデニムが代表的だったが、そこに一石を投じたのが、1922年に創業されたワークウエアメーカーであるディッキーズだった。

1950年にコットン・ポリエステルを用いた“1574ワークシャツ”をリリースし、多くの支持を得た結果、1967年に“874ワークパンツ”を発売した。ファッションとして根付いたのが90年代後半だったため、比較的新しいイメージだが、実は50年以上前から続くロングセラーモデルなのだ。

その特徴はなんといっても耐久性に優れたコットン35%、ポリエステル素材65%という配合率で作られたツイル生地である。コンクリートや鉄、木材、アスファルトなどでの擦り傷に耐えられることを目的とした生地で、ポリエステルが入っているため軽量かつ速乾性にも優れており、ワークウエアに求められる幅広いニーズに応えられるというワケだ。70年代にはデニムブランドからもアイロン不要の謳い文句で、コットン・ポリエステル生地のパンツがこぞってリリースされるなど、ファッションの世界でも重宝され、自ずとディッキーズも若者たちの間で支持されていった。その結果、多くのカラーバリエーションが生まれ、定番として根付いていったのだ。

その耐久性とファッション性に惹かれたのが、80年代から本格的にブームとなったスケーターたち。路上で転ぶことも多い彼らにとって、動きやすくタフなパンツは必須であり、安価であったディッキーズは定番となっていった。

そしてこのころからハーレー乗りとディッキーズの距離も近くなる。ディッキーズはタフなコットン・ポリエステルの生地に加えて、オイル汚れにも対応できる加工が施されている。そうなるとハーレーのビルダーやメカニックにとってもうってつけ。さらにサンタクルーズに所属していたスタースケーターであるジェイソン・ジェシーや、ウエストコーストチョッパーズの創設者であるジェシー・ジェームスといった西海岸のアイコンたちが、こぞってディッキーズにヴァンズを合わせていたこともあり、完全に定着。それまで革ジャンにジーンズといった質実剛健なバイカースタイルから、ディッキーズで足元はスニーカーといった西海岸スタイルが、日本でも広がっていったのだ。

今回の874は、あえて米国製をクローズアップ。2000年前半までアメリカ製で、その後はメキシコ、ホンデュラスと変わる。もちろん現行のクオリティもいいが、こだわりの強いハーレー乗りなら、あえてアメリカ製を狙うのもあり。シルエットもそれぞれの国で細かな違いがあるが、アメリカ製はもっとも太く、股上においても一番長い。そしてほどよくテーパードが効いたシルエットなので、スニーカーからブーツまで似合う。今後は値上がりが予想されるので、いまのうちに押さえておくことをオススメする。

Dickies 874 Work Pants/90s〜00s 874

現行品でも展開されているディッキーズの名作であるが、あえて2000年代初頭までのUSA製を探すのも一興だ。ディテールにさまざまな違いがあり、大きな特徴は背面のベルトループが1本のみ細いこと。また背面のステッチを解くと2インチほどサイズアップが可能。この年代までは股上が深く、シルエットも太いので、よりワーク感のある仕上がりだ。ユーズドなら1万円を切ることも。1万3200円

【ポイント①】コットンポリ生地

デニムが主役だったワークウエアの世界で60〜70年代ごろから台頭したのが、より頑丈で安価なコットン・ポリエステルを混紡した生地。ワークウエアはもちろん、ミリタリーでもその傾向がある。35%コットン、65%ポリエステルの配合である。

【ポイント②】細いベルトループ

古着屋などでメイドインUSAのディッキーズを探すとき、目印にしたいのがバックのベルトループ。アメリカ製は真後ろのベルトループが細くなっているので、ひと目でわかる。これはウエストが調整できるステッチが入っている関係だろう。知っておきたい意匠である。

【ポイント③】サイズ調整が可能

アメリカ製から、メキシコやグアテマラに工場が移っていく。その過程で省略されてしまったディテールが、ウエストの背面に配されたステッチ。これを解くことで、ウエストが2インチほど広がる。ジャストサイズを選んでも安心なのだ。

【ポイント④】貴重な米国製

これまでにディッキーズの874を買ったことがあるハーレー乗りも多いだろう。だからこそあえて米国製を狙うのも面白いはず。2000年代初頭までUSAは存在し、さまざまなカラーバリエーションで展開されていた。まだデッドストックでも手の出る値段だ。

(出典/「CLUB HARLEY 2024年10月号」)

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