名優、政治家、アーティストまで、あの人の眼鏡には理由がある。

過去のスタイルアイコンたちは、ただ似合う眼鏡を選んでいたわけではない。思想を語るため、威厳をたたえるため、優しさをにじませるため。彼らは、眼鏡を「自分を形づくるフレーム」として使っていた。その人がその人らしくあるための必然を、名品の眼鏡と共に紐解いていく。

派手じゃないのに忘れられないフォルム|俳優・マイケル・ケイン

OLIVER GOLDSMITH/CONSUL-S

英国の老舗アイウエアブランドの代表作。マイケル・ケインが映画やポートレートで度々着用していた。上品なツヤと、滑らかで抑揚のあるフレームが、紳士の品格と芯の強さを伝える。4万1800円(コンティニュエTEL03-3792-8978)

俳優マイケル・ケイン|1933年、ロンドン生まれ。労働者階級出身ながら、抑制の効いた演技と独特の存在感で英国映画を代表する俳優へ。『アルフィー』『ゲット・カーター』『ダークナイト』シリーズなど幅広い役柄を演じ、アカデミー賞を2度受賞。気取らない英国紳士像の象徴。

世界を丸く見ようとする平和を見据えた意匠|ミュージシャン / 作曲家・ジョン・レノン

OLIVER GOLDSMITH/Oliver Oval/Pro Titanium

若かりし頃に愛用していた、一山ブリッジが特徴的なメタルフレーム。細いオーバルフレームは、攻撃ではなく対話を選ぶスタンスが表れている。理想を諦めなかった彼の目元を飾った。3万5200円(コンティニュエTEL03-3792-8978)

ミュージシャン / 作曲家・ジョン・レノン|1940年、リヴァプール生まれ。ザ・ビートルズの中心として世界のポップミュージックを更新したのち、ソロとして平和や愛をテーマにした作品を制作。『Imagine』は時代を超えて歌い継がれる象徴的楽曲。鋭い感性と優しさを併せ持つアーティスト。

歴史と文化が息づく奥ゆかしいデザイン|政治家 / 元イギリス首相・ウィンストン・チャーチル

C.W. Dixey & Son/CHARTWELL 01

湾曲したテンプルエンド、フロント両端にある2つのドットは、チャーチル自身のオーダー。ラウンドなフォルムが威厳を表しつつも遊び心があり、自由な発想を助長するのだろうか。6万6000円(ブリンク ベースTEL03-3401-2835)

政治家 / 元イギリス首相・ウィンストン・チャーチル|1874年、英国生まれ。第二次世界大戦下で英国を率い、強い言葉と揺るぎない姿勢で国民を支えた。政治家としてだけでなく文筆家としても評価され、1953年にノーベル文学賞を受賞。威厳と皮肉を併せ持つ、英国的ユーモアの体現者。

武骨なたたずまいと真円による柔和な表情|作家 / 冒険家・アーネスト・ヘミングウェイ

O.J. GLOBE SPECS OPTICAL Co./PAPA

「オールド・ジョー」とコラボし、ヘミングウェイ由来の小ぶりラウンドを現代的に再解釈。包容力・誠実さ・力強さを兼ね備えたクラシックなフレーム。4万1800円(グローブスペックス エージェントTEL03-5459-8326)

作家 / 冒険家・アーネスト・ヘミングウェイ|1899年、アメリカ・イリノイ州生まれ。第二次世界大戦の従軍経験や狩猟、海と共に生きる生活から、簡潔で力強い文体を確立。代表作に『老人と海』『日はまた昇る』『武器よさらば』など。荒々しさと人間の弱さを併せ持つ作風で知られ、1954年にノーベル文学賞を受賞した。

不器用さを魅力に変える装置|映画監督 / 脚本家 / 俳優・ウディ・アレン

JULIUS TART OPTICAL/BRYAN

神経質で、少し情けなくて、どこか愛おしい。厚みのあるフレームは、彼にとっての自己防衛であり、ユニークなキャラに輪郭をつける。現行品はヴィンテージの復刻モデル。4万9500円(デコラ トーキョーTEL03-3211-3201)

映画監督 / 脚本家 / 俳優・ウディ・アレン|1935年、ニューヨーク生まれ。神経質で皮肉に満ちたユーモアと、都市生活者の孤独を描く作風で知られる。『アニー・ホール』『マンハッタン』などでアカデミー賞を受賞。弱さや不器用さをそのまま魅力に転化した、NY的アイロニーの象徴。

独自の道を極める哲学がジャンルを越えて共振|音楽家 / 作曲家・坂本龍一

jacques durand./PAQUES 506

「ジャック デュラン」を数本所有していたことで有名な坂本氏。素材をそのまま生かしたような洗練されたデザインは、彼の音楽への姿勢とも通じていたのかも。5万9400円(フレーム ディストリビューションTEL03-6356-8766)

音楽家 / 作曲家・坂本龍一|1952 年、東京生まれ。YMOで世界的な評価を得たのち、映画音楽やソロ作品でミニマルかつ繊細な音世界を築く。『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』などでアカデミー賞・グラミー賞を受賞。音楽のみならず思想や環境活動まで含め、その存在自体が“文化” であった。

(出典/「2nd 2026年1月号 Vol.216」)

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