トラッド巧者が選ぶアメトラの名品。これぞ持っておきたいアイテム4選。

トラッド巧者が「手放せない」と語るアメトラ名品。それぞれの個人的なエピソードや、いまだからこそ感じる魅力を織り交ぜて紹介する。

01…FLORSHEIM / COBRA VAMP LOAFER|アイビーを知るほどに魅力が増す名作。

背景を重んじるスタイリングに定評のある庄子さん。鎌倉シャツで働き始め、より深くアイビーについて考えるようになった結果、いまの自分に欠かせない一足になっていることに気がついた。

「アイビーに初めて触れたのは高校生の頃。当時はとりあえずローファーを履いてBDシャツであれば良いと思っていました。振り返るとめちゃくちゃです。仕事上スーツスタイルが多いというのもありますが、社会人になってからは、昔よりもモダンで大人っぽいスタイリングをするようになっていることに気がつきました。

そこに気がついた時、ペニーローファーではなくコブラヴァンプローファーがしっくり来るんですよ。購入当初は、トラッドファッションの名作とされる一足なので手に入れておきたいという思いで購入しましたが、もう手放すことのできない相棒です」

Recommender:鎌倉シャツ/庄子晃功さん|1993年生まれ。巧みな色使いと細部までこだわったスタイリングにはファンも多い。休日はテニスで汗を流すのが最近の流行り。

02…INDIVIDUALIZED SHIRTS / BD SHIRT|米国の老舗メーカーにオーダーできる無二性。

アメトラスタイルに欠かせないアイテムであるBDシャツ。なかでもアメリカ製となると選択肢がかなり絞られるが、1961年に創業したカスタムシャツメーカー〈インディビジュアライズドシャツ〉のBDシャツは、現行のシャツメーカーのなかでもトップクラスの人気と信頼を獲得している。

なぜ“インディビ”は特別なのか。エニグモの早野さんはこう説明する。「老舗のシャツ専業ブランドに、しかもアメリカ製でオーダーできる。これらが最大のポイントだと思います。オーダーだけをやっているわけでも、量産だけをやっているわけでもない。オーダーができるうえに、それをマスに向けて展開しているというところも唯一無二。

細かいところですが、両脇の巻き縫いなど、ちゃんとドレスシャツ仕様になっている点も、玄人の服好きも喜ぶポイントです」

Recommender:エニグモ/早野海さん|インディビジュアライズドシャツのジャパンディレクターを務めていた経歴も持つ。飾り気のないリアルなアメトラスタイルを好む。

03…U.S. Army / BAKER PANTS|ブレザーの相棒として台頭した新時代のアメトラアイコン。

数多のブランドがサンプリングしていることからも、その名作っぷりが見てとれる、通称“ベイカーパンツ”。Baker(=焼く人)という名のとおり、もともとはパン職人が穿いていたという説もあるが、その真偽は定かではない。

ことアメトラスタイルにおいては、2000年代初頭、ネイビーブレザーとミリタリーパンツを合わせるコーディネイトが街中で見られるようになり、「アメトラ名品」としての認識がグンと高まった。「アーチ」の原さんは当時の印象をこう語る。

「最初は雑誌やセレクトショップが紺ブレ×軍パンのスタイルを提案していたように思いますが、当時は両脇にポケットの付いたカーゴパンツが主流でしたね。その野暮ったさもいいですが、今は、紺ブレなどのジャケットにベイカーパンツを合わせてやや上品にまとめるスタイルのほうが気分です」

Recommender:アーチ/原祐輔さん|仏軍の名作[M‒47]パンツをはじめとして、欧州プロダクツを織り交ぜたトラッドスタイルを提案するセレクト店のマネージャー。

04…SPERRY TOP SIDER / CANVAS DECK SHOES|機能性も兼ね備えるアメトラの定番靴。

アメトラ靴の定番といえる〈スペリー トップサイダー〉のデッキシューズは、中学時代にファッションに目覚めた生粋の服好きである森島さんにとっても思い出深いアイテムだ。なんとその愛用歴は20年以上。「中学1年の時に地元・大阪のアメリカ村で購入しました。当時、日本製のデッキシューズが多かったなかで、米国製の“本物のデッキシューズ”が欲しくて。

初めて波状の模様が入ったスペリーソールを見た時は衝撃を受けましたね。甲板でも滑りにくいように作られた機能性やシンプルなデザイン、足に吸い付くフィット感など魅力を挙げればキリがありません。

アイビースタイルだけでなく、コーデュロイショーツなどのサーフスタイルに取り入れたりと、様々なスタイルと合わせて楽しんでいるという点はこの靴と出会った時から変わっていません」

Recommender:ボンクラ/森島久さん|サラリーマンを経て2011年に自身のブランド、〈ボンクラ〉を始動。確かな知識を活かし、古着キュレーターとしても活躍する。

(出典/「2nd 2024年11月号 Vol.208」)」

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Pick Up おすすめ記事

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...