最新のソフテイルは何が違う!? 旧型ソフテイルと徹底比較してみた。

1984年に誕生し、今年で40周年を迎えた長寿シリーズが「ソフテイル」だ。往年の「リジッドフレーム」のシルエットを忠実に再現したソフテイルフレームは、伝統的なクラシックスタイルはもちろん、チョッパーにも似合う、まさに革命的なモノだった。以降、40年という長きにわたって愛され続けてきた理由をさまざまな視点からあらためてひも解いてみよう。今回は現行型(2024年9月記事作成時)と旧式とを比較検証。どんなところが変わっているかチェックしてみる。

フレームそのものが大幅に性能アップ!!

「こんなハーレーがほしい」というユーザーのさまざまな要望に応えることを目指して、単なるクラシック風だけでなく多種多様なモデルに対応するように進化したのが現行型のフレームだ。旧型と比較すると(写真右・白/現行型、オレンジ/旧型)ネックとバックボーンの位置が高く、さらにダウンチューブ(下側)の前後長が短くなった。さらに注目はリアショックのモノサス化とスイングアームのスリム化。リジッドフレーム由来のシルエットだった旧型に比べて、大幅に洗練されたことがわかる。見た目以外にも、フレームの剛性が大幅にアップしたほか、軽量化も実現するなど走りの性能に直結する部分も進化している。

旧型ソフテイルのフレーム

2018~ 現行型ソフテイルのフレーム

剛性:65%増強
重量:15~20%軽量化
※2017年モデル比

走りの醍醐味を追求し、深いバンク角を実現

新型ソフテイルの開発にあたって、世界中のユーザーから「ハーレーに求めるもの」をリサーチしたところ、アグレッシブな走りや軽くて扱いやすい車体など、従来のハーレーにはなかった要素を求める声がかなり多かったことがわかった。そんな要望を満たすために現代のソフテイルは開発されたという。そのため、あえてリジッドフレーム由来のシルエットに固執しなかったというワケだ。いかんせん旧型のソフテイルでワインディングを走ればあっという間にマフラーなどをガリッと擦ってしまったが、現行型ではバンク角を深くするためのあらゆる取り組みが行われたのである。

[ マフラーを高い位置に配置 ]※上が旧式、下が現行型

[ ミッションの位置を上げてプライマリーケースをアップ ]※上が旧式、下が現行型

[ スイングアームの形状を変更 ]※上が旧式、下が現行型

スポーツバイク並みのフロントフォークに進化!!

旧型のフロントフォークは、いわゆる“昔ながらのハーレー”という印象で、少し強めにフロントブレーキをかければ途端にフルボトムしてしまうぐらいに柔らかった。しかし、現行型ではそれがだいぶ改善されている。なぜなら、ボトムケース内部に新たにSHOWA製デュアルベンディングバルブが採用されたためだ。これはシンプルな機構ながらも高性能サスに匹敵する減衰力を発生させ、デコボコをしなやかに吸収。また、しっかりと踏ん張るようになったので昔のハーレーのようなリアブレーキ主体の乗り方ではなく、フロントブレーキを積極的に使える操縦性へと進化しているのだ。

モデルごとに異なる操縦性に貢献するレイク/トレール

ソフテイル スタンダード/ストリートボブ114・・・・・・30° / 157mm
ローライダーS/ローライダーST・・・・・・28° / 145mm
ブレイクアウト117・・・・・・34° / 145mm
ヘリテイジ クラシック・・・・・・30° / 140mm
スポーツグライド・・・・・・30° / 150mm
ファットボーイ・・・・・・30° / 104mm
ファットボブ114・・・・・・28° / 132mm

モノサス化でしっかりと動くリアショックに!!

通常とは逆方向に可動するリアショックだった旧型とは異なり、現行型はスイングアームの上部に取り付けられたため、サスペンションの動きが自然に。また、旧型は路面の段差で底づきしていたが、現行型は十分なストローク量を確保。減衰力もしっかりと効くようになったため、簡単にフルボトムしてしまうことはなくなった。何よりプリロードの調整が簡単にできるので、乗り方や体重、荷物の重さなどに応じてセッティングすることが可能に。90kg以上の荷物を載せてもしなやかに動くように設計されているというから、その進化たるや相当なものだ。

本体は伸びるのにスプリングは縮むのだ!!

ユニークな旧型のリアショック

スイングアームの下側にフレームと並行してリアショックが取り付けられている旧型ソフテイル。その動きが非常に独特。通常は無荷重のときリアショックが長い状態になっているが、旧型ソフテイルは無荷重で短く、荷重時にはサスのマウント部が車体後方に引っ張られるように動くため、リアショック全長が伸びる方向に動くのだ。にも関わらずスプリングそのものは縮む。車体の下にリアショックを装備できたのは、この独特な構造のおかげというワケだ

新たに採用されたプリロード調整機能は車種によってその方法が異なるが、マフラー側のサイドカバー下にあるダイヤルを回して調整できるモデルもあって、とてもイージーだ。

歴代ソフテイルの中で最もトルクフル!!

