黒の持つトーンの違いにも注目したい
人気デニムブランド「オーセン」の代表でありデザイナーを務める前村拓実さん。かつてリーバイスのジャパン社に始まり、アジアや米国本社においてデザイナーを歴任した経験を持つ。そんな達人も普段からブラックデニムを愛用すると言う。
「ブラックデニムは1970〜80年代にファッションアイテムとして認知され、以降定番として支持を広げました。もちろんジーンズなど、デニムのメインは今もってブルー。ですがシックな装いを好む人に継続的に選ばれていると思います」。
かく言う前村さんも、装いに変化を付けたいシーンではブラックをチョイスする。
「ブラックデニムはどこかクールで洗練された印象。ですのでいつもの服装も、ジーンズをブラックに替えるだけで洒落た雰囲気になります」。
そこで前村さんに、現在お気に入りの黒デニムスタイルをふたつご提案いただいた。
「どちらもカジュアルな装いですが、黒で締めることにより、洒脱なメリハリや落ち着いたルックスに仕上がります。これは自分の好みになりますが、細身よりはやや太めのフィットを、そしてテーパードよりはブーツカットや先細りでないストレートを選ぶのが、今の気分」。
また、前村さんはブラックにもバリエーションがあると指摘。
「新品の濃いブラックと洗いざらしのグレーイッシュなブラックに加え、縦緯の織り糸の違いでもトーンが変わります。またオーバーダイを経たブラックの微妙な味わいなど、さまざまな黒デニムに合わせ、着こなしを考えるのも面白いと思います」。

達人によるブラックデニムの今季らしいこなし方
ブラックデニムはどのように穿くのが正解か? 前村さんオススメコーデの2例をピックアップ。ともにカジュアルだが、適度に洗練されたやや綺麗めな着こなしがポイント。大切なのはタイトではなくゆとりあるシルエットの選択。ピリッと締まりながらも、肩肘張らない軽妙な洒落感が楽しめる。
上下ブラックならさらに 洗練されたルックスになる

ブラックのデニムonデニムスタイル。黒色の持つクールな印象が十分に楽しめるコーディネイト。太もも部分にゆとりあるテーパード型デニムが、スタイルにほど良いメリハリをもたらしてくれる。ジャケット3万5200円/オーセン(ラフォエム info@authenjapan.com)、その他前村さん私物
ミリタリースタイルも シャープな雰囲気に仕上がる

ミリタリーなファティーグジャケットを軸とする着こなしも、ブラックデニムで固めれば土臭さも和らぎ、スマートに引き締まった雰囲気。やや太めのストレートレッグのデニムが、男らしさと安定感をもたらす。キャップ8800円、パンツ3万3000円/ともにオーセン(ラフォエム info@authenjapan.com)、その他前村さん私物
ブルーデニムの場合……

ミリタリースタイルにブルーデニムの合わせは、ある意味テッパン。ただし、ともするとワイルドさが先行しがちに見える場合も。そんな時は迷わずブラックに替えてみよう。
微妙に異なる“黒”のニュアンスを穿き分ける
染め方や洗いの回数によりトーンが異なるブラックデニム。先染め生地でも緯糸に白糸を使用した場合は、比較的軽快でカジュアル感が強い。同様の先染め生地でも、縦緯黒糸の場合は黒のトーンも深くシックな印象。また前村さんは、ブルーデニムにブラックオーバーダイしたモデルを愛用。

デニムマスターの前村さんは、ブラックデニムも数種類ストックしている。トーンやシルエットの違いで着こなし方を変えるという。だから完成度の高い装いになるのだ。
先染め(経糸黒、緯糸白)


先染め(経糸黒、緯糸黒)


後染め(オーバーダイ)


(出典/「
Photo/Satoshi Ohmura Text/Tsuyoshi Hasegawa
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