濃淡だけでなく落ち方も大事
高野 まずはこの企画をやろうという話になった経緯について。デニム特集を作るうえで、リサーチのためにいろんな古着店を回ってて、おれがいきなり古着の[501]を買ったんだよね。
ナマタメ なんか試着してるなーって思ってたら、いつの間にかレジにいました(笑)。
高野 それで、「こんな色落ちのデニムが欲しかったんだよね」って話をしたら、ナマタメも共感してくれて。
ナマタメ それから今回(2024年6月号)のデニム特集を作っていくなかで、新品・古着に関わらず何本もデニムを見ましたが、僕と高野さんが反応する色落ちがほぼ一致してたんですよね。
高野 校了まで時間もないし、バタバタだったけど「これはもう企画にするしかない」ってことになった。
ナマタメ スタイリストさんにも急遽「新品の色落ち加工デニムを集めてほしいです」って無茶振りしてましたね。
高野 ただ、おかげさまで“ド”ストライクな色落ちのデニムが集まりました。❶より濃くても、❺より薄くても、“ド”ストライクからは外れちゃう絶妙なラインナップが揃いました。
ナマタメ ナイス色落ちですね〜。僕らが持っている私物のリーバイスに近いっていう意味で言うと、❶と❷の濃いめの色落ちですよね?
高野 だね。でも、ただ濃ければいいわけじゃなく……。
ナマタメ 落ち方も大事。
高野 そうなのよ。
ナマタメ 太ももや膝が白く落ちすぎていないか。これは自分のなかで重要な判断材料のような気がします。あとはヒゲ(脚の付け根部分に入るヒゲ状の色落ち)やハチノス(膝裏に入る蜂の巣状の色落ち)も過度なものだと「今の自分のスタイルには合わないな」と思っちゃいますね。
濃淡の差が激しすぎないことが大事なのかも
高野 タテ落ち(縦に線を描くように入る色落ち)もヴィンテージらしくていいんだけど、いまは「まだら」な色落ちのほうが気分かもしれないね。つまり、色落ちが均一かどうかが大事ってことだ。
ナマタメ そうですね。タテ落ち自体は嫌いじゃないですが、白じゃなくて茶色っぽく落ちているのは苦手かも……。
高野 確かにトラッドに合わせるには、すこし武骨すぎるかも。淡いデニムについてはどう? ❸❹❺あたりになると、我々の私物リーバイスよりも白いけど、集まったデニムを見て「あ、これも好きだ」って思ったんだよね。
ナマタメ 僕も好きです!
高野 膝がやや白く落ちてるけど、気にならない?
ナマタメ そうですね。むしろ淡い色落ちのものは膝が白くなってるほうがむしろ雰囲気がいい気がする……。いま思ったんですが、濃淡の差が激しすぎないことが大事なのかもしれませんね。だから膝が白くても、ほかの青い部分も白っぽいから「濃淡の差」でいくと、ほとんどない。
高野 なるほど! 確かにそうだね。濃い部分が濃すぎたり、薄い部分が薄すぎると、そのぶん武骨になりそう。
ナマタメ トラッドに穿くためには、かっこよさや武骨さよりも、ジャケットに合わせても違和感のない上品さのほうが大事ですからね。
高野 ちょっと古着的目線かもしれないけど、そもそもこういう色落ちって、リジッドの状態からどうやって生まれるものなんだろう。
ナマタメ 均一な色落ちにするためには、穿くたびに洗うことが重要みたいですよ。
高野 そういえば、糸の種類とか詰まり具合によっても落ち方が変わるって取材の時に聞いたな。色々研究して、リジッドからこういう色落ちを目指すのも楽しそうだね。それ、今からなんとかページにできないかな……。
ナマタメ 先輩、もう間に合わないっす!
(出典/「2nd 2024年6月号 Vol.205」)
Photo/Yuco Nakamura Text/2nd Magazine
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