人が、人のために化学の力を使い生み出した繊維「化学繊維」を深掘り!

天然繊維の歴史は1万年以上になるが、化学繊維の歴史は150年未満。そんな短い期間で、急速に発達してきた化学繊維はいまの生活には欠かせない。アパレル素材としても様々な革新をもたらした、「化学繊維」の基礎として歴史、素材について学んでいく。

人間が作り出した人のための繊維

「化学繊維」とは人間が作り出した繊維の総称。天然繊維と違い、その歴史は意外にも140年ほど前に始まったばかりだ。「化学繊維」は1883年にイギリスの化学者ジョゼフ・スワンが白熱電球のフィラメントの研究中、偶然ニトロセルロースの細い繊維を作り出したことに始まる。それから約50年の間は天然繊維を素材とした再生繊維の時代であった。

そんな流れを断ち切ったのが当時デュポン社の有機化学部門でリーダーを務めていたウォーレス・カロザースだ。彼が1935年に世界初の合成繊維「ナイロン」を発明すると、その日を境に世界は急速に合成繊維の時代へ突入する。それから50年が経ち、環境問題に配慮した繊維の研究が始まり、現代に至るまで続いている。

合成繊維の時代を年表で振り返る

1883年|イギリス
世界初の化学繊維「アーティフィカル シルク」をジョゼフ・スワンが発明

1887年|ドイツ
銅アンモニアレーヨン(キュプラ)発明

1918年|ドイツ
ベンベルグ社が良質な銅アンモニアレーヨン(キュプラ)の良質な繊維製造に成功

1925年|アメリカ
世界初の化学繊維「アーティフィカル シルク」をデュポン社が「レーヨン」に改名

1928年|日本
ドイツからベンベルグ(キュプラ)の紡糸方法の技術を導入

1931年|日本
旭化成によりベンベルグ(キュプラ)の製造が開始

1932年|アメリカ
デュポン社が「ポリ乳酸」の発明に成功するが耐久性の低さから繊維化に失敗

1935年|アメリカ
デュポン社のウォーレス・H・カロザースが世界初の合成繊維ナイロンを発明

1937年|ドイツ
ハインリッヒ・リンケがポリウレタンを発明。IGファンベル社によって生産が開始

1939年|日本
日本初の合成繊維ビニロンが発明

1941年|イギリス
ジョン・ウィンフィールドとジェームズ・ディクソンによりポリエステルを発明

1942年|アメリカ・イギリス
アクリルの繊維化に成功

1953年|アメリカ
デュポン社がポリエステルの製造を開始。名称は「ダクロン」

1990年代初頭|日本・アメリカ
日本とアメリカの企業によって「ポリ乳酸」の研究が本格化

1994年|日本
カネボウ合繊が世界ではじめて「ポリ乳酸」を繊維化。名称は「ラクトロン」

2018年|日本
バイオワークスが次世代合成繊維「プラックス」を開発

化学繊維は4種類

合成繊維

現代において「化学繊維」と呼ばれるもののほとんどがこの「合成繊維」といって過言ではないだろう。「合成繊維」とは主原料を石油とする繊維を指すが、それは昔の話。最近は植物由来の新しい合成繊維も生まれている。

ポリエステル/アクリル/ナイロン/ビニロン/ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリ塩化ビニル/ポリウレタン/プラックス

無機繊維

「無機繊維」とは他の3種の化学繊維以外のものを指す言葉だ。衣料に使われることは少なく、主に産業用の資材として使われる。身近な「無機繊維」は、電線に使われている銅線や、ゴルフクラブのシャフト、釣り糸など。

ガラス/金属繊維/炭素繊維

再生繊維

「再生繊維」とは木材やコットンリンターなどの天然繊維やペットボトルなどを熱や化学反応を利用して溶かし、再び繊維として蘇らせたもの。世界初の化学繊維アーティフィカルシルク(のちのレーヨン)は再生繊維。

レーヨン/キュプラ/ポリノジック

半合成繊維

植物を原料としたセルロースやタンパク質のような自然から得られる材料に薬品を混ぜるなど化学反応を利用して繊維化したものを「半合成繊維」と呼ぶ。化学繊維の特性と天然繊維の特性を併せ持つハイブリッド素材。

アセテート/トリアセテート/プロミックス

※参考文献 佐藤銀平(2011)衣料と繊維がわかる 東京書籍

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

時とエイジングを刻む。VAGUE WATCH&Co. × CONSIGLIERE THE 1ST SPECIAL WATCH

  • 2026.07.02

時計は時間を刻むもの。本来の目的はそれで十分だが、「エイジングするものに囲まれて暮らしたい」という自称革ジャンの伝道師・モヒカン小川はベルトにもこだわる。そんな彼が愛用するヴァーグウォッチとシルバージュエリーブランド「コンシリエーレ」のコラボウォッチには毎日身につけた分のエイジングが刻まれている。 ...

Pick Up おすすめ記事

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

時とエイジングを刻む。VAGUE WATCH&Co. × CONSIGLIERE THE 1ST SPECIAL WATCH

  • 2026.07.02

時計は時間を刻むもの。本来の目的はそれで十分だが、「エイジングするものに囲まれて暮らしたい」という自称革ジャンの伝道師・モヒカン小川はベルトにもこだわる。そんな彼が愛用するヴァーグウォッチとシルバージュエリーブランド「コンシリエーレ」のコラボウォッチには毎日身につけた分のエイジングが刻まれている。 ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。