1.Willis & Geiger(ウィリス&ガイガー)のアイゼンハワージャケット|「GMT」ミウラシュランさん
数々のインポートシューズブランドの代理店を務める名物プレスである三浦さんは、大のヴィンテージ好きとしても有名。モノの良し悪しを独自の目線で解析できる三浦さんが選んだ道具は、アメリカ合衆国第34代大統領であるアイゼンハワーが愛用していたフィッシングジャケットである。
「名作として知られているアイテムで、80~90年代と比較的新しいものではありますが、とにかく古着市場に出てこない。ずっと探していて、10年くらい前に購入することができました。フードが欠損していたので、今では考えられないプライスですね。耐久性のあるコットンポプリンで、ポケットも多く、大量生産とは一線を画した細かな作りです。
もちろん本来の用途である釣りで使うこともありますが、ファッションとして着るのが主流。ショート丈で身幅も大きいから、着た時にいい意味で違和感が生まれるんですよね。あえてインナーにジャケットを合わせてみたり、いろんな着こなしを楽しめるのも醍醐味です」
愛用歴:10年
購入場所:オキドキ
購入時の価格:5万円くらい
2.Eddie Bauer(エディーバウアー)のダウンアイテム|「ビジティングオールド」岩城燎治さん
ヴィンテージウェア専門のリペア店「ビジティングオールド」を主宰する岩城さん。まるでタイムリープしたかのような完璧な仕上がりは、往年の裁断や縫製を解きほぐした深い造詣と探求心に裏打ちされている。
「そもそも、古着好きへの入りがヴィンテージのアウトドアアイテムでした。数十年前のアメリカもののラフな縫製、ギアとしてのヘビーデューティな雰囲気に惹かれるんです。中でも日常使いできるアイテムをと探していたら、偶然このネイビーが揃って。
各々ウィンターシーズン、スキー用のギアなのでタフ。ガンガン洗濯、乾燥できますし、ミシンやスチームを多用するリペア作業中でも気兼ねなく着用できます。冬場の仕事場は寒いので、それこそダウンベストなんかほぼ毎日のように羽織っちゃう。袖が無いから作業しやすいんですよ。
グローブも、手のひら側にレザーが貼ってあって全然滑らない。だから自転車通勤に重宝。 実用的な意図が感じられる、道具としての背景が伺える服につい手が伸びるんです」
愛用歴:10年
購入場所:下北沢ヒッコリー他
購入時の価格:ベスト1万円くらい、他各4000円くらい
3.Patagonia(パタゴニア)のグリセード カーディガン|「チルローブ」島倉弘光さん
神保町の名店「メイン」から独立し、ヴィンテージのネットショップを立ち上げた島倉さん。パタゴニアの名品、パイルグリセード カーディガンを表から裏まで愛用し尽くしている人物だ。
「ご存知のとおりリバーシブル仕立てであり、フリース側で着ると温かめのカーディガン。ナイロン側で着用すれば気密性も高まって、秋冬用の防寒アウターになるんです。気温やシーンによって着方を変えられるだけでなく、出張に持って出掛ければ二着分のアウターとなるので荷物を減らすことも可能。
この一着は1994年製であり、後年期モデルよりもハリがある質感のフリースで、肘など当たりやすい部分がツブれにくいのが特徴です。このグリセードは柄物もありますが、無地のほうが色々と着回しやすいので気に入っています。
すでに廃盤品ゆえに手に入れにくいのが玉にキズ。リアルに使える一着なので、色違いでもう一着探していますが、値段も上がっているので希望モデルが見つけられるか、ちょっと心配なんです (笑)」
愛用歴:10年
購入場所:某ヴィンテージショップ
購入時の価格:3万円くらい
4.Eddie Bauer(エディバウアー)のグースダウンプルオーバー|「ユーソニアングッズストア 」スタッフ・手塚章吾さん
シエラデザインズの古着を知人から譲り受けたことがきっかけでアメリカンアウトドア古着にハマった手塚さんは、釣りや登山が趣味。街でもアウトドアシーンでもほぼ毎日活躍しているというエディバウアーの隠れた名作がこちら。
「色違いで何着か所有していますが、グレーの配色はそれまで見たことがな く、モノトーン系の色味が好きな自分は即買いでした。しかも、あまり知られていませんが実はコレ、ポケットにボディをクシャクシャっと丸め込むことでトラベルピローになるんです。僕自身も最近になってはじめて気づいたんですが、釣りの時は車中泊をすることもあるので、実際に枕としても重宝しています。
もちろん軽くて温かくて首まで覆えるのでマフラーいらず。しかも合わせる服を選ばないので、どんな服の上からでもコレを着てしまいます。自分にとっては、ファッションの域を超えた、まさに道具ですね」
