そこで、「コロン」のアイテムを使って休日服をアップデートする色選びと取り入れ方のコツをコーディネイトのサンプルを紹介しつつ伝授しよう。
肩に力を入れず気ままに装うのも、休日服の醍醐味。でも、そこに少し色を取り入れるだけでも、“いつもの”を“新鮮”にアップデートすることができる。ここではその術を探りたい。
1.まずはカラーパンツから取り入れてみる。
お洒落は足元からなんて言うけれど、しっかり印象を変えたいなら、正確には“脚”元から。カラーパンツなら自分の色をしっかり主張できる。
強い色で構築するパワフルなアメトラもいいけれど、春らしい淡い中間色でフレンチシックに装うと、洒落感は見違えるほどアップする。主役はレモンイエローのジャケットと冴えわたるブルーのパンツ。白無地のシャツを合わせるよりも、ブルーストライプのシャツを挿して、全体をイエロー×ブルーの2トーンに見せる方が、まとまりもいい。
ブレザーにシャツにクリーンなパンツなんて、なんだかかしこまった合わせだけど、色使いに趣向を凝らすだけで、休日に欲しい抜け感はしっかり演出できる。ジーンズより淡く、鮮やかなブルーパンツはその要になる。
着用アイテム:2アウトプリーツパンツ
両サイドに寄せた2本のアウトプリーツが特徴的なフロント仕様の[CPT-3]。そのコットンタイプライター版は、軽やかな生地感と淡く、美しいブルーが好相性。クリースレスでストンと落ちるテーパードシルエットもユルさの要因に。2万8600円(エンメTEL03-6427-2261)
アメカジスタイルにもカラーパンツが好相性。
もとより多彩な色使いと相性のいいアメカジだからこそ、カラーパンツの貢献度も飛躍的に高まる。服好きなら誰もが求める脱平凡な佇まいも、色の妙に頼ればお手のものだ。
右のコーデは、デニムジャケットとカーゴパンツの組み合わせは鬼に金棒。アメカジの定石とも言えるコーディネイトだが、同じグリーンでも、ケリーグリーンのような明るい色調のリネンパンツに差し替えると、ご覧の通り見違えるほどクリーンな出で立ちに。キャンバス地のトートやスニーカーでもブルーとグリーンをリンクさせると、シャレ感もより向上。定番のプレーンなBDシャツではなく、ピンタックシャツが全体のマイルド化に貢献しているのも特筆点だ。
一方左の着こなしは、ともすればいなたく見えがちなフィッシングベストを主役にしながら、重さのない“ライト” デューティな佇まいにまとめた、休日アメカジの模範コーディネイト。まずはベストと同系色のスタンドカラーシャツをレイヤードして、上半身を淡色グラデーションで構築。そこにコットンリネン素材とレンガカラーの相乗効果でリゾートテイストを加味してくれるパンツを名脇役に迎えればご覧の通り難易度の高いフィッシングベストも難なく攻略可能。
着用アイテム(右):2アウトプリーツスラックス
ヒップのボリュームを抑えることで、昨今主流のワイドテーパードに品を添えた代表作[CPT-1]。こちらはそのリネン100%バージョンで、アジのあるシワ感とナチュラルなドレープが魅力。2 万8600 円( エンメTEL03-6427-2261)
着用アイテム(左)|1アウトプリーツアンクルスラックス
一筋のプリーツと短めの丈感、強めのテーパードを特徴とする新型[CPT-16]。発色のいいレンガカラーながら華美な印象を与えないのは、風合い豊かなコットンリネンで仕立てているからこそ。2 万8600 円( エンメTEL03-6427-2261)
2.トーン on トーンで大胆かつ洒脱な上級テク。
“色で魅せる”のと“派手に見える”のは別物。トップスとパンツをトーンonトーンで合わせるのが、いつの世も魅せる術に長けた洒落者の常套手段だ。
