惹かれるのは、誇り高き本当の英国製。欲しいのはこの4ブランド

  • 2023.11.16

英国製にこだわり、伝統的な技術で世界各国から愛されるブランドが多数存在する。創業100年以上の老舗ブランドはもちろん、新たなスタートを切った新興ブランドまで、惹かれてやまない4ブランドを紹介。さらに、英国王室御用達ブランドのトップに英国製の”いま”を訊いた。

1.2023年に英国製ファンを最も沸かせたリユニオン「BEORMA(ベオーマ)」

ホワイトハウスコックス時代からアイコニックだったレザーメッシュベルト。肉厚なカウハイドを一本一本、ハンドメイドで編むことで生まれる、圧倒的な存在感はべオーマでも健在。各3万3000円(グリフィンインターナショナルTEL03-5754-3561)

今年の初めに届いた悲報と言えば、「ホワイトハウスコックスの廃業」。147年という偉大な歴史にピリオドが打たれるという、予想外の事態に業界が震撼したのも束の間、ホワイトハウスコックス(以下、WHC)で長年働いていた職人たちが再び集まり、英国ハンドメイドのレザーブランド「べオーマ」を発足するというニュースに驚き、ある意味、安堵の気持ちを持ったファンは少なくない。

ブランド発足に際して、工場は新設されたものの、拠点となるのはWHCの時と変わらないイギリス・ウォルソル。高品質なベジタブルタンニングレザーを使用した、堅牢かつ美しいレザープロダクトは、WHCのDNAを十分に継承、これからまた新しい歴史を残すに違いない。

肉厚なイングリッシュブライドルレザーを用いたメガネケース。ライニングは摩耗に強く、メガネを傷つけないピッグレザーを採用しており、大ぶりのアイウエアも収納できる幅17.5cm。3万3000円(グリフィンインターナショナルTEL03-5754-3561)
常日頃持ち歩く革小物こそ長年愛用できるものを。カードケース2万2000円、キーケース2万4200円(グリフィンインターナショナルTEL03-5754-3561)
WHCでも圧倒的な人気を誇った3つ折りウォレット。収まりの良いサイズ感ながら収納力も十分だ。5万9400円(グリフィンインターナショナルTEL03-5754-3561)

2.ダッフルでもトレンチでも英国コートに合うバッグといえば「BILLINGHAM(ビリンガム)」

ルーツであるカメラバッグの姿を色濃く残す[システム-1]。前面のマチ付きポケットには、さらにジップポケットが搭載されるなど、各所にポケットが付く大容量モデル。7万4800円[幅45×高さ31×奥行き28cm](グリニッジ ショールームTEL03-5774-1662)

1973年にイギリス・バーミンガムで誕生。写真撮影が趣味だった創業者マーティン・ビリンガムのために妻のロスが機材運搬用のカメラバッグを手作りしたという、なんとも心温まるエピソードから歴史は始まる。

水の侵入を防ぐためボンディング加工されたコットンポリエステルのツイル生地とブライドルレザーという、英国らしい素材使いと伝統的な作りは、従来のカメラバッグと一線を画すクラシックな見た目で、街でも楽しめるバッグとして、洒落者にも瞬く間に浸透した。柔和でありながら、ギアとして生まれた出自に、やはり男心はくすぐられるものだ。

人気モデルに新色が登場。小ぶりながら500mlペットボトルと10.9インチタブレットの収納も可能。3万5200円[幅34×高さ30×奥行き11cm](グリニッジ ショールームTEL03-5774-1662)
付属のショルダーストラップを付ければワンショルダーにもなる2way。3万7400円[幅37×高さ51×奥行き21cm](グリニッジ ショールームTEL03-5774-1662)

3.純粋な英国製をモダンに追求する「S.E.H KELLY(S.E.Hケリー)」

タートルネックニット4万4000円/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシーTEL03-5784-1238)、コーデュロイパンツ3万3000円/コーディングス(真下商事TEL03-6412-7081)、メガネ10万5600円/サヴィル ロウ(ブリンク外苑前TEL03-5775-7525)

只者ではないオーラを放つダッフルコートがS.E.Hケリーと聞いて納得。彼らは素材や部材、製法のすべてをピュアな英国製にこだわる、ほぼ唯一のブランドと言っていい。ひと目で特別感が伝わる生地はハードウィック種と呼ばれるイングランド北西部の湖水地方に自生する羊毛を何世紀にも前から存在する足踏み式手織り機で仕上げた珠玉のハンドウーブンツイードだ。39万3800円(メイデンズショップTEL03-5410-6686)

4.英国コートの礎を作った縫製技術が宿る「CORBY’S(コービーズ)」

一世紀を超える歴史のなかで、最も突出したエピソードは第一次世界大戦時に英国陸軍から「トレンチコート」と命名された、初のコートを作ったこと。以後も某有名ブランドのOEM実績などを持つ。そんな工場が作るハリントンジャケットが悪いわけがない。4万9500円(グリニッジ ショールームTEL03-5774-1662)

絶滅危惧の英国製も探せばある!

