本社はいまも創業地シアトルに。エディー・バウアーの本拠地を訪れてみた

  • 2024.02.03

アメリカ北西部のワシントン州、最大の都市シアトル。「エディー・バウアー」は、この地で1920年に創業した。カスケード山脈の最高峰レイニア山を筆頭に、数々の湖や山に囲まれた自然豊かな環境は全米アウトドアズマンの憧れの場所だ。ブランド全体の機能を網羅している中枢に訪れ、CEOへのインタビューや内側を取材。また、本拠地シアトル周辺に構える、2カ所の直営ショップも訪問した。

パフォーマンスだけじゃない あらゆるスタイルを発信する

シアトルのダウンタウンから車で15分ほどの場所にある本社社屋は、100年以上の時を刻む、趣きのあるレンガ造り。元々は穀物の加工工場だった

現在ではアメリカのみならず世界18カ国に250店舗以上を展開する、グローバルなアウトドアウエアブランドとして成長を続けるエディー・バウアー。その中枢である本社は、長年マイクロソフトの本社やグーグルなど世界的大企業が連なる都市ベルビューに構えていたが、2022年より、創業地であるシアトル市内に移転した。

本社からはMLBシアトルマリナーズの本拠地「T-モバイルパーク」やスターバックス本社など、シアトルを代表する建物も見える。タウンユースに適したデザインとフィールドにも対応する確かな品質のアイテムは生地開発から手掛けるケースも多い

レンガ造りの社屋はブランドと同じく100年以上の歴史を刻む、なんとも趣きのある外観。ここには、マーケティングや企画デザイン、MDなどの主要部門をはじめ、数シーズン分の膨大な商品サンプルやEC部門のフォトブースも完備されるなど、ブランド全体の機能を網羅している。

近年では、より幅広いアウトドアユーザーに提供できるような、カジュアルアイテムも多く、生地開発から着手していることは特筆すべき点だろう。8000m級の世界最高峰の頂を目指す冒険家から、キャンプや街を散歩するためのタウンユースまで、懐の深いラインナップがエディー・バウアーのさらなる可能性を創造している。そんなエディー・バウアーのCEOとして牽引するティム・バントル氏にインタビューを行った。

「初めて手に入れたのはスカイライナーでした」

Tim Bantle|地元ショップの販売員から、パタゴニアやザ・ノース・フェイスなどで重役を歴任したアウトドア業界ひと筋30年。好きなアクティビティはスノーボードとスキー

2022年にブランドのトップに立ったティム・バントル氏は、これまで数々の名だたるアウトドアブランドを渡り歩いてきたスペシャリスト。豊富な知見を活かした商品開発やマーケティングでエディー・バウアーの新たな歴史を作り出していく。そんな彼はブランドをどのように捉えて、これから舵を取っていくのか。

「エディー・バウアーは本当のアメリカの精神を持った素晴らしいブランドです。100年を超える歴史は間違いなく偉大ですし、そのなかで生まれた数々のプロダクトは我々にとって財産。ブランドのDNAを宿したヘリテージなデザインをこれからも大事にしていきたいですね。

私自身、はじめて手に入れたのは[スカイライナー]でしたし、いま着ているダウンベストも1950年代からあるデザインをアップデートしたもの。最近では、若い世代に大きな影響力を持ったデザイナーが、ファンを公言してくれて、コラボを通して我々のヘリテージを広く伝えてくれています。アウトドアはある一時のトレンドではなく、人生を豊かにするもの。多くのカスタマーに向けた普遍的なアイテム作りを心掛けたいですね」

近年は人気ブランド&ショップとのコラボにも注目が集まる

JJJJound
BUCK MASON

カニエ・ウェスト主催のクリエイティブチーム、DONDAのディレクターとして活躍したジャスティン・サンダース率いる「JJJJound(ジョウンド)」や、ロサンゼルス発の人気セレクトショップ「BUCK MASON(バックメイソン)」は米軍に提供したゲッデスパーカをベースに別注。

ライフスタイルからフィールドまで幅広く揃う

シアトルにある唯一のショップはワシントン大学に近いことから学生の来客も多い

全米で252店舗を展開するエディー・バウアー。アメリカ北西部最大のショッピングモール「ウェストフィールドサウスセンター」に構える店舗は、フラッグシップではないものの、本拠地シアトルを代表する店舗である。アパレルはタウンユースを中心にメンズ・レディスともに充実、パフォーマンスラインの「ファーストアセント」やホームウエア、小物も幅広く揃えられ、ブランドの商品構成を網羅的に楽しむことができる。

アメリカ北西部最大のショッピングモールに構える店舗はブランド随一の品ぞろえ

とりわけ、店内奥に鎮座する「EB ICE BOX」は訪れた多くのカスタマーを魅了する。ダウンジャケットの性能を確かめるだけでなく、ブランドの歴史も知ることができるインスタレーションは、限られた店舗にしかないので現地を訪れたら是非体験してほしい。

店内でひときわ目を引く「EB ICE BOX」。マイナス5度に設定された室内ではダウンジャケットなどの保温性を店内で体感することができる。これは1950年代に遠征チームへ提供する装備品開発において、実際に保冷庫でテストをしていた史実に基づいている

ファンからも人気の高い、ロゴ入りのアクセサリー。アウトドアの定番コットンキャップやソックス、カップなど、つい手にしたくなる可愛いデザインが並ぶ。日本では販売のないアイテムも多いだけに、もし現地を訪れたら、すかさずチェックしてほしい
メンズ・レディスのカジュアルラインの他、遠征チームなどにも提供するハイスペックライン「ファーストアセント」もラインナップ
650フィルパワーダウンを封入、シェルと裏地にリサイクル素材を使用したベストセラー
表地にオリジナルチェック生地を使用したフリースライニングのシャツジャケットも近年の人気作
シアトルを象徴するグースやディア―、イエティなどのモチーフをあしらった、フリースブランケットやコットンネルパンツも実にキュート。寒い冬を越えるためのホームウエアが豊富なのも、エディー・バウアーならでは

(出典/「2nd 2024年2月・3月合併号 Vol.202」)

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