愛用歴:4年
購入場所:2ndフリマ
購入時の価格:3000円くらい
5.Trail Bum(トレイルバム)のビッグタートルスペクトラ|「バンブーシュート」ディレクター・甲斐一彦さん
“アーバン・アウトドア・ライフスタイル”をベースにした中目黒発のブランド、バンブーシュートを手掛ける甲斐さん。機能的なアイテムを日常でも取り入れているなか、デイリーで愛用しているバッグが、トレイルバムのビッグタートル スペクトラ。
「アウトドアシーンに対応するバッグなので、軽くて丈夫なスペクトラの生地を採用しています。それでも仰々しくないシンプルなデザインで、街中でも気軽に背負えるのが魅力。フロントのメッシュポケットが大きく、見た目以上に収納力があるのもいいですね」
UL(ウルトラライト)をテーマにするブランドだけに、その本領を発揮する登山でも活躍している。
「日帰りのハイクならこれで充分。レインウエアや防寒着、コーヒーセットも 余裕で入るし、フレームはないけどパッド入りだから背負い心地も快適。しかもショルダーハーネスがしっかり縫われているから、たっぷり荷物を詰め込んでも安心。日常はもちろん、山でもラフに扱えるあたりも道具っぽいかなと」
愛用歴:2年ほど
購入場所:バンブーシュート
購入時の価格:9800円
6.Patagonia(パタゴニア)のマイクロ・パフ・ベスト|「アーバンリサーチ」プレス・中山慶人さん
パタゴニア90年代の名作パフ・ボールシリーズの後継モデルとして2000年代に展開されたマイクロ・パフシリーズ。中山さんは、その2009年製のマイクロ・パフ・ ベストを道具服として挙げる。
「普段から茶系のアイテムを好んで着ているので、このアイテムも最初はカラーリングが気に入り購入しました」
プリマロフトが封入されたインサレーションウエアのため温かく、余計な装飾やデザインを一切持たないミニマルなスタイルで完結された1着。そんなところに道具服としての魅力を感じている、 と中山さんは続ける。
「Tシャツやパーカと いったカジュアル使いはもちろん、セットアップやコートスタイルといったちょっとカッチリした格好のインナーにも使いやすいです。オンオフ問わず使えるアイテムで、“とりあえず持って出かければなんとかなる”と思っています。そんなバーサタイルなところもどこか道具的で、10年以上前に買ったアイテムにもかかわらず、寒いシーズンはいまだに頼りきりです」
愛用歴:13年
購入場所:パタゴニア直営店
購入時の価格:約1万8000円
7.MOUNTAIN RESEARCH(マウンテンリサーチ)のフィッシングトラウザー|フリーランスPR・勝山龍一さん
道具服といわれて真っ先に思い浮かぶのが、アウトドアウエアだという人も多いはず。自らもキャンプをはじめとしたアウトドアアクティビティを楽しむ勝山さんの道具服はまさにそれだ。
「キャンプやDIYといった外での作業でよく履いています。釣りにおいてフィッシングベストは道具以外なにものでもないですし、ド直球です。ひねりがあるとしたら、フィッシングベストのアイコニックな要素となるユーティリティポ ケットがパンツに落とし込まれているというところですかね」
実際に穿いてみると思いもよらぬ利点を発見したという。
「ベストに物を詰め込んで着ていると肩が凝るんですが、パンツに移行することでその点が解消しました。あと素材がコットンポリエステルゆえにアフターケアも楽チン。作業服として穿くことが多いなか気兼ねなく洗えるのは、間違いなくアドバンテージですね。ただ洗濯する前に都度、ポケットの中身に気を付けなければと分かってはいるのですが、結構やらかしています(笑)」
愛用歴:8カ月
購入場所:….リサーチ ジェネラルストア
購入時の価格:3万6300円
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2023年2月号 Vol.191」)
Photo/Satoshi Ohmura, Yuta Okuyama, Nanako Hidaka, Shunichiro Kai, Norihito Suzuki, Takuya Furusue, Akira Mori, Yoshika Amino Text/Okamoto 546, Shuhei Sato, Masatsugu Kuwabara, Tsuyoshi Hasegawa, Shinsuke Isomura, Kiyoto Kuniryo, Shuhei Takano, Kazuki Imanishi
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