GRENFELL(グレンフェル)

撥水性のあるグレンフェル・クロスの上品な光沢が洗練されたシルエットで、さらに際立つ。19万5800円(ヴァルカナイズ・ロンドンTEL03-5464-5255)

CHRYSALIS × SHIPS(クリサリス×シップス)

ヴィンテージのような佇まいのガンクラブチェック柄ツイードコート。ポケットはパッチ&フラップ。17万9300円(シップス 銀座店TEL03-3564-5547)

TENDER Co.(テンダー)

雨の多い湖水地方で育ったハードウィックシープの剛毛を含む、表情豊かなオリジナルツイード地。14万3000円(メイデンズショップTEL03-5410-6686)

HIGHLAND2000(ハイランドトゥーサウザンド)

英国産ピュアウール100%使用で、すべてハンドフィニッシュによるニットアクセサリーに定評。各5280円(メイデン・カンパニーTEL03-5410-9777)

PHOEBE ENGLISH × LAVENHAM(フィービーイングリッシュ×ラベンハム)

生地は防風性に富むオイルドクロス。ラベンハムを象徴するダイヤモンドパターンを独自にアレンジ。7万7000円(メイデンズショップTEL03-5410-6686)

note & book(ノートアンドブック)

家内制手工業的に作られる素朴なニットウエア。ラグラン袖で襟は広め、やや歪なところも愛おしい。6万3800円(マッハ55リミテッドTEL03-5846-9535)

英国王室御用達ブランドのトップに訊いた、Made in U.K.の現状。

物価の高騰、人件費や後継者問題……年々、自国生産が厳しくなってリタイヤするブランドも少なくないUKブランドの中で、いまだに実直に、踏ん張りながら、我々に高品質なヘリテージアイテムを届けてくれる2ブランド。その要因や企業努力とは。

1.「Tricker’s(トリッカーズ)」最高経営責任者・マーティン・メイソンさんへの10の質問

「トリッカーズ」最高経営責任者・マーティン・メイソンさん

Q1.CEOにとってトリッカーズはどんなブランドですか?

ひと言で言えば歴史のあるブランド。職人の技術が詰まった高品質な靴を供給するという世界的にも重要な役割を担っているはずさ。

Q2.トリッカーズの靴でお気に入りのモデルはありますか?

ブランドのアイコンとも言えるウイングチップのカントリーシューズ[バートン]だね。一生履き続けたいと思っているよ。

マーティンCEOのお気に入りは[バートン]

Q3.CEOが考える革靴における英国スタイルとは?

ダービーシューズとブローグシューズだね。聖地・ノーザンプトンで作られる丈夫な靴こそが英国スタイルの代表だと思う。

Q4.ノーザンプトンのモノ作りの現状を教えてください!

とても良い感じだよ! 生産量はパンデミック前の2019年の数字に戻る見込みさ。もちろん苦労しているメーカーもあるけどね。

Q5.現在のトリッカーズの工場はどのような形で運営していますか?

約90人の職人が働いていて、2年先まで予約が埋まっている人気の職人もいる。全体では1週間で850〜900足の靴を作っているよ。

Q6.ノーザンプトンでの靴作りを続ける苦悩はありますか?

それが苦悩はないんだ! 技術継承や後継者問題を抱えるメーカーもあるけど、うちは若い職人の育成にも力を入れているからね。

Q7.チャールズ現国王からロイヤルワラントを授与された経緯は?

チャールズ国王が皇太子の時、実家がトリッカーズの顧客だった前妻のダイアナ妃から勧められて気に入ったのがきっかけみたいだよ。

Q8.チャールズ国王とのエピソードがあれば教えてください!

チャールズ国王からロイヤルワラントを授与されたのは1986年とかなり前だけど、2019年にも工場に来てくれた。光栄だったね。

2019年にチャールズ現国王が工場を訪問

Q9.価格の高騰が進む革靴市場をどのように見ていますか?

大量生産の時代も徐々に変わってきている。こだわりを持って高い品質を保ち続けているメーカーが生き残っていくのではないかな。

Q10.トリッカーズの今後の目標を教えてください!

まずは200周年を迎える2029年を目標に、現在の状況を継続していくことだね。日本にも新たな店舗を作りたいと思っているよ!

青山・骨董通りに構える世界2店舗目の単独店

東京都港区南青山5-4-27
TEL03-6805-1930
営業/11:00〜20:00
休み/不定休

2.「Corgi(コーギー)」代表取締役・リサ・ウッドさんに訊きました

「コーギー」代表取締役・リサ・ウッドさん

機械で作ることのできないケーブル編みのカシミアソックスは、なんと日産3足という圧倒的な非効率さながら、有名メゾンや百貨店からも引き合いが絶えないのは、なぜなのか。創業家の5代目として経営を引き継ぐ代表リサさんに話を伺った。

「私たちは、ほとんどの工程を手作業で行うため、極論1足からオーダーを受けることが可能です。そういったフレキシビリティが、コレクションを行うようなメゾンから、小さな個人店までにも支持をいただける、大きな要因だと考えます。

また私たちが地場とは関係ない、独立した産業だったということも大きいでしょう。工場があるウェールズは石炭と自動車が主な産業であり、ニットメーカーは他にひとつとしてありません。創業者は炭鉱で働く人たちが裸足で作業をする姿を見て、寒々しいと感じ、暖かいソックスを履いてほしいと願う一心でスタートしました。

素材調達や環境に適していた訳ではなく、あるひとりの強い思いから生まれたのです。コーギーの会社名は今でも、ホジエリー・リミテッド(=靴下屋)であり、このスタイルに誇りを持っています」

1893年に英国サウス・ウェールズで創業した「コーギー」は、いまでも家族経営を続けながら、創業時と変わらない場所に工場を構える。現在、職人は約50人ほどで、製法も昔ながらのハンドフレーミング(手横編み)、ハンドリンキング、ハンドフィニッシングにこだわっている

柔軟な生産体制で小売店からの支持も絶大

10年以上、アーガイル柄ソックスにこだわって別注。各3630円(Pt.アルフレッドTEL03-3477-7952)
多色使いはハンドインターシャだからこそ成せる業。11万円(ユーソニアングッズストアTEL03-5410-1776)
オーダー会でも好評だった100%カシミヤのドライバーズニット。10万3400円[参考価格](トゥモローランドTEL0120-983-522)

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 2024年1月号 Vol.201」)

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