小林学とオーバーオール。“およそ25年に渡っていろいろなことを教えてくれた本物たち”。

かつて「オーベルジュ」小林さんは真冬のニューヨークにもダウンを着込まずに行った。なぜなら、60年代以前のものしか着ないという掟を課していたからだ。 厳しくも楽しい修行の末に残ったのは、数々のオーバーオールだった。

ヴィンテージに身を捧げて辿り着いたオーバーオール。

「オーベルジュ」小林学さん|フランスへ遊学後、シピーで5年間勤務。さらに岡山のデニム工場で3年間修行。98年にスロウガン、2018年にオーベルジュを始動

文化服装学院を卒業後の88年、フランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードに明け暮れた小林さんは、90年末に帰国。

91年の1月からはフランスブランドのシピーで企画の仕事を始めました。その際、『30歳になるまで、下着とシューズ以外は60年代以前のものだけを着る!』というルールを自分に課しました」

この厳しい掟を守るためには、ひたすらヴィンテージを手に入れるしかないわけだ。

90年代、501XXは既に高嶺の花だったのでオーバーオールが唯一財布に優しいヴィンテージだったんです。シピーでの自分の仕事は、アメリカンヴィンテージの要素を注入しながらフランス仕立てにするといったものだったので、ディテールの宝庫という意味でもそんなオーバーオールは買いでしたね」

下で紹介しているオーバーオールは、30歳までに獲得。

4050年代のフランス製の黒いモールスキンは、オーベルジュのものづくりにも活きていますよ」

小林さんが愛用するオーバーオールより厳選して紹介。

タグにハートが入る50年代製カーハート、デットストックから着用。

無名ブランドの大戦もの。この胸ポケが30年代の特徴。

こちらも無名。小さな胸当て、ポケットの形が30年代的。

ロングLと呼ばれるボタンが付くのは60年代まで。Lee。

「ビッグバックという謎ブランド。カンヌキまで緑!

(出典/「2nd 20232月号 Vol.191」)