陽気を感じると自然と気になるのがマリンな装い。でもブルーonブルーの王道マリンに食傷気味だった服道楽には、思い切ってウォームトーンで魅せる、変則マリンもまた一興。要になるのはプレッピーの象徴でもあるナンタケットレッドにも似る、ラズベリーカラーのシャツ。これをごくごくラフに羽織りつつ、シンクロ率の高いレンガカラーのショーツを合わせれば、ほんのりとマリンの背景を感じさせる装いに。より洒脱に装いたいなら、シャツの第2ボタンまで外すのもポイント。ニュアンスがつき、インナーもわずかに覗くことで抜け感の演出にも繋がる。
着用アイテム(トップス):ダブルポケットシャツS/S
両胸にフラップポケットを備えた新作、[CSH-15]。発色のいいラズベリーカラーでも華美に見えないのは、品行方正なコットンブロードのおかげ。2万3100円(エンメTEL03-6427-2261)
着用アイテム(ボトムス):2プリーツショーツ
ユルくも美しいコットンリネンショーツ、[CPT-6]。品のいいプリーツワークも秀逸。自然なシワ感のおかげで明色でも落ち着いた雰囲気に。2 万6400 円( エンメTEL03-6427-2261)
小物まで同系色でまとめるのが吉。
トップスとパンツだけじゃなく、小物までトータルで同系色で統一すると、一段と深みを感じさせるコーディネイトに。
ハンティングに由来する意匠を備えた服ではなくても、サファリスタイルの実践は可能。むしろ街中で装うならベーシックなアイテムを選び、レイヤードして作るサファリの方がナチュラルに映る。ポイントとなるのはベージュの中にも振れ幅を持たせること。シャツやパンツはもちろんのこと、バッグやサンダルなど異素材のアイテム同士を組み合わせると、自然とベージュonベージュのなかでもグラデーションがつき、装いに奥行きが生まれる。
一方左は、上下ともに青で彩るブルーonブルーは、いつの時代も廃れない定番スタイル。だがアウター見えするシャツの内側に、淡いデニム地のスタンドカラーシャツを重ねつつ、ヒッコリーストライプのパンツを合わせれば、一段深みを帯びたグラデーションがつき、ユーロワークのエッセンスも取り入れられる。土臭さを中和するためには、ブルーのバンダナをネックに添えたり、袖捲りして内側のシャツの青も表出させたりと、小技を利かせるのも効果的。
着用アイテム(右):ヘンリーネックシャツ
120番双糸で織り上げたコットンタイプライタークロスを使うことで、軽さと凛としたハリ感を兼備した、[CSH-5]。ヘンリーネックはレイヤードにも向く。2 万4200 円( エンメTEL03-6427-2261)
着用アイテム(右):2アウトプリーツスラックス
定番の[CPT-1] がベージュカラーでも普通のチノとは一線を画す品を感じさせるのは、緻密に設計されたワイドテーパードシルエットの賜物。しなかやなストレッチ性のあるコットンツイル生地を採用。2 万8600円(エンメTEL03-6427-2261)
着用アイテム(左):ダブルポケットシャツ
ダブルポケットを備えた[CSH-4] の、コットンポリエステルブロード版。適度に長めに設定された着丈により、アウター然とした面構えに。2万4200円(エンメTEL03-6427-2261)
着用アイテム(左):1インプリーツロングシャツ
比翼仕様やスタンドカラー、1インプリーツが特徴の[CSH-1]。存在感のあるコットンポリエステルのデニム地は、挿し色としての効果も。2 万7500 円( エンメTEL03-6427-2261)
色使いの達人、着まわし術。
コロンを愛用する色使いの達人が、今季のコレクションからカラーで魅せるKEYアイテムをピックアップ。春のリアルなシチュエーションを想定し、今の気分も巧みにMIXした着まわしを披露してくれた。
1.ニュアンスカラーと程よいデザイン性が、休日のお出掛けにちょうどいい。|「ビームス」プレスチーフ・安武俊宏さん
