

シーズンも着こなしもワイドレンジな一着
近藤 いきなりですが、リーさんにとってミリタリーってどういう存在なんですか?
L.L.ウッド 国をあげてその時代の最先端の技術を惜しみなく注ぎ込んで作られているところに惹かれますね。どうしたら戦場で効率よく使えるか、兵士たちがストレスなく過ごせるかといったツール的な視点が詰まったものだと考えています。
近藤 本当に必要なものだけを適切なところに配置するというのはミリタリーならではですよね。ミリタリーへの興味はいつ頃から?
L.L.ウッド 30代半ばから洋服に興味を持ちはじめて、まわりのアメカジ好きな人たちがミリタリーものを着こなしに取り入れているのを見て「あ、かっこいい」と思ったのがきっかけですね。昔に観ていた『タクシードライバー』や『プラトーン』、『地獄の黙示録』といった映画のなかの服にも改めて興味を持ちました。それで、当時働いていたウィメンズのアパレルメーカーから「ワイパー」に移ったんです。そこからどんどんミリタリーの沼にはまっていきましたね。
近藤 僕にとってのミリタリー・ウエア、特にいま着ているM-65フィールド・ジャケットなんかは「これが似合う男でありたい」というものなんです。これをかっこよく着こなすのが一生の目標。
L.L.ウッド 僕は兵役があったのでミリタリー=軍服としか見ていなかったんですけど、ファッションに興味を持つようになってそれが解消されて、最初に買った軍ものがM-65フィールド・ジャケットでした。どう着たらかっこいいのか、いまも試行錯誤の連続ですね(笑)。
近藤 リーさんは年間千何百着もミリタリーものを着ていますけど、それらとどう向き合っていますか? ミリタリーって軍用だから街着としてはオーバースペックなところもあるじゃないですか。
L.L.ウッド 機能的に考えられたディテールを面白いデザインとして楽しむこともあれば、兵士のように全身ガッチガチにキメることもありますね。基本的には自分の好きなアメカジにどう溶けこませるかを意識しています。
近藤 そうですよね。ミリタリーというある種変わらないものを時代の空気に合わせてどう着るかというところに面白さがある。そのアプローチを発展させて、もの自体に現代の感覚を取り入れたのが今日持ってきたM-65パーカなんです。昔からあるものをベースに「パーテックス」の高機能素材を採用しました。
L.L.ウッド 薄くて軽量なのに驚きました。いまの日本の気候に合っていますよね。ブラックという色もいい意味でミリタリーっぽくなくて。
近藤 少し肉厚のタートルネックにグレーのパンツ、足元はレザーシューズでコートのボタンは一番上まで留めて、というスタイリングのイメージがあるんですが、リーさんならこれをどう着ますか?
L.L.ウッド うちで扱っているウッドランド迷彩をブラックに染めたM-65カーゴパンツにタートルネックやスウェットシャツを着て、というのがまず浮かびました。足元に「サロモン」とか合わせてもよさそうですね。僕はフィッシュテール・パーカってアメカジのド定番のひとつだと思っているので、70年代の「リーバイス」のヴィンテージ・デニム上下にこれ、というのも試してみたいです。
近藤 リーさんらしいスタイリングでいいですね。そのウッドランド迷彩のカーゴパンツ、早速入手しないといけないな(笑)。ともあれ、自分の好みに合わせてその人らしく着てもらえると思います。
「変わらない魅力があるミリタリーウエアに最新の素材で時代の空気を加えています」
TOOLS M-65 Partex Fishtail Coat
軽量かつ耐水、透湿、防風といった高機能で知られる英国「パーテックス」の「シールドプロ」を用いたナイロン・コート。ベースとしたのは米陸軍の寒冷地用アウターとして1965年に登場した「M-65」だ。同モデルに特徴的なフィッシュテールと呼ばれる後ろ身頃の裾部分の形状はさりげなくデザインとして取り入れながら、全体の印象をミニマル&シックに仕上げている。ブラック1色という潔さもいい。6万4900円
日本の気候を考慮したしなやかで軽いシェルは長いシーズン着用することができる。別売りのキルト・ライナー(3万5200円)を取り付ければ寒さ対策も完璧。

TOOLSとは?
日常的に使う道具(ツール)を人の工夫の結晶ととらえたデイリー・プロダクトを提案。環境、SDGsを意識しつつ、近藤さんの審美眼と本当の豊かさが詰まっている。10月16日(木)から28日(火)に京都髙島屋SC 2Fポップアップ・スペース、10月25日(土)から11月2日(日・祝前日)には宮崎「WAGON」でポップアップ・イベントを開催。この機会をお見逃しなく。
【問い合わせ】
スタンレーインターナショナル
TEL03-3760-6088
(出典/「2nd 2025年12月号 Vol.215」)
Photo/Yuco Nakamura Text/Kenichi Aono
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