ローファーの完成系! フレンチトラッドのアイコン「J.M.ウエストン」のペニーローファー#180【名作ローファーブランド図鑑】

トラッドスタイルにおけるマストアイテムとして欠かすことのできないローファー。1930年代に誕生し、いまでは世界各国様々なブランドがこの形の靴をリリースしている。そんな数あるローファーにおいて、2ndが考える名作の中の名作を厳選した。今回紹介するのは「ジェイエムウエストン」のペニーローファーだ。

「J.M. WESTONS」のSignature Loafer #180

アメリカや英国、フランスやイタリアなど世界各国のファッションスタイルに影響を受け、それらをミックスした自由なスタイルが定着している我が国において、シーンを牽引する洒落者たちの多くが「ローファーの完成系はウエストンの#180だ」と口にする。1946年に誕生し、当時から変わることのない製法と木型を使用して製作されるフレンチトラッドのアイコンは、必ずや所有しておきたい究極のペニーローファーだ。

最高級のボックスカーフを使用し、丁寧なモカ縫いやショートノーズのやや小ぶりなシルエット、そして履き込むことによって得られる履き心地の良さなどその魅力を挙げればキリのない「ジェイエムウエストン」のアイコン的なペニーローファー。フランス中部に位置するリモージュの自社工場にて熟練の職人による約180もの工程を経て完成される凛とした佇まいは、“ローファーの完成系”としての呼び声高く、あらゆるスタイルにマッチする。15万6200円(ジェイエムウエストン 青山店TEL03-6805-1691)

シグニチャーローファー #180が名作たる5つの理由

誕生から変わらないシルエットと製法

1946年に誕生した[シグニチャーローファー #180]の生産拠点はフランス中部の都市リモージュ。特筆すべきは誕生から変わることのない製法、そしてシルエットで作り続けているという点だ。約80年にわたって変わらないシルエットながら、現代においても“最も完成されたローファー”と称されるほどの高い評価を得ているのは、モデル誕生当初からその凛とした佇まいがいかに洗練されていたのかを表すエピソードである。また、ウィズ(幅)をA〜Fまで幅広く選べるのも特徴だ。

フレンチトラッドのアイコン的存在

英国やアメリカとは異なる独自のファッションスタイルを持つフランスにおいて[シグニチャーローファー #180]は特別な存在。黒やピンクなどのアメリカントラッドではあまりみられない色彩を自然と取り入れたり、シャツをタックアウトしたリラックス感のある装いなどの“ノンシャラン”なフレンチスタイルに、ややショートノーズでコンパクトなシルエットは相性抜群。もちろんフレンチスタイルのみならず、様々なスタイルと好相性。

履き込むごとに足に馴染む製法の妙

※上は「ジェイエムウエストン」の工場写真

[シグニチャーローファー #180]の魅力として外せないのは履き込むごとに増す極上の履き心地。これは、グッドイヤー製法の過程で中底と本底の間に使用されるコルクが着用を重ねるごとに少しずつ沈み込み、中底の革も足の曲線に馴染むことで包み込むようなフィット感を得られるためだ。その履き心地の良さは、「もはやスリッパ感覚で履くことができる」という愛用者の声も挙がるほど。熟練の職人によるクラフトマンシップの賜物である。

最高級のボックスカーフを使用

アッパーにはボックスカーフを採用。ボックスカーフとは生後6カ月以内の子牛の皮を鞣したカーフのなかでも最高級とされる素材で、きめ細かい表情と光沢が魅力。「革靴の品質は使用する革で決まる」というように素材選びにも妥協がないのが「ジェイエムウエストン」だ。この高品質のレザーを使用することで、前述のように履き込むことで得られるほかにはない極上の履き心地につながっている。

アイコニックなカモメ型のサドルデザイン

[シグニチャーローファー #180]のアイコニックなデザインとして挙げられるのがカモメ型のサドルの切れ込みだ。サドルの仕様は一般的なペニーローファーと同様のハーフサドルであるが、このキャッチーな切れ込みのデザインも同モデルが人気を博す理由のひとつとなっている。ほかにもノーズとタンの長さのバランスや程よく張り出したコバ、丁寧なモカ縫いなどデザイン的な魅力が随所に感じられる。

(出典/「2nd 2025年6月号 Vol.212」)

この記事を書いた人
みなみ188
この記事を書いた人

みなみ188

ヤングTRADマン

1998年生まれ、兵庫県育ちの関西人。前職はスポーツ紙記者で身長は188cm(25歳になってようやく成長が止まった)。小中高とサッカーに熱中し、私服もほぼジャージだったが、大学時代に某アメトラブランドの販売員のアルバイトを始めたことでファッションに興味を持つように。雑誌やSNS、街中でイケてるコーディネイトを見た時に喜びを感じる。元々はドレスファッションが好みだったが、編集部に入ってからは様々なスタイルに触れるなかで自分らしいスタイルを模索中。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

Pick Up おすすめ記事

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...