「ドレス工場らしい綺麗な青のタイプライターに惹かれた」という安武さん。また近頃は2000 年代前後に流行したフリルシャツが気になっていたそう。「雰囲気が似て、より取り入れやすいコロンのピンタックシャツが、そんな気分にもマッチしたんです」。メゾンに通じるデザイン性、なおかつ柔らかさも感じる1枚は、休日のクリーンな着まわしにもピッタリ。
「少しだけドレスアップしたい家族とのレストランディナーにもいいですね。ジャケットとスカーフで色を拾うと、まとまりがよく肩肘張った印象もない。もう一方はカジュアルだけど品よくいたい美術館へのお出掛け。シャツの色に合わせて全身をブルートーンに。デニムを穿きつつ、タートルネックとサイドゴアブーツで合わせると、簡単に全体を品よく、バランスもとることができます」
週末は家族とディナーへ。休日だけど、少しだけドレスアップ。
【スタイリングポイント】
1 第1ボタンを開けて、堅苦しくならないように
2 シャツの独特な色味をグラデーションで拾う
3 カジュアルなチノスラックスだけど、クリース入りを選ぶ
4 靴は茶系ではなく、黒靴で締める
ジャケットはシャツの青と相性のいい赤茶系を。赤茶、青と、ジャケットとシャツの色を拾うスカーフを間に挿すと、まとまりよく大人びた奥行きをもたらすことができる。バンドカラーの第1 ボタンは開け、堅苦しく見せないのもポイント。
大好きな愛娘と一緒に美術館でアートに触れる。
【スタイリングポイント】
1 タートルネック+サイドゴアブーツが鉄板の組み合わせ
2 フェード感の強いヴィンテージデニムで綺麗すぎず、春っぽさも
3 シャツを捲って、手元にニュアンスをだす
4 大振りなヴィンテージシルバーをアクセントに
アウター感覚で着たシャツは、袖をまくってニュアンスを加えるとコーディネートの印象もバランスよく見える。大ぶりなヴィンテージのシルバーバングルは、ブルートーンに程よく男らしさをプラス。ヴィンテージデニムとも相性がいい。
2.テラコッタカラーでヨーロピアンな上品カジュアルを演出。|「ユナイテッドアローズ」プレス・藤原和広さん
ブラック、グレー、ネイビーとモノトーンがスタイルの軸だったという藤原さん。「レンガ色のコロンのパンツを見て、ヨーロピアンなリラックス感が気に入って、取り入れたいと思いました。春めいた明るさも気持ちよかった」。
コロンはカジュアルでいながら、ドレスやトラッドの要素を大事にしていると感じ、「カジュアルだけど品格も求められるシーンに使ってみたい。同僚や関係者とのミーティングでは、近頃気分のベストスタイルで。ジャケットスタイルは子どもの発表会にいいなと思います。どちらもトップスのレイヤードはモノトーンで、レンガ色のパンツと上品に馴染むような着まわし。ある程度の緊張感を持ちつつも、パンツのリラックス感、春らしい季節感も楽しめそう。表革ではなくスウェード靴がパンツに相性がいいと思いますね」
同僚や関係者とのミーティング。気分のニットベストを取り入れて。
【スタイリングポイント】
1 シャツの襟に沿って、スカーフをほんのり見せる
2 袖をまくる時は崩れているくらいにラフに
3 トップスは春らしいトーンでレイヤード
4 印象の柔らかいリボンタッセルのローファーを
シャツにスカーフを合わせる場合は、スカーフを強調せずシャツ襟に沿ってほんのり見せるのが流儀。「Tシャツなら出してもいいけど、シャツでは華美過ぎる気がする。チラっと見えるくらいのアクセントがちょうどいいと思います」
春らしいジャケットスタイルで子どもの発表会を見守る。
【スタイリングポイント】
1 カジュアルなジャケットスタイルにはバンドカラーorクルーネック
2 グレージュのジャケットで、春らしい淡いコントラストを演出
3 アーシーな色味をボーダーとボタンの黒をポイントに引き締める
4 パンツの色に合わせて、靴の紐の色を合わせる
アーシーな色使いが多い分、ジャケットの黒のボタン、インナーの黒のボーダーで印象を引き締めている。カジュアル、ノータイのジャケットスタイルのインナーは、すっきりとクルーネック、もしくはバンドカラーシャツがマイルール。