エボリューションエンジン誕生と同時にデビューしたソフテイル。以降エンジンもツインカム、ミルウォーキーエイトと着々と進化を重ねてきた。それぞれにどんな違いがあるのかといえば、ざっくりといえばエボは燃料供給方式がキャブレターで、現代のソフテイルと比べればだいぶ旧車的なキャラクターといえるだろう。その後のTCもキャブレターだが、それは最初の6年間のみ。以降は全車フューエルインジェクションとなったため、旧車と現代車、どちらのよさも備えている。最も異なるのは、2本備えたカムならではの高回転型(あくまでもH-Dのビッグツインにしては……というレベル)のフィーリングだ。対してミルウォーキーエイトは、環境性能に特化させつつ、ハーレーならではのトルク感を強調した特性。現代のハーレーは、歴代エンジンの中でもとりわけ大きな排気量であり、発生させるトルクもケタ違いなものになっている。

2018~ ミルウォーキーエイト(M8)

107cu(1745cc)
ボア×ストローク:100㎜×111.1㎜
圧縮比:10.0:1
最大トルク:139Nm/3500rpm
最高出力:82HP/5020rpm

114cu(1868cc)
ボア×ストローク:102㎜×114.3㎜
圧縮比:10.5:1
最大トルク:155Nm/3250rpm
最高出力:94HP/5020rpm

117cu(1923cc)
ボア×ストローク:103.5㎜×114.3㎜
圧縮比:10.2:1
最大トルク:168Nm/3500rpm
最高出力:105HP/5020rpm

2000~2017 ツインカム(TC)

88cu (1449cc)
ボア×ストローク:95.3㎜×101.6㎜
圧縮比:8.8:1
最大トルク:105.93Nm/3500rpm
最高出力:―

103cu (1689cc)
ボア×ストローク:98.4㎜×111.1㎜
圧縮比:9.6:1
最大トルク:125Nm/3000rpm
最高出力:―

96cu (1584cc)
ボア×ストローク:95.3㎜×111.1㎜
圧縮比:9.2:1
最大トルク:112Nm/3000rpm
最高出力:―

110cu (1801cc)
ボア×ストローク:101.6㎜×111.1㎜
圧縮比:9.2:1
最大トルク:
126Nm/3498rpm
最高出力:―

1984~1999 エボリューション

80cu(1340cc)
ボア×ストローク:88.8㎜×108.0㎜
圧縮比:8.5:1
最大トルク:105.52Nm/4000rpm
最高出力:―

ギア駆動のデュアルバランサーを採用

エンジンにラバーを介してフレームに搭載する「ラバーマウントフレーム」とは異なり、何も介さずに搭載されているソフテイル。そのためエンジンからの振動がライダーにダイレクトに伝わってしまう。よってエボリューションはなかなかハードな乗り心地だったが、TCからは振動を打ち消すためのバランサーを備えた専用エンジンへと進化。M8はツーリングモデルのエンジンにもバランサーが採用されたが、ソフテイルは前後に2つ装備したデュアルバランサー仕様という違いがある。TCとM8、どちらもデュアルバランサーという点は共通しているのだが、チェーン駆動だったものがギア駆動へと進化。これは騒音を軽減するという狙いからで、M8はあらゆる部分で騒音が抑えられているのである。

M8はクランク軸からギアでバランサーを駆動

チェーン駆動のためテンショナーなどの部品点数が多いTC

完全燃焼させるために4バルブ&ツインプラグ化

M8から、シリンダーヘッドはそれまでの「2バルブ」から、吸気と排気でそれぞれバルブを2つ備えた「4バルブ」へと進化した。単純に1つに対して2つのほうが多く吸入でき、多く排出できるという理論だが、空気を横から1つの吸入口で吸い込んでいるハーレーの場合、前後のシリンダーが空気を奪い合い、さらに2つになったインテークバルブによって乱流を起こしまくってしまう。このネガな要素を利用して、低中回転域で空気とガソリンをよく混ぜ、完全燃焼に利用しているのがM8流の4バルブヘッドなのだ。加えてツインプラグにすることで燃料を燃やし尽くし、排出ガスをクリーンにするというワケである。

M8の燃焼室

TCの燃焼室

高回転型から低~中回転型に

アメリカで高速道路の制限速度が引き上げられたことに伴って、高回転までエンジンを回しても追従し、効率よく燃焼するようにカムを2本にしたのがTCだ。しかし、環境規制がより厳しくなったことで、低中回転域の燃料を完全に燃やし尽くす目的でカムを1本に戻し、大排気量化でパワーを補ったのがM8。そのため両者の性質は大きく異なるのだ。

M8

TC

パワーロスをなくすために軽量化

コンロッドなどを軽量化することでパワーロスを極限まで軽減。これによってスロットルレスポンスが向上して、ピックアップがよくなり、加速力が向上している。同時に振動も少なくなり快適さも増した。M8は各部のパーツを新設計してエンジンが発生させる騒音を小さくしているのだ。

ヘッドに油冷システムを採用

TCの泣き所だったエンジン熱を下げるため、M8にはシリンダーヘッドの排気ポート周辺に新たにオイルライン(※写真の青いライン部分)を増設。それに伴ってオイルクーラーを標準装備した。同じく、エンジン熱の関係からTCでは1000回転以上だったアイドリング時の回転数が、M8から850回転に下げられている。

(出典/「CLUB HARLEY 2024年10月号」)

この記事を書いた人
ポイズン雨宮
この記事を書いた人

ポイズン雨宮

真性バイクオタ

単気筒や2気筒のいわゆる“エンスー的なバイク”が大好きな真性オタ。中でも70sアメリカを感じさせるモーターカルチャーを特に好む。XR1000と1969年型カマロを所有し、その維持に四苦八苦しつつも実は喜んでいるドMでもある。カフェレーサー好きでもあり、フェザーベッドフレームのH-Dを作りたいと絶賛夢を膨らませ中。
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