定番だからこそ、磨きをかけつづける。
ひとつの製品がブランドの“定番”として認知されるまでの道のりは、決して平坦なものではない。辛抱強く継続展開しなければならないが、そのためには長きに渡って相応のニーズが求められるし、そのニーズを生むためには何か格別に光る魅力を備えていなければならない。しかも周知の通り、ファッションにおけるトレンドの変遷はことさら速い。秘めていたその魅力すら、恒久的に輝き続ける保証はどこにもないのだ。だからこそブランドの顔役を務めるアイテムは絶えず磨き続ける必要があるのだと、小峰さんは力を込める。「コロンはパンツとシャツのブランドとして22年の春夏シーズンにスタートしたのですが、当初からそれぞれの分野で継続展開するモデルをいくつか決めていました。最たる例がこの[CPT-1]。これは名前の通りブランドとして一番最初に製作した、まさにコロンの主軸に据えているパンツです。私自身最も着用する頻度が高いのもこのモデル。基本のデザインや意匠は最初にアイデアが浮かんだ時から変えていませんが、デビューしてちょうど1年が経過する今季、フィット感や見映えをわずかに調整するため要所をアップデートすることに決めました」。
この“残すところ”と“変えるところ”を線引きする作業こそが、“定番”として浸透させるためには欠かせない工程なのだという。
「そもそもコロンはドレスの生産背景を用いることで、服をひと通り楽しんできた大人にこそ響く、良質なカジュアルウェアを提案するというのがコンセプト。だから目立つディテールではなく、あくまで着用感や精緻な仕立てを重視した……言わば即効性の高いデザインより着用して気づく“質でリーチする”というアプローチは、変えてはいけない部分。現に今季も昨シーズンと生産工場は同じ。マーベルトやテング、シックといった本格的なスラックスの意匠は今季もしっかり踏襲しています」。
さらに独特のプリーツワークやワイドテーパードシルエット等、デビューして即服好きから引く手あまたとなった[CPT-1]のアイコニックな仕様もそのまま継承しているため、外見はほぼ変わっていない。ただ重視しているフィット感は、わずかにテコ入れする必要を感じたそう。
「具体的に言うと股上とワタリのバランスや、膝下から裾幅のテーパード具合を改良しています。ありがたいことに想定していたよりも購入いただいているお客様の年齢層が幅広く、より多様な服装やシーンに馴染む汎用性を確保する必要があるなと。[CPT-1]は着用感はコンフォートなのに、脚は美しく見せてくれるシルエットがキモです。実際に着用しているスタッフやお客様の声を吸い上げた結果を分析し、股上はわずかに浅くしながら、逆にヒップ周りはゆとりをもたせ、裾幅も少し狭めることで、この特徴をより際立たせることにしました。クセがないのでいままでよりも少し太めのパンツを取り入れてみたいと模索している方が、細身からワイドへと移行する際の一本としても、自信を持って勧められます」。コロンの定番が鮮度を失わない理由、それは着用者の満足度をキープするためには“進化が当たり前”と捉えるマインドに起因している。
【問い合わせ】
エンメ
TEL03-6427-2261
www.emme.jp/sub/?page=colon
(出典/「2nd 2023年5月号 Vol.194」)
Photo/Seitaro Yamada, Norihito Suzuki,Yoshika Amino, Takeshi Wakabayashi Styling/Codan Text/Masato Kurosawa, Masataka Kirita, Masato Kurosawa
関連する記事
-
- 2024.11.13
2nd編集部が推す、買って損なし! な新作4選